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掲載日:2023年11月27日

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環境農林委員会視察報告

期日

令和5年8月28日(月曜日)~29日(火曜日)

調査先

(1)茨城大学カーボンリサイクルエネルギー研究センター(茨城県日立市)

(2)井関農機株式会社 夢ある農業総合研究所(茨城県つくばみらい市)

調査の概要

(1)茨城大学カーボンリサイクルエネルギー研究センター

(カーボンニュートラル実現に向けた取り組みについて)

【調査目的】

 茨城大学カーボンリサイクルエネルギー研究センターは、二酸化炭素の回収、それを活用した新たな環境配慮燃料の合成、燃料の効率的な利用という循環システム「カーボンリサイクル」技術の先進的な研究拠点として2023年4月1日に開設された。
 二酸化炭素を新たな資源として有効活用するカーボンリサイクルは、再生可能エネルギーや水素・アンモニアなど二酸化炭素を生成しない手法の研究、技術開発とともに、日本の脱炭素化と産業政策やエネルギー政策を両立するための鍵となる重要なオプションの一つとされている。
 本県では、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減することを目標に定め、中小企業の設備投資への支援や目標設定型排出量取引制度など様々な取組を実施しているが、目標達成のためには新たな視点での取組の拡充も必要である。
 当該取組を視察することにより、本県におけるカーボンニュートラル実現に向けた取組の参考とする。

【調査内容】

 同センターの最大の特徴は、カーボンリサイクルの研究を社会実装につなげるため、二酸化炭素の回収、合成、利用の実証研究を三位一体で取り組んでいる点にある。このような体制をとる組織は日本で唯一であり、各ユニットに所属する研究者が相互にコミュニケーションを取ることができるため、回収→合成→利用→回収の各境界領域における情報共有と、より社会実装に近い研究が可能となっている。
 また、大気中の二酸化炭素を回収する際に必要なエネルギーについて、既存方法と比較し大きく削減する手法のほか、エネルギーの安全保障の面から、二酸化炭素を利用する際の合成燃料を、貯蔵可能な液体燃料にする研究・開発に取り組んでいる。回収においては、吸着材が乾燥状態で二酸化炭素を吸着し、常温の水を供給することで二酸化炭素を離脱する湿度スイング法において、これまで研究例のなかった吸着剤への水の供給法や水の質に関する研究も実施しているとのことである。
人材育成にも力を入れており、上記の3ユニットのほかにオープンサイエンスユニットを設け、国内外の研究者や企業との連携、学生や地域住民に向けた教育活動を通じ、アイデアの創出及び即戦力人材を育成することとしている。
 カーボンリサイクル技術は、鉄鋼業界やコンクリート業界、大型の輸送機器など、電化や水素化等で脱炭素化できず、二酸化炭素の排出が避けられない分野を中心に活用することが想定されている。今後、2026年度には、回収した二酸化炭素から燃料を作り発電させる実証設備を学内に設置し、2030年にはミニプラントによるDAC(施設を利用した大気中の二酸化炭素の回収)や合成燃料の実証を進めることとしている。
 現在、まちづくりの専門家とも連携しており、最終的にはカーボンリサイクルという新たな技術により、地域の発展、災害に強いまちづくり、安全で安心なまちづくりに貢献したいと考えているとのことである。また、茨城県や日立市と協力し、モデルとなって日本全国や世界へ情報発信、技術展開することを目標としている。
 概要説明後、委員からは研究体制や人材育成などについて活発な質問が行われた。その後、研究所及び実証設備を詳細な説明を受けながら見学した。
 今回視察先を調査できたことは、本県におけるカーボンニュートラル実現に向けた取組を充実させるために大変参考となるものであった。

(2)井関農機株式会社 夢ある農業総合研究所

(スマート農業の推進について

【調査目的】

 井関農機株式会社は、「夢ある農業と美しい景観を支え、持続可能な『食と農と大地』の未来を創造する」ことを長期ビジョンに掲げ、1926年の創立以来、一貫して農業の効率化、省力化を追求し、数々の農業機械を他に先駆けて開発、供給している法人である。
 2015年10月に設立された夢ある農業総合研究所では、行政や研究機関、大学、企業等と連携し、先端栽培技術やロボット技術、ICTを活用したスマート農業の研究・実証・普及を行っている。
 本県農業の現場では、担い手不足や高齢化が進む一方、1経営体当たりの耕地面積が拡大しており、省力化や効率化、負担軽減のため、スマート農業の振興が不可欠である。
 同研究所の取組や施設を視察することにより、本県におけるスマート農業の推進に係る施策についての参考とする。

【調査内容】

 同社は、「農家を過酷な労働から解放したい」という創業の理念から、農作業の機械化を通じて、省力化や農業の更なる発展に努めてきた。世界初「自脱型コンバイン」や「ロータリー植込杆」などを開発し、例えば、耕うん作業は手作業で約4日かかっていたものがトラクタの利用で約18分へ、稲刈りは約3日、脱穀作業は約4日かかっていたものがコンバインの利用で約6分へと、創業から約100年の間で、農業における労働時間の大幅な削減を実現している。
 現在、日本の農業は、農地の集約による農業経営の大規模化や、水田利活用による野菜作への転換が加速しており、この大きな変化に対応するため、スマート農業の研究・実証・普及・情報発信をする拠点として「夢ある農業総合研究所」を設立した。
 多様なニーズに応えるため、省力・低コスト・多収栽培やスマート農業など先端営農技術の研究・実証を実証圃場で行っており、その成果とこれまで培ってきた知識や経験を生かした提案等により、農業経営をサポートしている。経営を重視する農家が増えていることから、農業コンサルタントとして、農家が困っていることにピンポイントで対応するような機能と価格のスマート農機を提案しているとのことである。
 同社が開発したスマート農機には、例えば、スマートフォンのアプリを活用し、どこにいても圃場の水位が分かる「水位センサー」や、人が乗らずに自動で正確に作業する「ロボット農機」などがある。また、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現することを目指す、国の「みどりの食糧システム戦略」に対応する取組も行っている。耕地面積に占める有機農業の取組面積を25%、100万ヘクタールに拡大する目標に対して、除草作業時間を低減する自動抑草ロボット「アイガモロボ」の研究・実証・普及に努めるほか、化学肥料の使用量を30%低減する目標に対しては、データ活用により圃場の状態に合わせた適正な施肥量に自動調整する「可変施肥田植機」を提案している。
 概要説明後、委員からは、アイガモロボの活用方法や可変施肥におけるデータの保存方法などについての活発な質問が行われた。その後、スマート農機についての実演及び詳細な説明を受けながら見学した。
 今回視察先を調査できたことは、本県におけるスマート農業の取組を推進する上で、大変参考となるものであった。

環境農林委員会の議員らが並んだ写真

井関農機株式会社 夢ある農業総合研究所にて

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議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4922

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