トップページ > 埼玉県議会トップ > 委員会 > 委員会視察報告 > 福祉保健医療委員会視察報告

ページ番号:254280

掲載日:2024年6月10日

ここから本文です。

福祉保健医療委員会視察報告

調査日

令和6年1月18日(木曜日)

調査先

 (1) 順天堂大学医学部附属順天堂医院(東京都文京区)

 (2) キユーピー株式会社(東京都渋谷区)

調査の概要

(1) 順天堂大学医学部附属順天堂医院

(医療機関におけるSOGIへの取組について)

【調査目的】

 性的マイノリティの方が、医療者の何気ない対応で傷ついたり、苦痛を感じることで、受診、治療をためらってしまうことが指摘されている。
 そこで、順天堂医院では、受診に際し当事者が感じる心理的な負担を減らすための取組として、誰もが無料で利用できる「SOGI相談窓口」を開設した。また、受診する患者やそのパートナーを含む家族が、セクシュアリティに伴う不安を抱えずに受診、治療が受けられるようアライ(Ally:性的マイノリティへの支援者や理解者)の職員を増やす研修などを行っている。
 同院の取組を、本県における性の多様性を尊重した医療機関整備の参考とする。

【調査内容】

 性的マイノリティの方は、医療者にカミングアウトしなければならない、プライバシーは守られるのか、拒否されるのではないかという不安から医療機関に行きにくいという点が指摘されている。また、受診の際、心が傷つく経験を一度してしまうと病院に足が向かなくなるという傾向があるほか、統計的に、うつ病、糖尿病など様々な病気のリスクが高いことが知られている。
 そこで、同院では、誰もが安心して受診できる環境が必要との認識から、SOGI(Sexual Orientation/Gender Identity:性的指向・性自認)への配慮に向けた取組を開始した。全ての人が何らかの性的指向・性自認を有し当事者になることから、特定の性的指向・性自認を指すLGBTQという言葉ではなく、SOGIを使用している。
 同院の取組として、「SOGI相談窓口」の設置、アライの職員を増やす研修のほか、アライの職員へのレインボーバッジの交付、受付へのレインボーフラッグの設置、多目的トイレへのレインボーシールの貼付といった性的マイノリティの方を応援する気持ちを可視化する取組も行っている。これらの取組について、性的マイノリティの方が、SNS上で評価している事例も見られ、当事者から好意的に受け取られているとのことである。また、院外からの評価も高く、他の病院、大学からの見学依頼や企業からの取材依頼のほか、同院の就職説明会でのイメージアップや医学部内での対応の推進などにもつながっている。
 今後の課題、展望として、SOGIへの取組を、大学各学部、系列の附属病院に拡大し、そして他大学・病院との協働、医療界の変化、ひいては社会の変化につなげるコレクティブインパクトの創出を目指すとのことであった。
 概要説明後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「医療行為の中で、例えば言葉遣い等、特に配慮している点は何か」との質問に対し、「当事者に配慮すべきことは人それぞれである。一方で、医療者が委縮して伝えるべきことが伝わらないのは問題である。重要なことは、一人一人を尊重するという根本的な点であり、しっかりと信頼関係を築いていくことである」との回答があった。
 今回、視察先を調査できたことは、本県における性の多様性を尊重した医療機関の整備に大変参考となるものであった。

(2) キユーピー株式会社

(フレイル予防の取組について)

【調査目的】

 キユーピー株式会社では、持続可能な社会の実現への貢献とグループの持続的な成長を達成するための重点課題として、健康寿命延伸への貢献を掲げ、フレイル予防産業の構築などに取り組んでいる。
 同社の取組を、本県におけるフレイル予防の取組、健康長寿社会実現の参考とする。

【調査内容】

 キユーピー株式会社は、1925年に日本人の体格向上を願い日本で初めてマヨネーズを発売した。現在では、乳幼児から高齢期まで各年代に寄り添う商品をラインナップし、内食・中食・外食全ての食シーンに価値を提供している。世界の食と健康に貢献するというグループ目標の下、生活の中で日常的に食べるサラダと卵の強みを生かして、「メタボリックシンドローム」「フレイル」「認知症」「免疫」という健康課題に取り組んでいるとのことである。
 同社は、要介護の手前の虚弱状態であるフレイルについて社会的認知度が低いとの認識があった。一方で、フレイル予防の第一人者である飯島勝矢東京大学教授から、フレイル予防は、日々の生活の中での、適切な栄養摂取、社会参加、運動が重要との提言があった。同社はこれに賛同し、同教授が機構長を務める東京大学高齢社会総合研究機構(IOG)に参加した。IOGにおける産官学民の連携を通じて、フレイル予防の認知啓発とフレイル予防産業創生に取り組んでいる。
 具体的には、「フレイル予防に資する食生活」という新しい市場の訴求モデルを作るため、イオン(株)と協力し、神奈川県内のイオンリテール(株)店舗をフィールドに実証事業を実施している。売場内では、フレイル予防に資するメニューを通常販促のテーマに組み込み、売場外においては自治体と連携した啓発を行う取組である。これにより、フレイルの認知度向上、フレイル予防に関する消費者への訴求、想定ニーズに合致した商品とその提案、メーカーと小売が一体となって実行できる体制づくりを構築するとのことである。そして、神奈川県内でのモデル化、ガイドラインの作成を通じてフレイル予防を国民運動に展開していきたいとのことであった。
 また、同社は、IOGにおける取組とは別に、様々な自治体と、野菜摂取の促進や食品ロス削減のためのメニュー作りなど食を通じた協働を行っている。これらにおいても、フレイル予防と同様、日々の生活の中で継続できる分かりやすい取組とすることを目指している。そうすることで、消費者の自然な行動変容を促す環境づくりを行っているとのことであった。
 概要説明後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「健康課題の解決に向けて、自治体、企業を巻き込む更なる取組が必要と感じたが、いかがか」との質問に対し、「地域の高齢者の方は、毎回同じスーパーで買い物を行うといった反復性がある。この点に着目し、スーパー以外でも、例えば地域包括ケアセンターを日常的に利用される方に対して健康メニューを提示するといった取組が考えられる」との回答があった。
 今回、視察先を調査できたことは、フレイル予防の取組、健康長寿社会実現の参考となるものであった。

福祉保健医療委員会視察写真

キユーピー株式会社にて

お問い合わせ

議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4922

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?