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掲載日:2023年5月23日
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平成28年11月1日(火)~2日(水)
(1) 湘南ロボケアセンター㈱(藤沢市)
(2) 神奈川県議会(横浜市)
(3) 北区議会(北区)
(超高齢社会における医療イノベーションの推進について)
超高齢社会における医療イノベーションの推進に係る取組を視察し、本県の参考とするものである。
神奈川県では、超高齢社会の到来という急激な社会変化を乗り越え、誰もが健康で長生きできる社会を目指す、ヘルスケア・ニューフロンティア政策を展開し、「未病の改善」と「最先端医療・最新技術の追求」という二つのアプローチから「健康長寿日本一」「新たな市場・産業の創出」を図っている。湘南ロボケアセンターは、当該政策を加速させるための特区の一つであるロボット産業特区のシンボル拠点として位置付けられている施設である。
同センターは、被介護者の身体機能のアシストや機能改善、家庭での生活支援、介護者の身体的負担軽減を行うロボット等を用いたサービスへの期待が高まっていることを受け、平成25年12月に、サイバーダイン社の100%出資子会社として設立された。同センターは、同社が開発するロボット技術等を最大限生かし、人とテクノロジーが共に支え合う社会の実現に向けて先進的な事業を生み出し、その社会実装に取り組んでいる。
サイバーダイン社が製造しているHAL®(Hybrid Assistive Limb®)は、体に装着することによって生体電気信号を読み取り、装着者の思いどおりに動作することで、身体機能を改善・拡張・補助することができる、世界初のパワードスーツである。身体に装着することで、「人」「機械」「情報」を融合させ、身体の不自由な方をアシストしたり、いつもより大きな力を出したり、脳・神経系への運動学習を促すことができる。
同センターは、HAL®を用いたHALFITトレーニングコースを、国内随一の規模で展開している。身体の動作範囲の拡大や歩容の改善など、身体機能の維持向上を目指し、専門トレーナーが一人一人に合ったメニューを組み、ロボットスーツと一体的に楽しく安全に運動できる場を提供している。
また、国の緊急雇用創出事業臨時特例交付金を活用した地域人づくり事業の一つとして、「平成27年度ロボット等を活用した職場処遇改善コンサルティング支援事業」を展開している。これは、介護現場に最先端ロボット技術を導入し、職員の負担や将来の腰痛リスクを軽減することで職場の定着率を向上させ、ロボットの社会実装や新しい社会システムの構築を目指すものであり、県内30か所の介護等施設にHAL®を試験導入した。
その他、未病をコンセプトとした展示会である「ME-BYOJapan2015」に出展し、HAL®を含め、最先端デバイスについて広くPR活動を実施するなど、幅広く活動している。
概要説明の後、委員から活発な質疑が行われ、その後、詳細な説明を受けながらHAL®の装着体験や施設内見学を行った。
湘南ロボケアセンターによる超高齢社会における医療イノベーションの推進の取組は、本県議会においても大変参考となるものであった。
(議会運営について)
議会活性化、開かれた県議会の推進、議員提案による政策条例の取組等を視察し、本県の参考とするものである。
地方分権が進展し、県議会の役割と責任がますます増大する中、神奈川県議会は、平成20年に神奈川県議会基本条例を制定した。さらに、平成22年以降、より開かれ、充実した議会の実現に向けて、様々な改革に取り組んでいる。
まず、本会議については、緊急の行政課題等が生じた場合にも議会として適切かつ迅速な対応を実現し、時機を失することなく会議の開催を可能とするため、会期を見直した。議員の有志による「会期に関する検討プロジェクトチーム」における検討の後、議会運営委員会の諮問を経て、従来年4回・100日程度だった定例会を、年3回・200日以内へと大幅に変更した。これにより、緊急時の議会の対応が実現することはもとより、会期の幅が広がり、質問日も増加するなど、議論の充実が図られた。
また、分かりやすく充実した質問を行うため、従来の一括質問方式に加え、県政課題等の項目ごとに質問する分割質問方式を導入し、質問者が質問方式を選択できるようにした。
次に、開かれた県議会の推進については、広聴広報機能の充実を図り、常に県民とともに歩む県議会を実現するため、地域で県民の声を直接伺う「議会報告会」を、平成24年度から実施している。これは、県庁舎以外の場所において一つの特別委員会を開き、閉会後、当該特別委員会の委員と参加者との間で意見交換会を行うもので、昨年度は、定員(100名)を上回る参加があった。
障害者や高齢者も参加しやすい会場設定をするなど、バリアフリー化が今後の課題とのことである。
また、常任委員会において、傍聴の機会を増やすため、従来の全委員会同時開催を改め、日時をずらして、半分ずつ開催したり、委員会における一般傍聴人の定員を8人から16人に増員するなど、より県民に開かれた県議会を目指し改革を続けている。
このほか、議員提案の政策条例について、制定プロセスや条例の特徴等詳細な説明を受けた。
概要説明の後、委員から活発な質疑が行われ、その後、委員会室等を見学した。
神奈川県議会における議会活性化、開かれた県議会の推進等の取組は、本県議会においても大変参考となるものであった。
神奈川県議会にて
(聴覚障害者に対応したICTツールの活用について)
聴覚障害者に対応したICTツールの議会における活用の取組を視察し、本県の参考とするものである。
北区議会(東京都)ではICTの導入に力を入れており、また、それに併せて、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)に対応すべく、様々な改革に取り組んでいる。
まず、ICT導入については、全会派の代表者で構成する議長の諮問機関である、議会改革検討会が平成22年に検討を開始し、翌年2月の予算特別委員会で実施に至った。これにより、ノートパソコン等情報端末の予算特別委員会室への持込みが可能となり、委員会資料がウェブ上で閲覧できるようになった。その後、検討が重ねられ、平成24年6月から全委員会で同様の取扱いとなっている。平成26年には各委員会室に、平成27年には本会議場に無線LANを整備し、委員会資料に加え、本会議資料もデジタル配信できるようになった。これにより、東京23区で初めて、本会議を含む議会の全面ICT化が実現された。
次に、障害者差別解消法への対応については、同法が成立した平成25年度に検討を開始した。平成27年の改選で、聴覚障害を持つ斉藤りえ議員(※)が当選したことを受け、それまで検討を重ねてきた聴覚障害者支援システムの導入が決定され、聴覚障害のある議員の受発話と聴覚障害者の議会傍聴が可能となった。聴覚障害者が情報を受信する際には、発言者の声を音声同時通訳ソフトが文字に変換し、手持ちのタブレット端末に表示する。一方、聴覚障害者が情報を発信する際には、パソコンに入力した文字を音声読み上げソフトが音声に変換し、会場のスピーカーから流す。なお、このタブレット端末は、聴覚障害のある傍聴者にも貸し出している。聴覚障害者支援システム導入により、多様な方々が参加し、活躍できる、開かれた議会の実現に一歩近づいたとのことである。
今後の課題としては、音声同時通訳の変換率の向上が挙げられた。導入当初は変換率が低かったものの、担当課と業者とで、コンピュータに会議録を読み込ませるなどカスタマイズしたことにより、8割強まで変換率を向上させ、運用には支障のないレベルとなったが、早口や滑舌の悪さにより変換できない場合もあるため、更なる精度の向上に努めたいとのことであった。
概要説明の後、委員から活発な質疑が行われ、その後、詳細な説明を受けながら本会議場を見学した。
北区議会における聴覚障害者に対応したICTツールの活用の取組は、本県議会においても大変参考となるものであった。
(※)斉藤りえ議員
1歳のとき、病気により聴力を完全に失う。銀座のクラブ勤務時に、筆談を生かした接客をする「筆談ホステス」として話題となった。
北区議会にて
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