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掲載日:2024年2月13日
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令和5年11月20日(月曜日)~21日(火曜日)
(1) ジブリパーク(愛知県長久手市)
(2) 滋賀県(滋賀県大津市)
(地域活性化の取り組みについて)
本県では、埼玉の魅力の創造・発信と観光客の誘致・回遊の促進が課題となっている。
愛知県では、愛・地球博記念公園の都市公園としての機能や自然環境を損なうことなく、同公園の未供用地や既存施設等を有効活用し、公園内に根付いている様々な活動と共存する形でジブリパークを整備している。
現在、四つのエリアが開園しており、今年度中に更に一つのエリアが開園する予定である。5エリア開業時の来園者数は年間180万人、創出される消費増に関する経済波及効果は年間約480億円と見込んでいる。
当該取組を調査することにより、本県の地域活性化の取組を推進する上での参考とする。
愛・地球博記念公園は平成17年に愛知万博のメイン会場だった場所である。愛知万博で設置されたサツキとメイの家は、当時、大変な人気を博し、万博閉幕後も、県で大切に管理してきた。万博10周年となる平成27年には、第35回全国都市緑化あいちフェアにおいて、ジブリの大博覧会が開催された。平成29年5月には、愛・地球博記念公園に愛知万博の理念と成果を次世代に継承するため、ジブリパークを整備する構想についてスタジオジブリと合意し、同年11月にジブリパーク構想推進室を設置した。
令和2年7月にジブリパーク整備工事に着手し、令和4年11月にジブリの大倉庫、青春の丘、どんどこ森の3エリアを、令和5年11月にもののけの里を開園した。現在は、令和6年3月の魔女の谷の開園に向けて準備を進めている。整備面積は7.1ヘクタールで、愛・地球博記念公園の敷地面積194ヘクタールの3.7%である。
愛知県は、事業主体としてジブリパークの整備を行い、県から都市公園法に基づく管理許可を受けた株式会社ジブリパークが独立採算で運営を行っている。同社は、中日新聞社とスタジオジブリがジブリパークの管理運営のために設立した民間会社で、企画、広告宣伝、オペレーション、維持修繕などについて民間のノウハウを存分に発揮してもらっている。県は、同社から愛知県都市公園条例に基づき、使用料を徴収している。
また、愛・地球博記念公園の周辺自治体や鉄道事業者とジブリパーク構想地域連携協議会を設立し、ジブリパークを核とした地域活性化を図っている。活動事例として、県内外からの旅行者を迎え入れるムード作りとして、ジブリパークのラッピング車両の運行や鉄道駅での歓迎装飾などを行っている。
運営会社からは、入園者数は当初の想定を上回っており、訪日外国人向けチケットについても売れ行きが大変好調であるとの報告を受けている。
ジブリパーク周遊観光促進事業では、統計データの提供サイトを立ち上げ、ジブリパークのチケット購入者の属性等のデータやジブリパークを含む愛・地球博記念公園滞在者データの分析レポートを県内市町村、地域観光協会及び観光関連事業者に提供し、自らの地域・施設の誘客等に役立てていただいている。また、チケット販売サイトに特設サイト「ジブリパークのある愛知への旅」のリンクを設定し、スタジオジブリ作品のファンに喜んでいただけるような観光プログラムを提供しているとのことであった。
概要説明の後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「総事業費は約340億円とのことだが、愛知県都市公園条例に基づく使用料は県にどの程度入ってくるのか」との質問に対し、「愛知県都市公園条例に基づき、令和5年度分はもののけの里分も含め約1,500万円の使用料を徴収した。ジブリパークは観光拠点として整備したものであり、地域活性化や観光の交流促進効果を得られるよう取り組んでいく」との回答があった。
今回、視察先を調査できたことは、本県における地域活性化の取組を推進する上で大変参考となるものであった。
(DXの取り組みについて)
本県では、少子高齢化や頻発する災害など複雑化する社会課題を解決するために、デジタル技術を活用した社会変革の実現が求められている。
滋賀県では、DX推進戦略を策定し、地域や産業の持続可能な発展と県民の暮らしをより豊かにする新たな価値創造を目指し、「暮らし」「産業」「行政」の各分野でDXを推進することとしている。
本県のDX推進の参考とするため視察する。
滋賀県DX推進戦略は、滋賀県基本構想で掲げる「みんなで目指す2030年の姿」の実現に向け、地域や産業の持続可能な発展と県民の暮らしをより豊かにする新たな価値創造を、「暮らし」「産業」「行政」の各分野のDXにより実現するため、令和4年4月から令和7年3月までの3年間の集中的な取組を示している。
滋賀県DX推進戦略実施計画は、同戦略に基づき県が取り組むデジタル社会の形成に関する施策を具体化し、着実に進めていくため、各施策における具体的な事業の内容や目標等を定めている。令和5年度の総事業数は115事業、当初予算額は約23億3,500万円である。副知事を本部長とする滋賀県デジタル社会推進本部を設置し、滋賀県DX推進戦略の各施策を推進するとともに、滋賀県DX推進戦略実施計画の目標について進捗管理をしている。
同戦略に基づき、令和3年5月に「滋賀県DX官民協創サロンが設置された。同サロンは、滋賀県、中小企業のDX支援に取り組んできた実績がある滋賀銀行、ビジネス創造拠点である「ビジネスプラザびわこ」を運営しビジネスマッチングに関するノウハウを持つ関西みらい銀行の3者で運営されており、滋賀県、県内市町及び事業者のDXに向けた積極的な取組とDXについて高い専門性を有する民間企業・団体等による支援を結び付けている。また、滋賀県DX協創パートナーとして、技術的な支援及びコンサルティング等による支援が可能な企業等が令和5年9月末時点で32社登録している。これまでの支援実績は合計35件で、マッチング17件、相談対応15件、調整中3件となっている。
また、同県は令和4年7月からデジタル地域コミュニティ通貨「ビワコ」を導入している。「ビワコ」を媒介に、地域を訪れる人を増加させ、地域内外の人が楽しみながら、つながりを深めることで、地域コミュニティが維持・活性化していくことを目指している。現在5市町のモデル地区で展開しており、令和5年11月のユーザー数は約1万人で、600近いスポットで利用可能となっている。地域の実情把握とデジタル技術の活用に秀でたエリアコーディネーターを配置し、モデル市町と連携しながら「ビワコ」を効果的に運営するための支援を行っており、順調にユーザー数を伸ばしているとのことであった。
概要説明の後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「DX推進戦略実施計画では、令和6年度末までに2,300の行政手続についてデジタル化することを目標としているが、最終的に全ての手続を電子化するのか」との質問に対し、「書類の受渡しが必要な手続などがあるため、最終的に全ての行政手続をデジタル化することは難しい」との回答があった。
今回、視察先を調査できたことは、本県のDXを推進する上で大変参考となるものであった。
滋賀県庁にて
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