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掲載日:2023年5月23日
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平成28年11月9日(水)~10日(木)
(1) 横浜医療福祉センター港南(横浜市)
(2) 神奈川県動物保護センター(平塚市)
(重度心身障害児(者)支援の取組について)
横浜医療福祉センター港南は、重度心身障害医療・福祉における横浜市の中核的施設として、平成28年6月にオープンした。医療型障害児入所施設32床と療養介護施設120床を併せ持つ重症心身障害児(者)施設と、小児期に発症する脳性麻痺や、発達障害、てんかん等の慢性神経疾患を持つ方々のための専門クリニック(入院病床8床)の2部門から成る160床の医療福祉施設である。
同センターは、利用される方々の笑顔を第一に考え、利用者の視点に立った在宅支援と入所ケアを提供している。個別性・自立性を大切にする入所生活を目指し、重度心身障害児(者)施設としては、国内初の本格的ユニットケア(自宅に近い住環境)を提供し、多くの日中活動を行っている。また、様々な先駆的かつ苦痛のできるだけ少ない医療ケアを整え、どんなに重い障害があっても、入所者本人と家族が望む暮らしを実現している。
同センターにおける取組を調査することで、本県における重度心身障害児(者)支援に係る施策の参考とする。
横浜医療福祉センター港南は、横浜市内4番目の重度心身障害児(者)施設と小児期発症の慢性神経疾患(脳性麻痺、発達障害、てんかんなど)を持つ方々への専門クリニックの2部門からなる。同センターでは、重症心身障害医療・福祉における横浜市の中核施設として、「利用される方々の笑顔を第一」に考え、利用者の視点に立った在宅支援と入所ケアを提供している。また、専門クリニックでは、安全性と有効性が十分に検証された専門医療と、きめ細かな医療福祉相談を通じて、幼少期から青年期までの生涯にわたり、利用者が健康で安心した人生を送れるよう支援している。
同センターの施設は医療棟、居住棟で大きく2つに分かれ、居住棟は更に5つのフロアとなっている。居住棟の1フロアは入居者32人で構成され、5フロアで定員の合計は160人となっている。
医療棟は診療室やCTなどの各種検査室などをそろえ、障害のある方のための小さな病院となっている。医療棟3階にはリハビリテーション科があり、ワンフロア全てがリハビリ施設になっている。理学療法、作業療法、言語聴覚療法、心理相談、音楽といったそれぞれのセラピストが合計で25名いる。理学療法ではロボットスーツHAL、作業療法ではボルダリングなどの設備も備える。また、センター内には車いすや補装具の会社もあり、補装具の作成や調整なども行っている。
居住棟の利用は、長期入所、短期入所、日中一次支援及び入院となっている。施設の利用は医療福祉相談室で一括して相談を受けて、医師や看護師と調整してからとなる。また、1階の入り口そばには交流ラウンジがあり、知的障害のある方による喫茶運営が行われている。2階の屋外には散歩道が整備されており、施設外に出ることなく車いすで季節の散策を楽しめるようになっている。さらに、同センター内には、入所中の学齢児のため横浜市中村特別支援学校分教室も整備され、通学できるようにもなっている。
同センターは特徴的な取組として、重度心身障害児(者)施設では全国初となるユニットケアを行っている。ユニットは、4人部屋3室又は2室及びリビングで構成する生活の単位である。共用の浴室が付帯し一つのフロアが構成されている。ユニットケアは、共同生活の単位を小さくし、スタッフも極力固定することにより家庭的な生活を目指している。ユニットケアを実際に運用し、人手が想定以上にかかることが分かったが、利用者の方の生活をより豊かにするためにどうしたらよいかを第一に考え、更なる職員の能力開発を図っていくとのことであった。
概要説明の後、同センターを見学しながら、同センターの整備費、横浜市からの運営に係る助成、医師確保対策などについて委員から活発な質問が行われた。
同センターの取組を視察できたことは、本県における重度心身障害児(者)支援に係る施策の充実に大変参考となるものであった。
横浜医療福祉センター港南にて
(動物殺処分ゼロの取組について)
神奈川県動物保護センターは、神奈川県内3政令市と横須賀市、藤沢市を除いた県内28市町村を所管し、動物愛護思想の普及、動物の適正飼養及び動物による危害の防止などの事業を実施し、人と動物とが円満に共生できる地域社会の実現を目指している。
同センターでは、引き取った動物の飼い主探しを行うボランティア団体を登録し、団体と協力して、動物の殺処分を減らす取組を進め、平成27年度まで3年連続で犬の殺処分ゼロ、2年連続で猫の殺処分ゼロを達成した。
また、同センターは現在、施設が老朽化していることから建替えを計画している。そこでは、動物の命を救うだけでなく、動物たちが、責任ある飼い主と互いに良きパートナーとして生涯を幸せに暮らせるよう、人と動物の橋渡しができる、殺処分室のない新しい動物保護センターを目指し、一般からも資金を募り、構想の検討を進めている。
同センターにおける動物殺処分ゼロの取組を調査することで、本県における動物愛護・動物福祉の精神や他者との共感を育むための啓発活動に係る施策の参考とする。
神奈川県動物保護センターは、昭和47年4月に開設した神奈川県犬管理センターが前身となる。昭和52年5月に名称を現在の名称に改称した。同センターは、引き取った動物の飼い主探しを行うボランティア団体を登録し、団体と協力して、動物の殺処分を減らす取組を進め、平成27年度まで3年連続で犬の殺処分ゼロ、2年連続で猫の殺処分ゼロを達成した。
動物殺処分ゼロ達成のポイントは2つある。1つ目は、同センターへ収容される動物を減らすことである。動物の愛護及び管理に関する法律が改正されて、平成25年から飼い主が亡くなるなどの正当な理由がない限り飼い主からの犬猫の引き取りを拒否できるようになった。この結果、飼えなくなった犬・猫の引き取り件数は半減した。また、同センターでは理由がある場合でも引き取りを考え直してもらうため様々な工夫をしている。なお、引っ越し等で飼えなくなったような場合は、飼い主自身が譲渡先を探すこととなる。
2つ目は、同センターから譲渡する出口を広げることである。専門のボランティア団体等は、早ければ収容したその日のうちに引き取りに来てくれて、譲渡先を探したり、子猫や子犬を育てたりする活動をしている。現在、同センターには多くのボランティア団体等を登録している。殺処分ゼロを達成したのはこうした活動に関わっている人たちの努力が積み重なった結果である。
同センターはそのほかにも、しつけの重要性など動物の適正飼養を推進するため、各種教室を開催して動物に関する知識の普及啓発や、特定動物の飼育許可、動物取扱業の登録受理なども行っている。
概要説明の後、動物愛護の意識の変化、動物を譲り渡すときの条件、譲渡ボランティア団体等の登録数、譲渡ボランティア団体等の管理・育成、同センターで行われる不妊手術等の件数、動物の引き取り依頼があった際の指導、動物の保護に係る経費などについて委員から活発な質問が行われた。その後、同センター内の視察をした。
同センターの取組を視察できたことは、本県における動物愛護・動物福祉の精神や他者との共感を育むための啓発活動に係る施策を充実していく上で、大変参考となるものであった。
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