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掲載日:2023年5月23日
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平成29年5月10日(水曜日)~12日(金曜日)
(1) (株)安川電機 ロボット村(北九州市)
(2) 福岡県議会(福岡市)
(3) 大分県議会(大分市)
(4) 大分銀行ドーム(大分市)
(ロボット産業の振興と技術継承に係る取組について)
北九州地区の特性を踏まえた産業振興策は、福岡県の「住・ひと・しごと創生調査特別委員会」でも取り上げられている。官民連携による産業振興及び技術継承に係る取組を視察し、参考とするものである。
安川電機は、1915年から現在までの間、100年にわたり北九州市黒崎地区に本社を置く民間企業で、産業用ロボットの分野においては世界トップクラスのシェアを誇っており、「環境配慮型製品の開発・生産拠点の構築」に寄与するとして、福岡県から「グリーンアジア国際戦略総合特区」の指定法人にも指定されている。
「ロボット村」は、その安川電機が創立100周年事業の一環として北九州市の本社事業所をリニューアルしてオープンさせた施設であり、YASUKAWAの森、安川電機みらい館、安川電機歴史館、ロボット工場、本社棟、厚生棟で構成されている。この「ロボット村」の開設により、今後も福岡県や北九州市、JR九州と連携・協力し、産業振興による黒崎地区活性化を図っていきたいとのことであった。
安川電機みらい館は、特にものづくりの魅力とロボットの最新技術を展示、体感する施設である。1階は、安川電機の技術の「今」と「未来」をテーマとし、8台のサイネージを持つ産業ロボット「MOTOMAN」など、安川電機のもつ最新技術を展示している。2階では、ロボットと「競争する」「操作する」「協調する」をテーマとした体験型アトラクションが設置されており、ゲーム感覚でロボットに触れることで、特に子供たちのものづくりに対する興味、好奇心を引き出す施設となっている。3階は、学びの場として様々なイベントを行う教室となっており、夏休みにはものづくり教室を開催し、ホームセンターで買った材料だけを使用したモーターの作成などを行っている。このように、ものづくりの楽しさやすごさ、そして最新のロボット技術を伝えていくことで、より地域に根ざした企業を目指しているとのことであった。
また、ロボット工場は、アーク溶接用ロボットや組立・搬送用双腕ロボットなどが生産されているが、これは「ロボットがロボットを作る」工場として世界で初めて誕生した工場であり、従来と比べても大幅に自動化率を向上させた様子を見学することができるものである。
概要説明の後、安川電機ロボット村の各施設を、詳細な説明を受けながら、また、質疑応答を行いながら視察した。
安川電機ロボット村における、ロボット産業の振興と技術継承に係る取組は、本県議会においても大変参考となるものであった。
(議会運営について)
議会活性化、議員提案による政策条例等の取組を視察し、本県の参考とするものである。
福岡県議会では、政務活動費の使途に関して専門的知見を有する「政務活動費事前確認専門委員」を平成25年から設置し、政務活動費の適正な運用と使途の透明性の確保に努めている。議長が公認会計士、弁護士の2名を専門委員に委嘱し、会派が収支報告書を議長に提出する前に、あらかじめ専門委員による確認を受けている。
専門委員は、政務活動報告書のほか、領収書など全ての提出書類の確認を行っている。この際、議会事務局職員が立会い、会派の政務活動費経理責任者と専門委員との意見交換を行っている。専門委員という客観的視点の導入により、使途基準に反する疑いのある支出が事前に取り下げられることで、適正な支出の確保が図られている。
議員からも、外部の視点及び専門的見地から使途の妥当性の判断を受けられることで、安心して議員活動に専念できるようになったとの声が聞かれているとのことである。
また、同県議会では、議員提案に係る政策条例の制定を促進するため、議員提案政策条例検討会議を設置し、「観光王国九州とともに輝く福岡県観光振興条例」などを制定させている。
検討会議は、5名以上の所属議員を有する会派から選出された委員をもって構成される。会議では、条例案を会派又は検討会議委員が提案するが、条例案の骨格の段階から委員同士が直接向き合って議論を行うため、深度ある調整が可能となり、条例案のスムーズな成立が見込まれる。
また、実効性を高めるため、検討会議には必要に応じて執行部や学識経験者等の出席を求めることもできる。実際に、「飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例の一部を改正する条例」の制定に当たっては、実際に飲酒運転による交通事故の被害者や酒類の販売業者といった幅広い県民の意見を聴取した上で、条例案の提案を行ったとのことであった。
このほか、議会運営全般や委員会運営に関して詳細な説明を受けた。
概要説明の後、委員から活発な質疑が行われた。その中で、「政務活動費事前確認専門員が行う事前審査はどの程度の日数なのか。また、1年間にかかる費用はいくらなのか」との質疑に対し、「一年度に4回実施し、1回につき2日間行っている。また、1時間当たり14,040円の単価のため、2人で年間1,580,000円程度の費用がかかっている」との回答があった。
福岡県議会における議会活性化等の取組は、本県議会においても大変参考となるものであった。
福岡県議会にて
(議会運営について)
議会活性化、議会災害時行動計画及び開かれた県議会等の取組を視察し、本県の参考とするものである。
大分県議会では、知事を本部長とする災害対策本部等が設置されるような災害等が発生した場合の、議員の発災直後の初動対応や平常時から備えるべき事項をまとめた、「大分県議会災害時行動計画」を平成27年度に策定している。
これは、平成27年7月に大分県南部を中心に最大震度5強の地震が発生した際、現行の災害対応マニュアルでは、電話回線が使用できないと対応できないなどといった課題が浮き彫りとなるほか、近い将来発生が予想されている南海トラフ地震等を鑑み、策定されたものである。
この計画が策定された後、平成28年4月に発生した熊本地震では、大分県でも震度5強を記録したが、議員の安否確認等は混乱なく行うことができたとのであった。また、議員41人中38人が防災士の資格を有しており、行動計画では、災害が発生した場合の議員の役割を、地域において率先して被災者の救助や避難所支援といった活動に従事するものと定めている。今後は、発災から一定期間経過後の議会運営に関する部分のマニュアルを整備することや、定期的に防災訓練を実施していくことなど、議員・事務局職員が災害発生時に主体的に行動できるよう、検討していくとのことであった。
また、同県議会では、開かれた県議会推進のため、議員出前講座を平成20年度から実施している。これは、議員自身が講師となり、県内小中高校や大学に出向き、県議会の役割や最近の話題、県予算や条例等が決まるまでの県議会の仕組み、請願や陳情の意義などについて、講義を行うものである。
実施した学校からはおおむね好評を得られており、平成25年度以降は毎年10校以上から依頼が来ていることから、議会広報の役割を十分に果たしている状況にはあるものの、実施希望校の著しい増加があった場合には、議員の日程調整が課題となるとのことであった。
このほか、議員提案による政策条例の制定プロセスや議会運営全般に関して詳細な説明を受けた。
概要説明の後、委員から活発な質疑が行われた。その中で「議員出前講座の実施に当たっては、クラス単位で行うのか、学年単位で行うのか」との質問があり、「基本的には、小中高校は学年単位、大学は講義の一つのコマの中で行っている」との回答があった。
大分県議会における議会活性化、議会災害時行動計画及び開かれた県議会等の取組は、本県議会においても大変参考となるものであった。
大分県議会にて
(ラグビーワールドカップ2019に向けた取組について)
ラグビーワールドカップ2019が日本で開催されるが、本県の熊谷市も開催都市の一つに選定されており、ラグビーの普及・拡大や国際試合に適合した競技場の整備が必要となっている。大分県も、ラグビーワールドカップ2019開催都市の一つに選定され、各会派から推薦された委員による大会開催協議会を設置し、大会の成功からラグビーの普及・拡大及び大会を活用したまちづくりに向けた提言を行っている。大分県での取組状況及び施設の整備状況を視察し、参考とするものである。
大分県では、県におけるラグビーの普及を目指す活動や開催気運醸成のための広報活動、ワールドカップ試合開催のための準備事業等を目的とする、「ラグビーワールドカップ2019大分県推進委員会」を平成27年7月に設立し、2年後の開催に向けた準備を行っている。
まず、ラグビー自体の普及のため、小学校でのタグラグビー教室や、幼稚園・保育園におけるラグビー体験を実施し、平成28年度は合わせて2,800人以上が参加するなど、確実に若年層への普及が進んでいる。
また、大分県では、ラグビーに関連する様々なイベント名の一部に「One Rugby,One OITA大作戦」をつけることで、イベント主催者側も啓発グッズの提供や報道機関等への情報提供等のメリットが受けられる、「One Rugby,One OITA大作戦」を展開している。ラグビーを通じて大分県民の心を一つにすることで、ラグビーワールドカップ開催に向けた気運醸成を図っている。
広報活動においては、平成28年10月にトップリーグの試合を開催する際、テレビ、ラジオや新聞といったメディアを活用し、ラグビーの魅力発信や試合を行うチームの紹介などを積極的に行った結果、シーズンで5番目に多い観客動員数を実現した。また、この試合では、大分駅から無料シャトルバスの運行、ファンゾーンの展開を実施するなど、試合運営も含めたラグビーワールドカップのテストも行っており、輸送手段などの課題を確認し、本番に備えていくとのことであった。
概要説明の後、委員から活発な質疑が行われた。その中で、「観客の輸送は、車を中心と考えているのか。車が中心の場合、渋滞の発生はどのように捉えているのか。また、観光客に試合後も大分県に留まってもらうため、どのような検討を行っているのか」との質疑に対し、「輸送はシャトルバスをメインに考えており、出発点は大分駅だけでなく、別府駅からも出すことを考えている。渋滞の発生を防ぐため、一般車両の駐車場利用は認めない方向である。また、観光客、特に海外からの旅行者は、日本の文化体験に興味があるとの情報を持っているため、着物体験や屋形船、宇佐神宮といった今あるものを磨き上げ、情報発信していきたい」との回答があった。その後、施設内を詳細な説明を受けながら見学した。
大分県及び大分銀行ドームにおける取組状況を視察することは、本県においても大変参考となるものであった。
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