ページ番号:168713

掲載日:2019年11月26日

ここから本文です。

環境農林委員会視察報告

期日

令和元年8月26日(月曜日)~28日(水曜日)

調査先

   (1) 農業生産法人(有)夢前夢工房(姫路市)
   (2) エーゼロ(株)(岡山県西栗倉村)
   (3) 平林金属(株)リサイクルファーム御津(岡山市)
   (4) 岡山県庁及び倉敷市真備町被災地(岡山市及び倉敷市)

調査の概要

(1) 農業生産法人(有)夢前夢工房

(ICTを活用した効率的な農業について)

【調査目的】

   農業生産法人(有)夢前夢工房は、無人トラクター、自動の田植機やドローンなどのICTを活用して効率的な農業を進めている農業生産法人である。
   本県では、農業従事者の高齢化や人手不足の問題、グローバルでの競争が激化し、ICTを活用した農業の振興が課題となっていることから、同社の取組を参考とする。

【調査内容】

   農業生産法人(有)夢前夢工房は、平成11年12月に設立された農業生産法人であり、正社員9名、パート等18名の構成である。理念は、地域の環境保全を考えた農業を進めること、農産物の安全性と信頼性の回復に努めること、農産物流通の基本である、「地産地消」、「新鮮なものを食卓へ」、「安心・新鮮・感動」をお客様に提供することである。
   主な業務内容は、農産物の生産・加工・販売、農業体験・農業研修・食育活動・レストラン・講演活動である。レストランとして農業体験施設「夢やかた」、直売所として「夢街道farm67」、体験として「ゆめさき苺ハウス」などを運営している。これまで、「ひょうご安心ブランド」の取得、第1回田んぼアートの開催、産学官連携商品開発への取組、農林水産省の6次産業化認定、農林水産大臣表賞や兵庫県自治賞の受賞など、多くの先駆的な取組が評価されている。
   今年3月には、TBS系ドラマ「下町ロケット」で話題となった「無人トラクター」の試験運転が行われた。また、今年度からは、ほ場約24haの整備を計画しており、130農地をまとめて1区画最大1.6haにし、大半を同社が運営する予定である。その際は、無人トラクターと自動操舵の田植機を、衛星利用測位システム(GPS)を使い、タブレット端末で操作し作業を効率化することで、農業従事者の高齢化や人手不足の問題などの解消に期待ができるとしている。さらには、最新の情報通信技術やドローンを活用した取組も積極的に推進しているとのことであった。
   概要説明の後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「ICT農業のメリットは何か」との質問に対し、「農機をまっすぐ走らせるには10年かかるが、無人トラクターは経験の浅い人にも任せられ、熟練者は別の作業が可能となる」との回答があった。また、「無人トラクターの操作は携帯端末でもできるのか」との質問に対し、「電波状態の制約は受けるが、可能である」との回答があった。質疑後は、同社の無人トラクターや自動操舵の田植機を見学した。
   今回視察先を調査できたことは、本県におけるICTを活用した効率的な農業を振興する上で、大変参考となるものであった。

環農_夢前夢工房にて

夢前夢工房にて

(2) エーゼロ(株)

(農林水産業の6次産業化について)

【調査目的】

   エーゼロ(株)は、廃校の学校を拠点に林業を核とした、うなぎの養殖や低コスト住宅の提供、バイオマス資源の利用など地域経済の循環モデルを形成している企業である。
   本県では山間部を中心に、農林水産業の6次産業化の推進が課題となっていることから、同社の取組を今後の参考とする。

【調査内容】

   エーゼロ(株)は、平成27年、前身となる森の学校ホールディングスを設立し、移住起業支援事業を開始した。平成28年に社名をエーゼロ(株)に変更し、農林水産業の6次産業化を進めている。従業員数23名で、事業目的は、人や自然の価値を引き出し、地域経済の循環を生み出していくことであり、西粟倉本社のほかに、厚真事業所(北海道厚真町)、高島しこぶち事業所(滋賀県高島市)があり、主な事業は以下の3つである。
   ローカルベンチャー支援事業では、その人らしさを発揮するための手段として、地域で新しいビジネスを生み出す支援を行っている。行政(地域)と起業家をつないで、課題を可視化することで可能性を見出し、その可能性を地域的に実践している。そのままの地域では持ち得なかった機能や空間を創造し、多様性と密度の経済を創り出している。
   自然資本事業では、林、山、土壌、海、川、大気や多様な生きものたちにより構成される自然からワクワクするような多様な価値を生み出し、地域の自然と、自然に関わる様々な人たちをつなげ、生態系の大事な要素である「有機物、水、栄養分」に加えて地域経済を循環させる事で、持続可能で豊かな未来を作ることを目指している。
   建築・不動産関連事業では、地元産木材をふんだんに使用し、耐震性能や省エネ性能とともにコストパフォーマンスにも優秀な家づくりを始めた。大切な人達と毎日を過ごす暮らしの空間だからこそ、居心地の良さを追求し生き方や暮らし方の可能性が広がる自由な空間づくりに取り組んでいる。
   近年では、西粟倉村と連携し、林業の6次産業化で新しい事業を興し移住者を増やすとともに、地域資源を一次産業の中で循環させながら、うなぎの養殖や狩猟といった副業を作ることで、定住を促すプロジェクトを実施しているとのことであった。
   概要説明の後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「うなぎの養殖における課題は何か」との質問に対し、「養殖の手間が掛かる割には、生産量が少ないため、規模のメリットがあまり働かないことである」との回答があった。質疑後は、同社内の各施設を見学した。
   今回視察先を調査できたことは、本県における農林水産業の6次産業化の振興の参考とする上で、大変参考となるものであった。

(3) 平林金属(株)リサイクルファーム御津

   (太陽光パネルの再利用化について)

【調査目的】

   平林金属(株)は、本年から太陽光パネルのリサイクルに関するプロジェクトを開始し、適正処理に取組んでいる企業である。
   本県では、太陽光パネルが将来的に大量廃棄された場合の適正処理が課題であることから、同社の取組を参考とする。

【調査内容】

   昭和31年10月に創業した平林金属(株)は、鉄・非鉄金属、使用済家電・自動車のリサイクル事業を行っており、売上は約174億円で、品質水準の高さから、日本国内だけでなく世界の素材メーカーから極めて高い評価と信頼を得ている。そして、3つの柱として、ものづくりを進化させる「技術開発」、不純物を取り除くための「徹底分析・徹底選別」、その2本柱を支える「社員の意識(もったいない精神)」を掲げている。
   同社が扱う対象は、家電製品、OA機器、自動車など、街や工場で本来の役目を終えた物品で、その領域は、缶類から工場・プラントの大型設備機器まで、広範囲に及ぶ。さらに、鉄・アルミ・銅・ステンレスなど主要金属をはじめ、希少金属(金・銀などの貴金属、パラジウムなどのレアメタル)、プラスチック原料など約100種類の製品を、素材メーカー(鉄、非鉄、プラスチック)に出荷している。
   平成30年7月豪雨では、岡山県倉敷市などを中心に推計約44万トンもの災害廃棄物が発生し、今もなおその処理が続いている状況である。特に、大量の太陽光パネルが被災したことなどを契機に、資源循環型の社会を構築する産業に携わる企業として、今年から太陽光パネルのリサイクルに関するプロジェクトを開始したとのことであった。具体的には、リサイクルファーム御津第2工場に、太陽光パネルを部品ごとに分離・回収するため、ジャンクションボックス分離装置、アルミフレーム除去装置やガラス分離装置などを導入した。このうち、ガラス分離装置は、ホットナイフ分離法と呼ばれる手法を採用し、エヌ・ピー・シー製の装置を導入することで、太陽光パネルの大量廃棄時代に向け、より精緻なリサイクルスキームの構築を目指している。これらの取組が評価され、太陽光発電協会(JPEA)が公表した太陽光パネルの適正処理が可能な会社の一つとなっている。
   概要説明の後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「太陽光パネルの再利用化の課題は何か」との質問に対し、「太陽パネルを構成する素材をきちんと分離・分別することに加え、効率的に多くのパネルを回収処理できる仕組みを構築していくことなどである」との回答があった。質疑後は、同社の工場を見学した。
   今回視察先を調査できたことは、太陽光パネルの再利用化を推進する上で、大変参考となるものであった。

環農_平林金属にて 

平林金属にて

(4) 岡山県庁及び倉敷市真備町被災地

   (災害による農業被害や災害廃棄物への備えについて)

【調査目的】

   平成30年7月豪雨被害で、倉敷市真備町を中心に大きな浸水被害が発生したため、岡山県は各種応急対策や復旧対策を実施している。
   本県では、近年、竜巻や台風の災害が発生している中、大規模な豪雨災害にも備える必要があることから、同県庁や被災地を視察することで、本県の農林業や災害廃棄物に係る災害の予防や応急・復旧対策の参考とする。

【調査内容】

   平成30年7月豪雨では、岡山県内で死者79人、重軽傷者177人、全壊家屋4,830棟、半壊家屋3,364棟、多数の水道、電気の停止など甚大な被害が発生した。
   農林業では、農地900haが被害に遭い、30万tの災害廃棄物が発生した。同県では、災害発生から1年以上となるが、今なお災害の深い爪痕が残るとともに、多くの被災者が仮設住宅での生活を余儀なくされており、再開に至っていない事業所や店舗もあるなど、本格的な復旧・復興の実現には、まだ多くの時間を必要とする状況にある。また、災害に強く、元気な岡山を一日も早く実現するため、「復旧・復興ロードマップ」を策定し、復旧・復興対策を最優先に、市町村や国 、関係団体等と緊密に連携しながら 、ロードマップに掲げた各種施策に全力で取り組み、農業施設復旧や災害廃棄物処理を完了させることを目指している。
   具体的な災害廃棄物処理業務では、県の役割として被災市町村への技術的援助、関係機関及び他都道府県等の協力・支援調整、災害廃棄物処理の進捗状況の把握などを行っている。災害廃棄物の処理状況としては、今年7月末時点で発生推計量443千tに対し、処理量は284千tと64.2%の処理進捗率となっている。
   また、農林業業務では、大規模被害のあった倉敷市服部地区の県営農業施設災害復旧事業で、主ポンプ分解整備、水位計更新や電気設備更新などの復旧事業を行っているとのことであった。
   概要説明の後、委員から活発な質疑が行われた。その中で、「倉敷市真備町の営農の再開状況はどうか」との質問に対し、「土砂の流入や給排水施設の使用不可で、米等の収穫は皆無となったが、ボランティアの協力も得ながらガレキの処理や水路の泥上げ、雑草処理を行ったことで、昨年営農を再開し、今年は平年を約15%以上上回る収穫となった」との回答があった。その後、真備町の豪雨の被災地を視察した。
   今回視察先を調査できたことは、本県の農林業や災害廃棄物に係る災害の予防や応急・復旧対策を進める上で、大変参考となるものであった。 

お問い合わせ

議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4922

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?