総務県民生活委員会視察報告
調査日
令和6年5月28日(火曜日)~29日(水曜日)
調査先
(1)中京大学豊田キャンパス(愛知県豊田市)
(2)岐阜県庁(岐阜県岐阜市)
(1)中京大学豊田キャンパス
(スポーツ科学拠点施設について)
【調査目的】
■本県の課題
- スポーツ振興施策を進める上で、スポーツ科学の知見を活用したアプローチが必要とされているものの、予算や人材確保の面で課題があり、科学的エビデンスに基づくアスリート支援はごく一部に限られている。アスリートを支援し、スポーツ科学の知見を活用できる環境の整備が急務となっている。
■視察先の概要と特色
- 中京大学豊田キャンパスにはスポーツ科学部が設置されており、約43ヘクタールの広大な敷地内には、22の屋内、屋外スポーツ施設が集積している。
- ほかにも、多数の研究施設、設備やサポート施設等、多彩かつ最先端の設備が整っており、研究施設での科学的な分析をスポーツ施設での実践に生かし、多彩なサポート施設で更なる能力の向上、強化を図るなど、理想的な好循環を生み出している。
【調査内容】
■聞き取り事項
- 同大学ではクラブ活動を課外活動ではなく教育活動の一環として位置付けており、人、モノ、金、情報など様々な分野で支援している。
- 安全性の向上やスポーツを通じた学生の成長を促す存在として、指導者の確保を重要視しており、教職員に加え専門的な知識を持った外部指導者とクラブ側の要望に応じて業務委託契約を取り交わすことで、適切な人材確保体制を築いている。
- 各連盟公認のスポーツ施設のほか、水深3メートルから標高3,000メートルまでの気圧環境を再現できる気圧トレーニング室や身体運動の動作解析を行うことができるバイオメカニクス実験室、泳ぎ手のエネルギー消費量の測定や全方位からの動画撮影が可能な回流水槽等、全国的にも珍しい研究施設、設備が数多くある。
- また、専門医による保険診療が受診できる保健センターやアスレチックトレーナーが常駐しているリコンディショニングルームがあり、けがの予防、治療、現場復帰という全ての段階でアスリートを支援する体制を整えている。
■質疑応答
Q:スポーツ施設の更新について、どのように考えているのか。
A:中京大学長期計画の中で、施設の新設や保全に関する整備計画を策定しており、当該計画に基づき整備をしている。
Q:学外組織との連携について、具体的にどのような連携を行っているのか。
A:豊田市やトヨタ自動車、地元のスポーツクラブ等と連携してスポーツコンソーシアムを立ち上げており、本学からはスポーツ教室への講師の派遣、豊田市からは財政的な支援など、地域スポーツの推進と活性化のため相互に協力している。また、愛知県とは体育・スポーツ振興に関する協定を締結しており、施設の相互利用や次世代アスリートの発掘、育成、強化に関して協力している。
Q:外部資金を獲得する仕組みはどうか。
A:スポーツ全般や大会全般、特定のクラブなどに用途指定した寄付金を募っており、学園100周年記念など外部に情報発信する際に積極的にPRしている。
(2)岐阜県庁
(県庁舎の再整備について)
【調査目的】
■本県の課題
- 本県の本庁舎は築70年を超え、老朽化、狭あい化、分散化などの様々な課題を抱えているため、DX、利便機能、危機管理、脱炭素化など、再整備に当たり将来の県庁舎の在り方を多角的、複合的な視点で検討する必要がある。
■視察先の概要と特色
- 旧岐阜県庁舎は、建物や設備機器の老朽化により維持修繕費が年々高騰していたほか、執務環境や環境への配慮、セキュリティ、災害対策機能、県民の利便性等、様々な問題を抱えていた。
- 新庁舎は、オープンフロアやビルエネルギー管理システム、セキュリティゲートなど、通常建築物の1.5倍の耐震性能等を備えるだけでなく、県民ホールやギャラリー、展望ロビー等、県民の利便性向上や地域の魅力発信等の機能も有している。
【調査内容】
■聞き取り事項
- 平成23年6月定例会において、知事から県庁舎の再整備に向けた基金の積立てに関する答弁がなされ、これを機に県庁舎の再整備に関する議論が始まった。
- その後、平成25年度から基金の積立てを開始し、平成26年度からは学識経験者等からなる有識者会議が開催された。さらに平成27年度には、県議会の中に再整備の在り方について協議する特別委員会が設置され、議論が進んでいった。
- 再整備の方法については、その場での建替えや改修の場合は、仮設の庁舎が必要になることや改修しても狭あいの問題は根本的に解決しないこと、災害対応等の面から県警察本部庁舎と同一敷地内であることが非常に重要であること等の観点から、旧庁舎と同一敷地内に建て替えるという判断に至った。
- 新庁舎について職員からは、オープンフロアのため他部局の職員とコミュニケーションを取る機会が増えた、フロア中心部に多目的スペースがあるため打合せを速やかに実施できるようになった等の声が上がっている。また、県民からは、展望ロビーやギャラリーができたことで、県庁に来るきっかけや、身近なものとして感じられるようになった等との評価を頂いている。
■質疑応答
Q:エレベーターの前を横切るように敷設されている誘導ブロックについて、2か所隙間が空いていた。ほかのフロアでも隙間が空いている誘導ブロックが見受けられたが、どのような意図があるのか。
A:車いす利用者が誘導ブロックに乗り上げることなくスムーズにエレベーターに乗れるよう、両輪の幅に合わせて隙間を空けたものである。誘導ブロックには連続性も必要であるため、目の不自由な方々の御意見も伺いながら、隙間は15センチ程度とした。
Q:エレベーターでの移動が多くなると思うが、地震の際の対応はどうか。
A:遠隔監視システムが導入されており、震度5弱程度であれば、安全性や異常がないか確認され次第、自動で運行が再開される。
岐阜県庁にて