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掲載日:2019年11月26日
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令和元年9月4日(水曜日)~6日(金曜日)
(1) (株)内田洋行大阪支店大阪ユビキタス協創広場(大阪市)
(2) 大阪桐蔭中学校高等学校(大東市)
(3) 京都スタジアム(亀岡市)
(4) 京都府庁(京都市)
(働き方改革の推進について)
(株)内田洋行は、「執務環境の整備」と「行動・意識の変革」への支援の両輪で、企業の働き方改革と生産性の向上を支援しており、大阪をはじめ、北海道、東京、福岡にショールームを設置している。
本県では働き方改革を推進しワークライフバランスを確立するため、執務環境の整備などが課題となっている。同社が提供するオフィス環境の整備は、多くの企業や公的施設が導入していることから、取組を参考とする。
(株)内田洋行は、1910年(明治43年)創業のオフィス関連家具の開発・製造・販売をおこなう企業である。平成30年時点の社員数は約 3,000人、売上高は約1,500億円となっている。社名の「内田」は、創業者内田小太郎の姓、「洋行」は、中国において外国人の店(洋は外国、行は店)を由来としている。
公共関連事業では、大学・小中高市場へのICTシステムの構築、教育機器の製造・販売、官公庁や自治体へのオフィス関連家具の販売などを行っている。
平成元年に、知の創造を実現するための調査・研究・啓蒙を目的とする企業内研究所「知的生産研究所」を設置し、組織の生産性と「働き方」の関係についての調査研究に着手した。平成26年には、オフィス環境の改善や働き方改革の自社実験プロジェクトを実施し、顧客対面時間50%増、収納庫の設置面積82%削減、会議時間11%削減、年間消費電力削減などを実証した。その取組結果を元に、企業の職場環境の整備を支援している。
また、組織横断的なコミュニケーションの活性化、情報や知識の共有、会議の生産性の向上、ICTの高度活用といった「働き方」の変革に注目している。社内では、健康保持とワークライフバランス、生産性向上等の観点から、長時間労働の抑制や休暇の取得促進に取り組んでおり、一定時間を超える時間外労働に対しては、上長に適宜アラートを出すことで過重労働の未然防止を図っているとのことであった。
このように、内田洋行は、制度・仕組、ワークスペース、ICTの整備による「支援環境の整備」と、行動様式、意識、組織風土の変革による「行動・意識の変革」への支援の両輪で、企業の「働き方改革」と「生産性の向上」を支援している。
概要説明の後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「OAやITシステムを導入しペーパレス化を行った自治体があるか」との質問に対し、「総務省が始めた取り組みだが、茨城県の自治体などで導入を行っている。ITのシステムやセキュリティーを強化することからスタートし、1年以上の期間を経て導入に至った。」との回答があった。質疑後は、同施設を見学した。
今回視察先を調査できたことは、本県における働き方改革を推進する上で、大変参考となるものであった。
内田洋行にて
(私学の振興について)
大阪桐蔭中学校高等学校は、特色のある教育や課外活動を展開しており、昨年度は京都大学に23人が現役合格したほか、全国高校ラクビー、春季及び夏季高校野球大会で優勝、日本管楽合奏コンテストでの最優秀グランプリなど、数々の実績を誇る。
本県では私学に関する制度面での充実や特色のある教育の振興が課題となっており、今後の施策を推進する上で参考とする。
大阪桐蔭は昭和58年に大阪産業大学高等学校大東校舎として開校、昭和63年に大阪桐蔭高等学校として分離独立、平成7年に大阪桐蔭中学校が設立された。中高一貫教育と高校からの編入がある。
中学校では2コース、高等学校では3コースのカリキュラムに分けて特色ある教育を行っており、難関大学への進学、クラブ活動での全国大会優勝を成し遂げている。
進学を目指す生徒には、高校2年生の時点で高校の履修課程を終了させ、3年では志望校別のクラス編成となるカリキュラムを採用している。また、朝のホームルームの時間と終礼の時間を活用しての「毎日小テスト」、指定された問題を解答して提出する「毎日課題」を実施するほか、自習室を朝は6時30分から夜は8時まで開放している。また、電子黒板や一人一台のiPadの導入によるICT教育、授業スピードを上げるつめこみ授業ではなく、授業時間を増やす体制などにより、授業の質の向上に努めているとのことであった。
全国の頂点を目指す体育・芸術コースでは指導経験豊富な専門スタッフが指導しており、クラブ顧問に加え、外部トレーナーから定期的に指導を受けている。また、各部活は専用のグランドを有しており、3,000人を収容可能な体育館、プラネタリウムを設置した物理・地学教室、シンフォニックホール、作法室、コンピューター教室など、設備環境も充実している。各クラブでは全国大会への出場はもちろん、優勝等の好成績を収めている。また、卒業後の進路も、野球部ではこれまで38人、特に昨年度は4人の生徒がプロ野球に入団するなど、大学への進学やプロ契約、更には日本代表として活躍している。
概要説明の後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「入学金が約50万円年間の授業料が約60万円となっているが、支払いに困る方はいないのか」との質問に対し、「塾講師を招へいして授業を行うなど、塾に行かなくても良い体制を整えて、難関大学と言われる大学に合格している。このことを考えると負担は少ないのではないかと考える。学費を理由に退学される方はいない」との回答があった。質疑後は、同校内の各施設を視察した。
今回視察先を調査できたことは、本県における私学振興を推進していく上で、大変参考となるものであった。
(スポーツの振興について)
京都スタジアムは、同スタジアムを核としたまちづくりを謳った、亀岡市の基本計画(京都スタジアム等のスポーツ関連インフラを活用した観光・スポーツ分野)が、スタジアム・アリーナ関連で地域未来投資促進法の支援を受けた国内初のケースとなっている。
本県では、県民の健康や地域の活性化を推進するため、スポーツ施設の充実やスポーツ施設を核とした地域振興が求められていることから、同スタジアムにおける取組を参考とする。
京都スタジアムは、京都府が青少年の夢やあこがれの舞台、スポーツを通じた健全育成、北中部地域へのゲートウェイ、そして京都府全体の発展の拠点として、令和元年度中のオープンを目指し、亀岡市内に整備を進めている(本年6月末現在の工事進捗率は80%)。最寄りのJR亀岡駅からは約300mと至近だが、駅及びスタジアムの入退場時の混雑の緩和のため、観客動線を駅前ロータリーから商業施設や広場を経由し迂回させる計画となっている。スタジアムは球技専用で、約21,600の観客席を有し、観客席最前列より2m張り出した屋根で全席を覆う構造は全国初となっている。また、京都府はスタジアム建設に当たり、亀岡市からの土地の無償提供を受けている。また、ふるさと納税制度を用いた個人寄附金を募集し「府民スポーツ振興基金」に積み立て、スタジアムの建設経費や維持管理経費に活用している。
スタジアムはJリーグ京都サンガFCの本拠地であることに加え、屋内では日本初の国際競技基準を満たすクライミングウォール(オリンピック種目)施設、防災施設、VR・eスポーツ会場等を併設しており、地域振興の拠点としての役割も有している。
また、嵯峨野トロッコ列車や近隣を流れる保津川のライン下りは、多くの観光客が訪れるとともに、付近の田んぼは絶滅危惧種の「アユモドキ」の生息地であることから、開発に当たり、生態系の確保についても配慮した公園整備がなされ、スタジアムと一体となった観光資源としての活用が見込まれている。京都府では、今年度、「京都スタジアム周遊拠点化事業費(約4.3億円)」を予算化し、地域振興を促進するとのことであった。
概要説明の後、スタジアム内の視察を行い、その中で、建物の特色や維持管理などについて、委員から活発な質問が行われた。
今回視察先を調査できたことは、本県のスポーツ振興を推進する上で、大変参考となるものであった。
京都スタジアムにて
(文化庁の移転と日本文化の発信について)
京都府は、「世界の文化首都・京都」を実現させるため、国内唯一の伝統産業人材育成機関による日本文化の発展やフォーラムなどの開催による日本文化の発信などの事業を展開している。
本県の文化を発展させ、発信をどのように行っていくかが、課題となっていることから、移転の効果や国との連携による世界をリードする日本文化の育成ビジョンを調査し、本県の取組の参考とする。
京都府には我が国の国宝、重要文化財の約半数が存在し、日本の文化首都といわれている。京都府では、10年以上前から文化庁の京都移転の要望を行っており、平成27年3月に国が政府関係機関の地方移転に係る提案を募集したことを受けて、同年8月に提案書を提出した。平成28年1月には、京都市会や経済界、宗教界、文化芸術関係者等が連携し「オール京都」で国に対し移転の要望を行った。
この結果、平成28年3月まち・ひと・しごと創生本部において移転が決定された。平成28年7月に行われたテレビ電話等による実証実験を経て、平成29年4月に全面移転の第一歩として、京都市内に「地域文化創生本部庁舎」が設置された。令和3年には、機能を移転した京都府警察本部本館と隣接地に建設する新庁舎の2棟に全面移転する予定である。移転費用として、府警本部の耐震改修等に約20億円、新庁舎建設に約12億円かかる見込み。庁舎整備など建物に関する費用の6割を国が負担し、土地は府が国に無償提供する。
平成29年6月に文化芸術振興基本法が改正され、新たな政策ニーズに対応した文化事業を、地元(京都府、商工会等)の知見・ノウハウ等を生かしながら、先行的に実施するため、京都府は、平成30年7月「京都府文化力による未来づくり条例」を制定し、7つの施策を柱とする基本計画を策定した。「文化活動を担う人づくり」としての「全国高校生伝統文化フェスティバルの開催」、「文化資源を活用した経済の活性化」としての「ARTISIS’FAIR KYOTO」における出品作品約2,500万円の販売、「文化資源を生かした地域づくり」としての「地域アートマネージャー」の全4地域振興局への配置、「多様な京都文化の発信」としての「国際博物館会議京都大会」の開催による京都の魅力の発信など、日本文化を発信するための様々な取組に努めているとのことであった。
概要説明の後、文化庁移転の効果や京都府の日本文化の発信の取組などについて、委員から活発な質疑が行われた。
今回視察先を調査できたことは、文化の発信を推進する上で、大変参考となるものであった。
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