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掲載日:2023年5月23日
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平成29年6月5日(月曜日)~7日(水曜日)
(1) (公財)あいちコミュニティ財団(名古屋市)
(2) 三重交通G スポーツの杜 鈴鹿(鈴鹿市)
(3) 愛農学園農業高等学校(伊賀市)
(4) 愛知県陶磁美術館(瀬戸市)
(NPO活動及びコミュニティ活動の推進について)
(公財)あいちコミュニティ財団は、NPO等の経営基盤を強化し、安心できる地域の未来を創造するため、様々な事業を展開している。
資金調達プログラム「ミエルカ」では、同財団が地域課題の「見える化」を支援し、その認知度を高めた上で寄附を募集することにより、NPO等の“志金”調達をサポートしている。あわせて、NPO等が継続して寄附を集める仕組みを作るための支援も行っている。
このほか、同財団や企業により設置された基金を複数管理し、基金の目的に応じたテーマに取り組むNPO等に資金を助成している。また、社会貢献に取り組む企業と、売上げの一部を寄附する「寄附付き商品」を開発するなどの連携も進めている。
同財団の取組を視察し、本県におけるNPO活動及びコミュニティ活動推進の参考とする。
(公財)あいちコミュニティ財団は、653人の発起人から総額950万円の寄附を集め平成25年4月に設立した、愛知県初の市民コミュニティ財団である。県内の地域課題を「見える化」し、その解決に挑むNPO等へ“志金”を融通することで、安心できる地域の未来づくりに取り組んでいる。平成29年3月末現在で、寄附の累計は、6,387件、約6,844万円となり、これまでに県内の地域課題に立ち向かう53の解決策を実施するために2,156万円を助成した。助成に当たっては、370人のボランティアスタッフによる伴走支援を行うことが大きな特徴である。
同財団では、ホップ、ステップ、ジャンプの3段階でNPO等の自立を支援している。ホップで、地域課題と先行事例を調査し、ステップで、解決策の検討とブラッシュアップを行い、ジャンプで、解決策に必要な資金と人の募集を行う流れになっており、各段階に応じて助成プログラムを設けている。
ホップの段階では、同財団が設置した基金「あいちの課題深堀りファンド」による助成を行っている。これは、同財団と助成先のNPO等が一緒になって、地域課題と解決策の先行事例を可視化する助成プログラムで、ボランティアスタッフが課題の深堀りをサポートしている。これまでに、愛知県内の在住外国人聴覚障害者調査や潜在的なひきこもりの実態調査などを行うNPOに助成したとのことであった。
ステップの段階では、冠プログラム「カンムリ」による助成を行っている。これは、寄附者が作るオリジナルの助成プログラムで、名称に寄附者の名を冠するなど、基金の名称や助成対象、分野、金額等に寄附者の思いを反映することができるものである。基金は、同財団が管理・運営し、助成先の決定を代行するため、運営の手間やコストが抑えられるといったメリットがあるとのことであった。例えば、東海労働金庫が、働く人を応援する事業に助成する「東海ろうきん傍
楽(はた
らく)ファンド」がある。このファンドでは、同行が新規契約の普通預金1件につき10円、住宅ローン1件につき100円などを拠出し、原資としている。これまでに、就労支援に役立つ日本語教材配布事業(助成額30万円)などが助成を受けている。ほかにも、「名フィル子どものエール基金」や「住友理工あったか未来基金」など寄附者の思いを反映した名称の多様な基金が運営されている。
ジャンプの段階では、事業指定プログラム「ミエルカ」による助成を行っている。これは、同財団とNPO等が一緒になって寄附を集める助成プログラムで、地域の課題をウェブ等で広く訴え、それを解決するための取組への寄附金を“志金”と呼び、これを財団経由で集めるものである。この助成プログラムでは、NPO等の組織基盤強化にも取り組み、NPO等の信頼性を高めることも目指している。
ほかにも、中小企業と連携して「寄附付き商品」の開発に取り組んでいる。平成28年には、参加店舗で生ビールを注文すると、1リットルにつき1円が寄附される「カンパイチャリティキャンペーン」を実施し、4か月で約420万円の寄附が集まったとのことであった。
概要説明の後、寄附文化の醸成やNPO等への継続的な支援などについて、委員から活発な質問が行われた。
今回視察先を調査できたことは、本県におけるNPO活動及びコミュニティ活動を推進していく上で、大変参考となるものであった。
(スポーツの振興について)
三重交通G スポーツの杜 鈴鹿は、三重県のスポーツの普及・振興と競技力向上の拠点施設として位置付けられた県営スポーツ施設である。屋内水泳場やテニスコート、サッカー・ラグビー場、体育館などを備え、様々な大会の開催や合宿を含む多様な利用形態が可能となっている。
特に、屋内水泳場の50mプールや飛込プールは、日本水泳連盟の公認プールとして国際的な大会も可能であり、平成28年7月には、競泳日本代表チームがオリンピックに向けた事前トレーニングキャンプを実施している。
また、同施設では、多くの県民が参加できる多種多様なスポーツ教室やスポーツイベントのほか、スポーツ講習会を実施している。
同施設を視察し、本県におけるスポーツ振興の参考とする。
三重交通G スポーツの杜 鈴鹿は、県民のスポーツ活動を通して、健康づくり・文化交流に寄与するとともに、スポーツの振興と競技力の向上及びレクリエーション活動の拠点としての役割を果たすべく計画、建設された。サッカー・ラグビー場は、総事業費約36億円の第1期分として整備され、平成4年10月に供用開始となった。屋内水泳場とテニスコートは、総事業費約136億円の第2期分として整備され、平成9年7月に供用開始となった。このほか、多目的広場(平成17年7月供用開始)や体育館(平成19年4月供用開始)、クライミングウォール(平成19年9月供用開始)などが整備されている。
同施設の設置主体は三重県であり、指定管理者として三重県体育協会グループが管理運営している。施設の正式名称は三重県営鈴鹿スポーツガーデンであるが、県営スポーツ施設ネーミングライツ事業により、平成26年10月から、愛称として現在の名称が使用されている。
明るく開放的な屋内水泳場は、50mのメインプール、25mのサブプール、飛込プールを備えている。競泳、水球、シンクロナイズドスイミングなどの国際競技にも対応できる本格的な施設で、好記録が出やすいと各種大会で好評を博しているとのことであった。テニスコートは、三重県内で最大規模を誇る21面のコートを有している。センターコートは、1,648席の観客スタンドや照明設備を完備し、国際試合や全国大会に対応している。サッカー・ラグビー場は、天然芝4面、人工芝1面を有し、メインスタンドに約3,300人、サイド・バックスタンドに約8,700人の収容が可能である。平成4年には、Jリーグ公式戦、平成15年と平成16年には、Jサテライトリーグの会場としても利用されたとのことであった。
同施設では、水泳場や体育館などを活用して、水泳やヨガ、バレーボール、ダンスなどのスポーツ教室のほか、県民が気軽に参加できるスポーツイベントを開催している。また、クライミング体験会など、スポーツを始める機会を提供するためのスポーツ講習会や、水難事故に備えるための着衣泳講習会なども実施している。
同施設の利用者数は、平成28年度で、水泳場が約21.5万人、テニスコートが約10.2万人、サッカー場が約9.8万人、体育館が約8.6万人の計約50.1万人と過去5年間で最も多くなっている。
三重県では、平成33年に国民体育大会の開催が予定されていることから、同施設の水泳場やテニスコートを改修する予定であり、また、ラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、キャンプ地誘致の取組を進めるとのことであった。
概要説明の後、各施設の視察を行った。その中で、事業費の詳細や維持管理などについて、委員から活発な質問が行われた。
今回視察先を調査できたことは、本県におけるスポーツの振興に大変参考となるものであった。
三重交通G スポーツの杜 鈴鹿にて
(私学の振興について)
愛農学園農業高等学校は、(学)愛農学園が運営する日本で唯一の私立の農業高校である。「持続可能な農業」を教育の柱とし、化学肥料や農薬を用いない有機農業を実践している。また、授業に聖書の学びを取り入れ、自分と向き合い、自らの生き方を考える生徒を育てている。
同校は全寮制で、全国から集まった生徒全員が敷地内の寮で生活を共にし、自主・自立を学んでいる。また、校内の食事の多くを生徒が育てた作物や家畜で賄い、食べ物を大切にする心を育んでいる。
昭和38年の開校以来、約1,100人が卒業し、このうち約45%が農業の担い手となっている。同校は、国際交流にも積極的に取り組み、海外の留学生の受入れなどを行っている。
同校を視察し、本県の私学振興に関する施策推進の参考とする。
愛農学園農業高等学校は、生命を大切にする人材を育てることを目的として昭和38年に設立された、日本で唯一の私立の農業高校である。学科は農業科のみで、生徒数は1年生が22人、2年生が21人、3年生が15人の合計58人である。同校では、「神・人・土を愛する」という三愛精神を教育の基本とし、「聖書による人格教育」、「全寮制教育」、「農業教育」の3つを教育の柱としている。
「聖書による人格教育」では、聖書の精神に基づく良心教育を目指して、朝拝や聖書の授業を行い、人格の形成を図っている。
「全寮制教育」では、学校生活・寮生活を共にする中で自主・自立を学び、互いを認め合い、尊重し合える人を育てる教育を目指し、全寮制・少人数制の教育を採用している。生徒にとって、若いときに親元を離れ、基本的生活習慣と自立心を養うことは、その後の人生にとって大切な財産になるとのことであった。
「農業教育」では、土を愛し生命を愛する精神に立って、有機農業教育に力を入れている。家畜の糞尿は堆肥として利用し、畑等には科学的な肥料や化学農薬は一切使用しないで作物を育てることにより、生徒たちは持続可能な農業を学んでいる。また、日々の食事には、生徒たちが自ら育てた食材を使っており、学校内の自給率は実に70%以上となっている。自分たちが育てたものを毎日食べることで、食べ物を大切にし、自然の恵みに感謝する心が育まれるという。
同校は、全国の農業高校の中でも、ひときわ豊かな農場を備えていることも特徴の一つである。広大なキャンパスには、畑、果樹園、牛舎、養豚場、養鶏場、郊外には水田と演習林を備え、実践教育の場となっている。同校では、普通科目の学力向上に力を入れるとともに、農場での実践的な学びを重視し、主体的な経営ができる農業者の育成を目指した教育を行っている。生徒は2年生から、果樹、野菜、作物、酪農、養鶏、養豚の6部門から選択し、実習や農場当番を通して専門的に農業を学ぶ。また、全国各地の農家と連携しており、在学中や卒業後に農家で実習を行うとのことであった。
同校では、埼玉県を含め、全国から生徒が集まり、韓国やインドなど海外からの留学生も受け入れている。卒業生の就農率は高く、約45%が農業の担い手となっており、過疎化・高齢化が著しい限界集落で農業に取り組む卒業生も多く、地域づくりという観点からも大きな役割を果たしているという。
概要説明の後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「学校経営を成り立たせるためにどんな工夫をしているのか」との質問に対し、「県の助成金のほか、多くの方から寄附を頂いている。また、農産物を販売することで年間1,000万円ほどの収益が出ているので、校舎の修繕等のために一部積み立てている」との回答があった。質問後は、同校内の各施設を視察した。
今回視察先を調査できたことは、本県の私学振興に大変参考となるものであった。
愛農学園農業高等学校にて
(地域の文化芸術拠点の充実について)
愛知県陶磁美術館は、昭和53年6月に開館し、日本やアジアをはじめとする世界各地の様々な焼き物の魅力を展覧会や関連催事を通じて紹介している。開館以降、後世に残すべき優れた作品等を収集し、平成29年4月末現在、コレクションは3点の国指定重要文化財を含む7,810点となるなど、国内屈指の陶磁専門ミュージアムに成長している。
同美術館では、展示や収集活動に加え、陶磁文化の普及、向上を図るための調査・研究活動を日常的に実施している。また、各種講座の開催や学校連携によるスクールプログラムの実施など教育普及活動の展開を図りながら、県民に焼き物作り体験や芸術文化活動の発表の場を提供するなど、地域における文化創造の拠点としても機能している。
同美術館を視察し、本県における文化芸術拠点の充実の参考とする。
愛知県陶磁美術館は、昭和53年6月、日本最大級の窯業地である瀬戸市に、愛知県陶磁資料館として開館した。同美術館は、美術的・歴史的・産業的に貴重な陶磁資料を収集、保存、展示し、調査研究を進めることにより、陶磁文化の普及、向上と陶磁器産業の振興に資することを目的としている。
開館35周年を迎えた平成25年6月には、現在の愛知県陶磁美術館に名称を変更した。歴史的文化財や芸術作品といった様々な魅力をたたえた焼き物を中心とした美術館として、人々の知性や美的感性を高めるための鑑賞や制作、学習等の機会を提供している。
同美術館は、愛知県が直接運営しており、約28万平方メートルの敷地には、本館、南館、西館、陶芸館、古窯館、茶室などが配置されている。焼き物を見て・作って・使うことで、新しい発見をしながら一日ゆっくり過ごせるよう工夫されている。
本館では、縄文時代から現代に至るまでの日本の焼き物の歴史や、外国陶磁、全国の古窯陶磁資料などを紹介する常設展と、多彩なテーマによる企画展を開催している。同美術館では、日本陶磁史の全体像を系統的に理解でき、かつ魅力ある展示となるよう、国内外の作品や資料の収集に努めている。平成29年4月末現在のコレクションは7,810点で、このうち、日本陶磁が4,609点、外国陶磁が2,295点、制作行程の資料など関連資料が906点である。入手方法は、購入が1,468点、寄附が6,342点とのことであった。このほか、本館には、講堂やビデオコーナー、4万冊を所蔵する図書室のほか、レストラン、ミュージアムショップも備えている。
南館は、平成28年2月にリニューアルオープンし、子供が遊びながら焼き物について学べる展示を行っている。子供が理解しやすいように解説シートや学習ワークシートなども用意されている。西館では、陶磁のこま犬が展示され、陶芸館では、作陶や絵付けが気軽に体験できる。古窯館には、敷地内で発掘された平安時代から鎌倉時代までの窯跡が公開されている。
同美術館では、展示だけでなく、講演会、ワークショップといった教育講座や、小学校への出前講座、大学生の研究活動支援などの各種教育普及事業も展開している。
同美術館の利用状況は、平成27年度で、観覧者が50,695人、陶芸館が41,350人の計92,045人である。前年度比で約2万人減少し、利用者の増加が課題となっていることから、同美術館では、活性化の取組として、企画展の充実や子供に対する取組の強化のほか、イベントや地元陶芸団体との連携を進めているとのことであった。
概要説明の後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「指定管理者制度を導入しないで、県直営としている理由は何か」との質問に対し、「厳しい財政状況の中、長期継続契約等によって経費を削減してきており、指定管理者制度を導入しても経費削減が見込めなかったため、県が直接運営している」との回答があった。質問後は、同美術館内を視察した。
今回視察先を調査できたことは、本県における文化芸術拠点の充実に、大変参考となるものであった。
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