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掲載日:2023年5月23日
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平成29年10月24日(火曜日)~25日(水曜日)
(1) 静岡県立静岡がんセンター(静岡県長泉町)
(2) 静岡県議会(静岡市)
(がん対策に係る取組について)
静岡県では、医療体制の整備や県民ニーズに対応した在宅医療の充実といったがん対策を推進するため、「静岡県がん対策推進条例」を議員提案により可決・成立させている。こうした静岡県におけるがん対策に係る取組を視察し、本県の参考とするものである。
静岡県では、県民の疾病による死亡の最大原因となっているがん対策について、医療体制の整備だけでなく、行政や保健医療関係者及び県民と協力して推進を図っている。このうち、医療分野での拠点となるのが静岡県立静岡がんセンターである。
静岡県立静岡がんセンターは、平成14年に開設され、病床数615床を誇り、がん患者診療数で全国トップ3に位置する病院である。また、「静岡県がん診療連携拠点病院」に指定され、静岡県のがん医療水準の均てん化に努めている。
同センターは、通常の開腹手術や放射線治療だけでなく、内視鏡手術やロボット支援手術、国内で4番目となる陽子線治療といった最先端のがん医療を提供している。陽子線治療は、放射線治療法の一つで、「体の中への透過力が大きい」、「その深さを自由に調節できる」、「止まる間際で最も多くのエネルギーを発生させる」という陽子線の特徴を活用し、がん病巣に合わせてピンポイントに照射することで、体への負担が抑えられる治療法である。
また、従来の医師中心の医療ではなく、患者本位の医療の実現に向け、多職種チーム医療を導入している。これは、医師、看護師だけでなく、全ての職種が一丸となって医療を提供するものである。この実現のためには、正確な情報共有が重要なことから、全ての患者に対して電子カルテを導入している。このほか、同センターでは、患者とその家族が、安心してがんと向き合い、生活できるよう、患者家族支援センターを設置している。ここでは、がん治療に伴う副作用や、医療の過程で生じる心身の痛みなどに対して、がん看護専門看護師や医師、臨床心理士が連携し、最善の治療・看護・介護を提供すべく支援を行っている。
概要説明の後、委員から活発な質疑が行われた。その中で、「他の都道府県立病院における陽子線治療の導入状況はどうなっているのか。また、陽子線治療の実施にはどの程度の費用を要するのか」との質疑に対し、「兵庫県と福井県で導入実績があると聞いている。また、陽子線設備は建物の建築に約30億円、機械の購入に約30億円の費用がかかっており、これ以外にも年間の運用経費として数億円を要し、陽子線治療単体での収支は赤字である。また、患者側も保険が適用されるのは小児がんの治療だけとごく一部のみとなっており、多くの患者は200万円から300万円の費用を負担し、治療を受けている」との回答があった。その後、施設内を詳細な説明を受けながら見学した。
静岡県におけるがん対策や静岡県立がんセンターにおける先端医療の提供や患者・家族支援の取組は、本県議会においても大変参考となるものであった。
(議会運営について)
議会活性化、開かれた県議会等の取組を視察し、本県の参考とするものである。
静岡県では、本会議の代表質問及び一般質問については、一問一答方式を含む分割質問方式又は一括質問方式の選択制を導入している。これは、平成23年から平成25年にかけて開催した、議会運営等改善検討委員会の答申に基づき改善を行ったもので、傍聴者等にとって議論の展開が分かりやすい環境整備を目的としている。この改善により、質問と答弁のタイミングが近く、傍聴者等に議論の展開が分かりやすくなるとともに、執行部の答弁が簡潔明瞭となることが確認された。また、併せて対面演壇を導入したことにより、質問者と答弁者が議長席前の演壇に移動する時間が短縮され、議事の進行が円滑となった。一方で、分割質問方式では、質問を行う議員自身が時間配分を考慮しながら質問をする必要があるが、項目ごとの時間配分が難しく、通告した全ての質問が決められた時間内(代表質問は45分、一般質問は25分)に終わらないケースも見受けられるとのことであった。
また、静岡県議会では、「ふれあい親子県議会教室」を開催している。これは、県内の小学4~6年生を対象に、保護者とともに県議会の役割や仕組みを学んだり、議員と直接触れ合ったりするものであり、議会の広報の一環として行っている。対象が小学生ということを考慮し、座学を中心とするのではなく、例えば議場の探検や、小学生自身が委員会室の委員席に着席し、一つのテーマを議員に対して質問し、その質問に議員が答弁するといった能動的な取組を行っている。小学生も、普段は入ることのできない議場を見学したり、議員と直接触れ合う機会を得ることで、議会を身近に感じられ、好評を得ている。また、当日の様子がニュース等に取り上げられることで、議会のPRにつながっている。この取組は、平成15年度から実施しているが、県内における認知度は高く、申込み開始から1週間程度で定員に達している。連続して参加する小学生もいることから、今後は、内容がマンネリ化しない取組が必要であるとのことであった。
このほか、議会運営全般や委員会運営、議員提案の政策条例の制定プロセス等詳細な説明を受けた。
概要説明の後、委員から活発な質疑が行われた。その中で、「委員会モニター室では全ての委員会が同時にモニターで見られるのか。また、音声はどのように聞くことができるのか」との質疑に対し、「モニター室では全ての委員会の様子を同時にモニターで見ることができる。また、音声は、聞きたい委員会の様子をイヤホンで聞くことができる」との回答があった。その後、本会議場、議会運営委員会室、議長室、議員控室等を詳細な説明を受けながら見学した。
静岡県議会における議会活性化、開かれた県議会等の取組は、本県議会においても大変参考となるものであった。
静岡県議会にて
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