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掲載日:2024年6月10日
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令和6年1月10日(水曜日)
⑴ 埼玉工業大学(深谷市)
⑵ 深谷市(渋沢栄一政策推進課)(深谷市)
(自動運転の取組について)
本県では、地域公共交通の維持・改善、ドライバー不足への対応などが課題となっている。
埼玉工業大学は、令和元年に「自動運転技術開発センター」を設立して自動運転の実用化に向けた研究・開発を強化し、新体制により自動運転バスの開発に注力しており、東京都や愛知県など各地で実証実験を行っている。
令和5年6月に深谷市と同大学をはじめとした7事業者で「深谷自動運転実装コンソーシアム」を結成した。国土交通省の「令和4年度地域公共交通確保維持改善事業費補助金(自動運転実証調査事業)」に埼玉県内で唯一採択されるなど、自動運転レベル4の実現へ向け取組を進めている。
本県の交通施策の参考とする。
埼玉工業大学は、社会の負託に応えるべく、自動運転のほか、蓄電池の開発やクリーンエネルギーの開発など先端的な技術開発を行っている。
同大学では、重度障害者など自身の身体能力で運転できない人でも運転できるように、平成21年にジョイスティックで運転することができる「ジョイ・カー」を(株)ミクニライフ&オート(旧ニッシン自動車工業)と共同で開発した。平成23年に国土交通省から販売許可を受け、多くの方に利用していただいている。
自動運転については、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)に第1期から参加しており、平成29年には公道での自動運転実証実験を開始した。令和元年には「ジョイ・カー」をベースに自動運転AIを融合した自動運転バスを開発した。
深谷観光バス(株)と共同で、県内初の業務用車両として自動運転マイクロバスによる渋沢栄一論語の里循環バスの営業運行や、私立大学として初めてスクールバスでの自動運転も行った。そのほか、県内では加須市銀杏祭、彩の国ビジネスアリーナ、県外では千葉県千葉市、愛知県常滑市セントレア空港、東京都西新宿など様々な場所で試乗会や実証実験を行っている。自動走行距離も年々伸びており、令和3年には年間10,000キロメートルを超えている。
また、同大学は、地域公共交通の自動運転技術導入・推進に向けて、深谷市、A-Drive(株)などと深谷自動運転実装コンソーシアムの連携協定を令和5年6月に締結している。協定各者は、運転士不足などの地域課題を解決し、持続可能な公共交通を実現するため、それぞれの特徴を生かして連携・協力している。また、自動運転レベル4の解禁への対応も視野に入れた先進的な自動運転技術の導入を目指している。先端技術の「地産地消」による地域ブランディングを実現し、企業誘致、地域産業の創出、そして地域振興を推進していきたいとのことであった。
概要説明の後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「後付けの自動運転装置はどのように活用されているのか」との質問に対し、「後付けの自動運転装置の特徴は、既存の様々な自動車に装着が可能なことである。現在は、護送車として利用されてきたマイクロバスや中古の中型バスに装着して、実証実験を行っている」との回答があった。
今回、視察先を調査できたことは、本県における交通施策を推進する上で大変参考となるものであった。
(地域振興の推進について)
地域活性化のために、埼玉の魅力の創造・発信と観光客の誘致・回遊の促進が課題となっている。
深谷市では、令和2年3月30日に地域再生計画として内閣総理大臣に認定された「渋沢栄一翁が主人公となる大河ドラマ・新一万円札発行を基軸とした深谷・埼玉への誘客プロジェクト」を実施している。
本県の地域振興施策の参考とする。
平成31年4月に新紙幣の発行が発表され、令和元年9月にNHKから大河ドラマ「青天を衝け」の制作が発表されたことから、埼玉県と市が共同で取り組む地方創生推進交付金を活用した「渋沢栄一翁が主人公となる大河ドラマ・新一万円札発行を基軸とした深谷・埼玉への誘客プロジェクト」が始まった。
大河ドラマの放映に関する各種取組を展開する第1段階では、深谷大河ドラマ館を整備するとともに、誘客促進、滞在・周遊型観光の深化、消費の拡大を目指し、パンフレットの作成、パネル展の開催、都営バスのラッピング、渋沢栄一翁PR動画の作成、(株)JTBによるツアーの実施、謎解き要素を取り入れた街歩きイベントなどを展開した。深谷大河ドラマ館の来場者数は1日平均439人、累計144,395人で、渋沢栄一記念館などの関連施設の入場者数も合わせた訪問者は延べ66万人であった。また、物産館の売上げが1億2,000万円ほどあった。テレビやラジオ等も民放含めて200以上に取り上げられるなど、非常に大きな効果があった。また、市で渋沢栄一のロゴマークを130ほど作成し、無料で広く民間に使用していただけるよう周知したところ、600以上の届出があり、関連商品は累計で約28億円の売上げがあった。
新一万円札の発行に向けた各種取組を展開する第2段階では、令和元年8月に東京商工会議所を中心とした6者による包括連携協定を締結し、「二〇二四新札の肖像。」と題したPRポスターを作成した。国立印刷局とも連携しており、国立印刷局が作成したパンフレットや、国立印刷局の資料提供の下、市で作成したパンフレット「2024新しい紙幣の顔」を市内各所に配布している。また、渋沢栄一翁生誕の地周辺の論語の里エリアの環境整備として旧渋沢邸「中の家」に「渋沢栄一アンドロイド・シアター」を整備し、リニューアルオープンした。さらに、新紙幣発行の機運を醸成するため、横断幕、のぼり旗、タペストリーを設置しており、カウントダウンイベントの実施も予定している。新紙幣発行を記念した取組としては、大相撲深谷場所、3市共催花火大会、将棋棋戦の誘致などを予定しているとのことであった。
概要説明の後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「様々な取組については民間の意見も取り入れているのか」との質問に対し、「深谷大河ドラマ館については、推進協議会を設立し、整備や運営、商品や回遊ルートの開発などに、行政と商工会議所などの関係団体が一体となって取り組んできた。旧渋沢邸『中の家』の改修については、プロポーザルを実施し、業者の提案を採用している」との回答があった。
今回、視察先を調査できたことは、本県における地域振興施策を推進する上で大変参考となるものであった。
深谷市役所にて
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