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掲載日:2023年5月23日
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平成27年8月26日(水)~28日(金)
(1) 佐賀県立九州陶磁文化館(佐賀県有田町)
(2) 佐賀県庁[佐賀県スポーツコミッション](佐賀市)
(3) 福岡共同公文書館(筑紫野市)
(4) 国土交通省九地方整備局(福岡市)
(地域の文化芸術拠点の充実について)
佐賀県立九州陶磁文化館は、肥前の陶磁器をはじめ、九州各地の陶磁器に関し、その文化遺産の保存と陶芸文化の発展に寄与するため、歴史的・美術的・産業的に重要な資料を収集・保存・展示し、併せて調査研究や教育普及の活動を行うことを目的として、昭和55年11月に設立された。
九州の陶磁器専門の施設として、陶芸文化に関する総合的拠点となることを目指すとともに、国際的な交流を積極的に図れるよう努力している。
本県でも、劇場や美術館等の文化芸術拠点としての機能の充実や世界に向けての発信は重要な課題であることから、同施設の取組を視察し、今後の施策の参考にする。
佐賀県立九州陶磁文化館にて
佐賀県立九州陶磁文化館は、約300年前にヨーロッパへ輸出され、高い評価を得ていた古伊万里(有田焼)を日本へ戻して再検証したいとの機運が地元有田町において高まり、佐賀県に陳情されたことから設置の検討が始まった。地域での期待は高く、建設費17億円のうち5億円を寄附金として集める程であった。その結果、陳情から建設決定まで4年という異例の短期間で計画が決定された。
収蔵品は、開館当初の82点から現在では約24,000点と大幅に増加している。特徴的なのは、そのうち13,000点が、特定の収集家からの寄贈であることである。最初の寄贈を受けた際、専用の展示室を設けたことで信頼関係が構築され、更なる寄贈を受け、現在では同館の主要かつ貴重な収蔵品となっている。
入館者数は、平成8年に同町をメインに開催された「ジャパンエキスポ炎の博覧会」の際に約39万人となったことを除き、開館以来、6万人前後で推移している。平成28年度は有田焼の創業400年を迎えることから、県や町で実施する「有田焼創業400年事業」と連携した特別企画展の実施などにより、入館者数の増加を図ることとしている。
組織体制においては、平成24年度に同館の所管が教育局から知事部局へ移管されたことにより、それまでの教育普及や文化財の保護といった役割から、芸術文化を楽しみ、県民の生活を豊かにする役割を担うという方向へ職員の意識改革が求められることとなった。しかし、同館は、地域の寄附や熱意によって設立された経緯があり、当初から地域への貢献、産業への貢献、観光への寄与を意識して取り組んでいたため、大きな変革を必要としなかった。
指定管理者制度の導入に関しては、学術研究の継続性を保ち、地域との密着性を維持していくため、県による直営を継続していくこととしている。
同館にとって、観光等への寄与によって地域に更なる貢献をしていくためには、施設が十分に対応したものとなっていないことから、今後の整備が課題となっているという。
概要説明を受けた後、資料収集の予算額、指定管理、外国人入館者数などについて委員から活発な質疑が行われた。
今回、佐賀県立九州陶磁文化館を調査できたことは、本県における地域の文化芸術拠点の充実に関する施策を実施していく上で、大変参考となるものであった。
(スポーツの振興について)
佐賀県では、子供から大人まで、障害の有無にかかわらず、誰もがスポーツを楽しめる風土づくりを進めるため、平成24年に知事部局に文化・スポーツ部を新設した。翌年度には、各種スポーツイベントの誘致等を行うことにより、スポーツを通じて全国に向けて情報発信や地域の活性化を図っていくため、同部スポーツ課内に2名体制による「佐賀県スポーツコミッション」を設置した。これは、都道府県としては全国初の取組である。取組内容は、スポーツ大会等の情報収集・提供を行うとともに、国際大会・全国大会等の各種スポーツイベントや大学等のスポーツ合宿の誘致や会場確保等の支援を行うものである。また、スポーツイベントの主催者やスポーツ団体の合宿等の誘致に対して、助成制度を設けている。
本県でも、スポーツの振興は重要な課題であることから、同県の取組を調査し、今後の施策の参考にする。
佐賀県では、総務、福祉、教育に分散していたスポーツ関係を、平成24年度から知事部局に一元化し、文化・スポーツ部を新設した。同部のスポーツ課は、学校体育以外のスポーツ行政としての取組を所管していたが、平成25年度からスポーツ資源を活用し、経済効果をはじめとした波及効果による地域の活性化を図ることを目的として、2名体制によるスポーツコミッション担当を新設した。役割としては、県内部における活性化の取組ではなく、県外への積極的な情報発信により、外から人を呼び込んでくることにより、地域の活性化に取り組むという目的に特化したものとなっている。
また、同県のスポーツコミッションの特徴としては、他県のスポーツコミッションが観光協会や体育協会など外部団体が主体となって組織化されてるのに対し、県の職員によって県の事業として行われていることである。
具体的な取組概要としては、スポーツ大会や合宿の誘致などを通じて、同県の情報発信やイメージアップを行うとともに、地域の活性化と交流人口の拡大を図るため、3本柱で取り組んでいる。1つ目は、体制整備である。小さな組織でスピード感を持った活動を行うため、体育協会、スポーツ競技団体、観光関係団体などとのネットワーク構築に力を入れている。2つ目は、誘致活動と情報発信である。誘致活動は、ターゲットを関西以西の実業団や大学の合宿やキャンプに絞っている。これは、地域への一定の波及効果を期待してのことである。情報発信では、ホームページやフェイスブックを中心とし、アクセス先を分析することにより誘致活動へフィードバックしている。実際、関西方面からの合宿件数が増えてきており、効果が表れてきている。3つ目は、誘致した合宿等の受入及び活動支援である。大学等のスポーツ合宿における宿泊先のマッチングや対戦相手の確保等の支援を、市町村等と連携しながら行っている。
概要説明を受けた後、地元との連携などについて委員から活発な質疑が行われた。
今回、佐賀県スポーツコミッションを視察することができたことは、本県におけるスポーツ振興に関する施策を推進していく上で大変参考になるものであった。
(県・市町村共同による公文書管理等について)
福岡共同公文書館は、福岡県と県内全58市町村(政令市である北九州市、福岡市を除く)が共同で設置・運営する公文書館であり、平成24年11月に開館した。県と市町村の共同による公文書館は全国で初めての取組である。
同館は、同県と県内市町村の歴史資料として重要な公文書(歴史公文書)や行政資料を収集、整理、保存し、一般の利用に供している。また、展示会、研修会、講座等を開催するとともに、公文書の保存に関する調査研究を行っている。
運営は、同県と県内市町村(政令市を除く)が共同で行っている。市町村は福岡県市町村自治振興組合が運営主体となり、県と組合が共同で管理運営している。
今後の本県における公文書管理等の参考とするため、同館の取組を調査する。
福岡共同公文書館にて
福岡共同公文書館は、福岡県と同県内の政令市を除く全58市町村が共同で設置・運営する公文書館であり、全国で初めての取組である。設立の経緯としては、多くの市町村では財政状況が厳しく、単独での公文書館設置が困難である中、平成の大合併による公文書等の散逸が危惧されていたことから、平成17年に大学関係者等の有識者から県と市町村に要望書が出されたことが契機となった。翌年、県は「福岡県共同公文書館基本構想検討委員会」を設置し、同年、基本構想が答申されたことにより、設置計画がスタートした。
共同設立の意義と効果としては、財政負担の軽減だけではなく、県内の公文書が適切な環境で体系的・一元的に保存されることにより、各自治体における適切な文書管理が促進され、また、各自治体の活動が公文書により比較検証が可能となることである。さらに、利用者にとっては、一か所での閲覧が可能となることで、利便性の向上にもつながる。
管理・運営については、市町村は一部事務組合である福岡県市町村自治振興組合が主体となり、県と同組合が共同で管理運営を行っている。組織は、施設としての一体性のある円滑な管理運営を行うため、県と組合の合同組織となっている。職員は、県職員3人と組合職員3人(市町村からの出向職員等)及び非常勤職員10名で構成し、県と組合それぞれから併任発令を行い、組織の一体性を確保している。運営費に関しては、県と市町村の折半としている。
今後の課題としては、県行政委員会等の歴史的公文書の移管促進、歴史的公文書の移管に差がある市町村おける選別支援と移管促進、公文書等の管理・保存・利用に関連する調査研究と行政へのフィードバック及び専門性を持った人材の養成であるという。
なお、「福岡共同公文書館」という名称は、県設置条例における「福岡県立公文書館」と市町村の「福岡県市町村公文書館」の総称である。
概要説明を受けた後、整備・運営予算や選別基準などについて委員から活発な質疑が行われた。
今回、福岡共同公文書館の取組を調査できたことは、今後の施策を推進していく上で大変参考となるものであった。
(女性・若手技術者登用型入札制度について)
国土交通省九州地方整備局では、平成26年度から、女性技術者や若手技術者の配置を要件とした新たな総合評価方式による工事の入札を試行してきた。これは、九州地方で働く女性及び若手技術者の登用促進・育成を通じて、魅力的な職場環境の創出を促し、担い手の中長期的な育成・確保を図るとともに、技術力向上による成果品の品質確保を図るために導入したものである。
平成27年度からは、コンサルタント業務にも試行業務を拡大している。コンサルタント業務での女性・若手技術者関連の試行は、国土交通省の出先機関では初めてである。
今後の本県における入札制度の参考とするため、同局の取組を調査する。
九州地方整備局は、国土交通省の全国に8つある地方整備局の一つであり、沖縄県を除く九州地方7県を管轄しており、8部42課3室、42事務所86出張所で構成されている。
同局において、女性技術者や若手技術者を登用する入札制度を導入した背景としては、バブル経済の崩壊以降、建設投資が減少し続けてきたことにより、建設業の魅力低下とともに、若手技術者の入職の減少や入職後の離職率が高くなっていた。また、高齢化も進んでおり、今後、次世代への技術力等の継承が危ぶまれていることから、若手技術者の確保・育成が重要な課題となっていた。さらに、日本の成長戦略の一つである女性の社会進出に対しても、建設業からのアプローチが必要となっており、女性技術者が働きやすい職場環境とするための取組が必要となっていたため、国土交通省では、新たな総合評価方式の一つとして、平成26年5月から女性技術者や若手技術者の配置を要件とした工事の試行を全国で始めた。さらに、同局では、平成27年度から国土交通省の出先機関では初めての取組となる、コンサルタント業務の総合評価方式における女性・若手技術者の配置等を要件とした入札の試行を開始した。
試行に当たっては、業界との意見交換により実施可能性や意向の確認を行った。また、総合評価方式であることから工事・業務の品質確保のために、過去の女性技術者が携わった工事・業務の成績を分析した上で、対象工事・業務の選定を行った。今年度の対象コンサルタント業務としては、担当技術者に女性技術者の配置を入札参加要件とする「女性技術者配置型」11件、監理技術者に女性技術者の配置を評価項目とする「女性技術者評価型」8件、監理技術者(40歳未満)及び担当技術者(30歳未満)に若手技術者の配置を参加要件とする「若手技術者配置型」12件を実施予定である。
今後、試行した工事や業務の品質の評価方法の研究を含めた実績の分析を行い、方向性の検討を行っていくという。
概要説明の後、試行の周知方法や女性技術者増加への影響などについて活発な質疑が行われた。
今回、九州地方整備局の取組を調査できたことは、本県の入札制度に関する施策を実施していく上で、大変参考となるものであった。
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