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掲載日:2023年11月27日
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令和5年8月21日(月曜日)~22日(火曜日)
(1) 仙台育英学園高等学校(宮城県仙台市)
(2) まなびあテラス(山形県東根市)
(私学の振興について)
本県においては、私学に関する制度面での充実や特色のある教育の振興が課題となっている。
仙台育英学園高等学校は、勉学では難関大学の合格者を多数輩出し、部活動では第104回全国高校野球選手権大会優勝校となるなど大きな成果を挙げている私立高校である。
同校の取組を調査することにより、本県における私学振興の施策を推進する上での参考とする。
同校は、宮城県にある私立高等学校である。秀光中学校とは併設型の中高一貫校であり、東北では初の中高一貫教育校でもある。在籍生徒数は全日制だけでも1学年あたり約1,100人、3学年では約3,300人と非常に多い。また、世界12か国に100校近くの姉妹校を持ち、創立以来7万人を超す卒業生を世に送り出している。
まず、教育の特色として、生徒の個性を伸ばす豊富なコースが設定されている。同校には秀光コース、特別進学コース、外国語コース、英進進学コース、情報科学コース、フレックスコース、技能開発コースの7つのコースが設けられ、それぞれの特色に合わせた教育が行われる。また、東北地方で初めての国際バカロレア(IB)のDP(16~19歳対象のプログラム)認定校である。国内初のBTECセンター(専門科目の国際資格取得を支援)設置校であり、UPAA(海外協定大学推薦制度)加盟校でもある。
また、運動系、文化系共に部活動が盛んである。42の部活動があり、その中には駅伝、ライフル射撃など全国制覇、上位進出の経歴を有する部が複数ある。中でも硬式野球は甲子園大会常連校であり、第104回全国高校野球選手権大会では東北勢として初優勝を果たした。また、文化部でも書道部が第30回書の甲子園で優勝するなど、大きな成果を挙げている。
その他においても、行政や保護団体と連携してのシジュウカラガン復活プロジェクトの取組、宮城大学と連携したアントレプレナーシップ教育など活発な活動がなされている。
学校施設は、仙台市宮城野区の宮城野キャンパスと多賀城市の多賀城キャンパスの二つを設けており、生徒は選択したコースに従い、いずれかのキャンパスに所属する。宮城野キャンパスには、400名以上の収容が可能でセレモニーやコンサートなどに利用されるゼルコバホール、学習室として開放されるオークルーム、最新の設備で専門的な実験も可能な理科実験室等を備える。東日本大震災によって大半が被災した宮城野校舎をわずか2年で再建したことは学園復興の象徴とされている。多賀城キャンパスは、104,970平方メートルの広大な敷地の約8割が運動場であり、野球場、サッカー場、ラグビー場など全国でもトップクラスのスポーツ関連設備が整備されている。
概要説明後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「学校経営上で進学実績も重要となるが、どのように数値目標を設定しているのか」との質問に対し、「生徒の進路希望の70%以上を現役で実現することを目標に、校内に委員会を設置し、協議しながら取り組んでいる。例えば、特別進学コースでは、国公立の入学者増加を目的にしているが、進路希望を実現するという観点であり、何人を入学させるという目標設定ではない」との回答があった。また、質疑終了後、宮城野キャンパス及び多賀城キャンパスを視察した。
今回、視察先を調査できたことは、本県における私学の振興に大変参考となるものであった。
仙台育英高等学校にて
(県民文化の振興及びコミュニティづくりの推進について)
本県においては、誰もが文化芸術活動に参加できる環境の整備及び地域活動の担い手不足が課題となっている。
まなびあテラスは「集い、学び、創造する情報と芸術文化の交流拠点」を基本理念とし整備された複合文化施設である。
当該取組を調査することにより、県内各市町村への好事例の展開なども視野に、本県における文化の振興及び地域コミュニティ形成の参考とする。
同施設は、市民や地域を支える情報拠点としての図書館、市民利用のギャラリーを基本とした芸術文化の活動拠点としての美術館、活力ある団体活動の情報拠点としての市民活動支援センター、都市公園からなる複合施設である。 「集い、学び、創造する情報と芸術文化の交流拠点」を基本理念に、各機能が独立しながらも、それぞれが互いに融合し、相乗効果を発揮することで、市内外から気軽に訪れ、楽しみながら知的好奇心が刺激される、時代のニーズに対応できる施設を目指している。
同施設は、平成28年11月に開設されており、民間の資金と経営能力・技術力を活用し、公共施設等の設計・建設・維持管理・運営を行うPFI方式で整備された。PFI方式による整備は東根市としては4例目となる。設計に際しては、エントランスホールの周りに全ての機能を配置するなど、それぞれが相乗効果を発揮することを目指しているとのことであった。
施設の機能面について、まず、図書館は東根市立さくらんぼ図書館を移設し、リニューアルしたものである。蔵書はこれまでの約4倍となる20万冊であり、一般図書、児童図書、ティーンズコーナー、おはなしのへや、学習室のほか、 読書テラスとキッズテラスも設けられ、自動貸出・返却機や24時間受取ボックスも設置されている。
さらに、北海道・東北で初となるIC予約本受取棚を設置を設置するほか、タブレット貸出による館内閲覧、自宅PCでの閲覧が可能な電子書籍も導入されており、これらはPFI 方式ならではの事業者提案により整備されたものである。次に、美術館においては、市民作品からプロの芸術作品、絵画や彫刻などから空間芸術やデザインなどの現代アートまで幅広いジャンルに対応した展示を行っている。特別展示室においては、企画展等を実施し、優れた芸術作品を鑑賞する機会を提供している。また、 市民ギャラリーを開放し、利用者が自らの作品を展示する、アトリエで制作活動に取り組むほか、ワークショップなどの市民参加型企画を多数開催し、市民の芸術・文化活動の拠点として新たな発見や感動の場を提供することとしている。また、市民活動支援センターは、様々な分野で活動している人たちを支援する拠点施設であり、学習会やワークショップを開催できる講座室をはじめとする施設・備品や、印刷機などを貸出し、活動の活性化を促すこととしている。
概要説明後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「若者の向けのイベントなどにも積極的に取り組んでいるとのことだが、実際の利用者は高齢者も多くニーズが異なる場合もあるのではないか」との質問に対し、「子育て支援の成果もあり、東根市では子育て世代や子供も増えている。事業ごとにターゲットを定め、 バランスを取りながらイベントを開催している」との回答があった。また、質疑終了後、施設内を視察した。
今回、視察先を調査できたことは、本県における県民文化の振興及びコミュニティづくりの推進に大変参考となるものであった。
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