ページ番号:178313
掲載日:2023年5月31日
ここから本文です。
令和2年1月28日(火曜日)~29日(水曜日)
(1) 栃木県農業試験場いちご研究所(栃木市)
(2) 国立環境研究所地域環境研究センター(つくば市)
(ブランド農業の振興について)
栃木県農業試験場いちご研究所は、いちごの需要に即した新品種の開発や、新技術の開発機能を更に強化するとともに、経営やマーケティングの調査分析機能を新たに加え販売体制を向上させている。
本県では、いちごの新品種として平成28年に「かおりん」、「あまりん」を開発し、いちごの普及を図っているが、ブランド化や生産量、販売体制などで更なる取組が必要であることから、同研究所の取組を参考とする。
栃木県の「いちご」は生産量・販売金額とも全国1位を誇り、栃木県が開発した「とちおとめ」は、現在、全国のいちご作付面積の3割を占めている。「いちご王国“とちぎ”」の更なる発展を目指し、県農業試験場に全国初の「いちご研究所」を平成20年10月1日に開設した。
同研究所は、次代を担う新品種の育成や新技術の開発に加えて、新たに消費動向などの調査・分析や、研修などの機能も備えた、いちごの総合的な研究開発拠点となっている。組織は、所長以下、企画調査担当と開発研究室で構成している。なお、いちごの生産量では、栃木県は、いちごの生産量が50年以上連続で日本一となっており、「とちおとめ」や「スカイベリー」などは、ブランドとしても大変価値の高いものとなっている。
研究所の業務としては、①新技術の開発として、高品質超多収や省エネルギー生産技術の開発、鮮度・品質保持技術の開発や新品種の安定生産技術の確立、②新品種の開発として、生食用に適した品種や業務・加工に対応した品種の開発、次世代型品種開発の基盤研究や遺伝資源の収集・保存、③経営の調査分析として、新品種や新技術導入時の経営評価、産地構造・動向の調査分析やいちご経営モデルの策定、④流通・消費の調査分析として、新品種のマーケティング調査やいちごの消費動向の調査分析、⑤研修・交流促進では、技術研修会の開催、⑥いちごの情報発信として、ホームページ等による情報発信などを行っているとのことであった。
概要説明の後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「いちごの生産量50年連続一位がとれる理由は何か」との質問に対し、「いちごの品種開発では、何千粒の種から一つ残るか残らないかの選別を職員の経験や知識を生かして慎重に行うとともに、いちご王国”とちぎ”として積極的なプロモーション活動を行っている結果ではないか」との回答があった。質疑後は、同研究所のいちごのビニールハウスなどを見学した。
栃木県農業試験場いちご研究所にて
今回視察先を調査できたことは、本県におけるブランド農業の振興を図る上で、大変参考となるものであった。
(地球温暖化対策について)
国立環境研究所地球環境研究センターは、日本の地球温暖化研究の中心として、低炭素研究プログラムの推進や地球環境モニタリング・データベースの構築など基盤的な事業の実施について大きな役割を果たしている。
国際社会や国の地球温暖化対策の取組を受け、本県では「脱炭素化が進み、気候変動に適応した持続可能な埼玉」を構築する必要があることから、同センターの取組を参考とする。
国立環境研究所地球環境研究センターは、人類が地球環境に及ぼす影響を科学的に解明し、的確な環境保全対策を講ずるための基礎づくりを行うことを目的に、我が国の地球環境研究に関わる中核的機関として平成2年に発足した。現在、国立環境研究所における地球温暖化研究の中心的組織として低炭素研究プログラムを推進するとともに、地球環境モニタリング・データベース構築、スーパーコンピュータの運用・データ解析環境の整備などの地球環境研究を基盤的に支える事業を実施している。
研究概要としては、(1)地球環境の戦略的モニタリングの実施として、地上観測ステーションや船舶・航空機などを利用した大気や海洋の観測、森林など陸域生態系での炭素収支・生態系観測により多種にわたるデータを取得して地球環境の変動要因を明らかにするための研究活動に役立てている。(2)地球環境データベースの整備として、地球環境に関わる基盤的なデータベースシステムの構築・運用や、地球環境研究センターの各種事業によるデータ・成果等をデータベース化して提供・発信している。また、各分野のデータベースを一元的に管理し、システムやツールの開発・提供をしている。(3)低炭素研究プログラムとして、国際的に共有されている長期ビジョンである気温上昇2℃目標について、その実現に向けた温室効果ガス排出経路を科学的な方法を用いて定量化し、低炭素社会の実現に向けた実装に貢献するとともに、長期的な温室効果ガスの排出削減に向けた世界の緩和・適応策などの気候変動に関する政策決定に必要な知見の提供に寄与しているとのことであった。
概要説明の後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「埼玉県でも温暖化は進行しているのか」との質問に対し、「年平均気温は上昇しており、ほぼ温暖化対策を実施しなければ21世紀末には4.8度の上昇となり現在の鹿児島市を上回る気候となる。また、無降水日数の増加による渇水や1時間降水量50mm以上の増加のリスク、高品質なコメの収量の減少が予想される」との回答があった。質疑後は、同センターの航空機を使用した大気観測施設などを見学した。
今回視察先を調査できたことは、本県における地球温暖化対策について、大変参考となるものであった。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください