総務県民生活委員会視察報告
調査日
令和6年9月3日(火曜日)
調査先
(1)関東国際高等学校(東京都渋谷区)
(2)文京区青少年プラザ(b-lab)(東京都文京区)
調査の概要
(1)関東国際高等学校
(私学の振興について)
【調査目的】
■本県の課題
- 私立学校の教育の質を高め、建学の精神に基づく特色ある学校づくりを進めるための取組を継続的に支援する必要がある。
■視察先の概要と特色
- 関東国際高等学校には定員120名の普通科と定員240名の外国語科がある。特に、令和5年度にイタリア語及びスペイン語、令和6年度にフランス語コースを外国語科に新設して合計10か国語を学べる環境を整えるなど、外国語教育に力を入れている。
- 世界22の国と地域の学校と連携しており、これら提携校とのネットワークを生かした、特色ある学習機会を提供している。
【調査内容】
■聞き取り事項
- 同校ではコース制を採用している。本県でも複数の高校がコース制を採用しているが、多くの学校が入学後にコースを選択するのに対して、同校では大学入試のように、生徒が入試の際にコースを選択し、当該コースに入学する。そのため、当該語学に対する生徒の学習意欲は非常に高い。
- 提携校の代表生徒が一同に集まり課題を話し合う世界教室国際フォーラム、提携校に約10か月間通い、言語の習得やグローバルな視野、柔軟な適応力を身に付ける長期交換留学、現地に約3週間滞在して言語と文化の学びを深める現地研修、海外大学への進学支援など、提携校とのネットワークを生かした特色ある外国語教育を提供している。
- 大学の一般入試で使用する外国語は限られているため、国際系の高校は進路対策が課題である。そのため同校では、独自の高大連携を進め、複数の有名私立大学から多くの推薦枠を得ており、指定校推薦や総合型選抜での進学率100%を目指している。
■質疑応答
Q:入試の際にコースを選択させるとのことだが、卒業までに当該言語に対する学習意欲が低下する生徒もいるのではないか。どのような支援を実施しているのか。
A:特に1年生の1学期は非常に重要な時期であり、生徒一人一人に合わせて、本当に少しずつ丁寧に授業を進めている。当該言語に対する元々の学習意欲は高いので、少人数で指導し1年間乗り切れば、その後生徒が中途退学することはない。本校は受験したコースに対して合否を出しているため、各コース間での転籍を認めていないが、学習意欲の低下による退学者はほとんどいない。
Q:大学卒業後の就職状況等は把握しているのか。
A:生徒自らの情報提供がない限り、大学卒業後の就職状況等まで把握できていない。今後は提携校とも連携して、一般社会の中で本校の卒業生がどのように活躍し、本校での学びをどのように生かしているのか等を把握し、教育環境の整備等につなげていきたいと考えている。
(2)文京区青少年プラザ(b-lab)
(こどもの居場所づくりについて)
【調査目的】
■本県の課題
- 不登校や虐待の増加など、こどもを取り巻く課題が複雑化する中で、誰一人取り残されず夢や希望を持って健やかに成長できるよう、学校や家庭以外で安心して過ごせる居場所の整備が必要である。
■視察先の概要と特色
- 文京区青少年プラザは、主に中学生や高校生の自立性や社会性を育むことを目的として整備された施設である。
- 「中高生の秘密基地」をコンセプトに、談話スペースや料理や工作ができる多目的スペース、バンド活動ができる音楽スタジオ、ダンスや演劇ができるホール等が整備されている。
- 平成27年4月の開設以来、公募型プロポーザル方式で選定された認定NPO法人カタリバが運営している。
【調査内容】
■聞き取り事項
- 同施設では、中高生が安心・安全に自分らしく過ごせるような居場所づくり、新しい自分や興味関心、やりたいことを発見するきっかけづくり、発見したやりたいことを周囲と協力しながら実現する環境づくりの三つを中心に取り組んでいる。
- 居心地が良いと感じる空間を作るため、中高生のニーズに合わせた設備や玩具を整えている。また、様々な興味関心を広げるきっかけを作るため、音楽やダンス、スポーツ、ものづくりなど、様々な分野のイベントを年間200件以上実施している。
- さらに、やりたいことを見つけた中高生による自主イベントの企画・運営をサポートしている。周囲と協力しながらイベントの企画・運営に挑戦することで、自己肯定感が高まるだけでなく、協働することの楽しみや自分のやりたいことを工夫しながら実現する力を育むことにつながっている。
- 施設の運営には、大学生ボランティアにも協力してもらっている。年齢が近い彼らは、中高生にとってより身近な存在であり、学校の先生や友達には話しづらいことを相談したり、進路選択などについてアドバイスを受けたりしている。このような大学生への相談事例は増加傾向にあり、職員と中高生とをつなぐ存在として、大学生は大きな役割を果たしている。
■質疑応答
Q:音楽室などの設備面だけでなく、漫画やテレビゲーム等の玩具も充実しているが、購入資金は誰が負担しているのか。
A:予算の範囲内で、文京区が全額負担している。中高生から購入希望があった際は、本人の思いを酌み取りつつ、利用者全員にとって必要なものなのか、確認しながら購入するようにしている。
Q:施設を卒業したOBやOGとの連携はどうか。
A:当施設で友達や居場所の作り方を学んだあと、卒業後は自らの力で実現してほしいというのが当施設の願いである。そのため卒業後1年間は、施設内での活動はできないという方針を定めている。
文京区青少年プラザ(b-lab)にて