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掲載日:2024年2月13日

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環境農林委員会視察報告

期日

令和5年11月20日(月曜日)~21日(火曜日)

調査先

(1)トゥリーアンドノーフ株式会社(鳥取県鳥取市)

(2)奥大山自然塾(鳥取県日野郡江府町)

調査の概要

(1)トゥリーアンドノーフ株式会社

(生産性の高い農業経営について)

【調査目的】

 トゥリーアンドノーフ株式会社は、「高い生産性が持続可能性を高める」という考えの基に、科学的視点に立った確かな農業経営、大規模な生産体系の確立、環境負荷低減の取組、バイオテクノロジー等の新しい技術の活用に積極的に取り組んでいる。
 基幹的農業従事者の減少や高齢化等の課題を抱える本県において、農業の持続的な発展を確保していくためには、規模拡大やスマート農業等の推進により、生産性の向上や農業所得の増加を促進し、農業経営体の経営改善・強化を図ることが重要である。
 当該取組を視察することにより、本県における農業の生産性向上に向けた施策推進の参考とする。

【調査内容】

 同法人は平成24年に営農を開始し、当初は「固定種+多品目」「有機栽培」「大規模」という三つのテーマで生産活動を行っていたが、全く収穫できない状況が3年ほど続いた。全国の農家を訪問する中で科学的視点の重要性に気付き、土地改良や品質向上に科学的視点を取り入れていった。天候の影響を強く受けることや経営の難しさから令和元年に適地適作に立ち返り、水稲の生産に転換した。
 現在の圃場面積は約90ヘクタールであるが、後継者不足に悩む農家と交渉し農地の集積を進めており、2030年には約1,000ヘクタール(鳥取市の農地面積の約30%)に達する見通しとのことである。10年後等の明確なビジョンを描き、そこから逆算するバックキャストの手法で技術体系の見直し等生産性向上に取り組んでいる。
 水田の状態の田んぼに種をまく「湛水直播」の手法を主としており、スマートフォンのアプリと連動したGPSによる管理やドローンの活用、環境負荷の少ない除草剤の利用、マイコス(菌根菌)を利用した雨水だけで米を作る技術など、様々な新技術を先進的に取り入れている。また、ユニークな取組として挙げられるのが、鳥取県畜産農業協同組合と連携した耕畜連携である。とうもろこしなど飼料穀物の多くは輸入に依存しており、食料自給率の向上や輸入飼料の価格高騰に対する自給飼料の確保のため、乳牛の配合飼料として米を加工・供給している。
 同法人が重視するのが「科学的視点」「数字」「人」「変化」「発信」である。農業経営においては、あらゆるものに関して数字が伴うという。米の10ヘクタール当たりの生産コストは、全国平均が約128,000円なのに対し、本法人は40,000円台と、約3分の1である。利益を出し農業従事者に未来が描けて初めて農業に人が定着し発展するという考えから、人への投資も重視しているとのことであった。
 また、農業のファクトを農業の現場から発信することで、一人でも多くの人に農業の真実を届けたいという思いと、国内外問わず様々な分野の方とつながり、ネットワークを広げたいという考えから情報発信にも力を入れている。YouTube「農業法人トゥリーアンドノーフチャンネル」を立ち上げており、現在のチャンネル登録者数は46,000人、公開動画は141本、総再生回数は1,350万回を超えている。
 概要説明後、委員からは、農業における科学的視点の導入や遺伝子組換え作物等の新技術について活発な質問が行われた。その後、詳細な説明を受けながら圃場や農機を見学した。
 今回視察先を調査できたことは、本県における農業の生産性向上に向けた施策を推進する上で、大変参考となるものであった。

写真:環境農林委員会の集合写真

トゥリーアンドノーフ株式会社にて

(2)奥大山自然塾

(特色ある環境学習について)

【調査目的】

 江府町は本年5月、自然豊かな奥大山を拠点に体感的に地球環境について学ぶことができる体験型環境学習拠点「奥大山自然塾」を開校した。
 脚本家倉本聰氏が主宰するNPO法人富良野自然塾の分校で、京都府宮津市や愛媛県今治市などに続き、全国で7番目となる。五感で学ぶ体験学習を通じて地球環境の大切さとともに、町の財産である水の魅力について発信している。
 県民一人一人が環境の保全について正しく理解し、日常生活や事業活動において環境に配慮した行動を実践するためには、効果的な環境学習が重要である。
 当該取組を視察することにより、本県における効果的な環境学習に向けた施策推進の参考とする。

【調査内容】

 江府町は、「美しい自然景観に抱かれた、おいしい水を育む3,000人の楽しいまち」を理念に掲げている。奥大山の水がふるさと納税で全国に評価されたことをきっかけに、町の財産である水とそれを生み出す自然を守ることが町の使命と考え、観光から環境へと方向性を大きく転換させた。
 令和2年度から自然塾導入の検討を開始し、本年5月、町の遊休施設「エバーランド奥大山」を活用して自然塾を開校した。小・中・高校生の環境教育や、企業・団体の環境研修等を受け入れ、インストラクターが独自のプログラムを提供することで町の財産である水の貴重さをはじめ環境問題についての意識啓発につなげている。
 同自然塾のプログラムは、「1メートルの地球」「緑の教室」「46億年地球の道」の三つで構成されている。「1メートルの地球」は、直径1メートルの地球の模型を使い、地球全体で飲料水として利用できる水がいかに少なく大切なものかを表すことで、生活スタイルへの問題提起につなげるものである。「緑の教室」では、奥大山の魅力の一つである木谷沢渓流の中で木や水に触れることにより、森の役割や人と森の関係を五感で感じ、自然の中で生かされていることを実感することができる。「46億年地球の道」は、46億年の地球の歴史を460メートルの道に置き換え、人類の歴史が地球の歴史と比べていかに短いのか、また、人類の行動が地球環境にどのような影響を及ぼしたのかを歩きながら体験するものである。
 本年6月には、町が発起人となって、奥大山エリアで環境教育・環境学習に取り組む諸団体、大山隠岐国立公園管理事務所、鳥取大学とで構成する「奥大山自然文化協議会」を設立させた。「自然環境を想い、地球環境を学ぶ地域」としての新たな価値の創造と全国への発信を目指している。県内外の学校や企業、団体等への営業や出張講座にも積極的に取り組み、参加者の拡大を図っているとのことであった。
 概要説明後、詳細な説明を受けながらプログラムの一部を体験し、自然塾内を見学した。その後、鳥取県との連携等について活発な質疑が行われた。
 今回視察先を調査できたことは、本県における環境学習の取組を充実させるために大変参考となるものであった。

お問い合わせ

議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4922

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