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掲載日:2023年5月23日
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平成28年5月18日(水)~20日(金)
(1) 福井県議会(福井市)
(2) 福井県立恐竜博物館(勝山市)
(3) サイエンスヒルズこまつ(小松市)
(4) 石川県議会(金沢市)
(議会運営について)
議会活性化、開かれた県議会の推進及び議員提案による政策条例等の取組を視察し、本県の参考とするものである。
政治に対する若年層の無関心が様々に議論される中、福井県議会では、選挙権が得られる年齢が18歳以上に引き下げられることを受けて、「ふくい高校生県議会」を平成27年度から開催している。これは、次世代を担う高校生に県議会議員の活動を実体験してもらうことで、県議会や県議会議員の役割を理解し、身近に感じてもらうことを目的とする住民参加型の事業であり、全議員が参加する。
議員が県議会の概要を説明するオリエンテーションを行った後、模擬議会運営委員会、模擬本会議を実施する。参加した各高校を一つの会派とみなし、実際の運営手順に沿って進行していく。一般質問では高校生が質問を行い、議員が答弁する。最後に高校生と議員が意見交換を行う。全体で4時間程度のプログラムである。
参加した高校生からは、政治に積極的に参加していきたい旨の前向きな感想が多く、当該事業は一定の成功を収めた。更に効果的な内容を検討し、引き続き実施していきたいとのことであった。
また、同県議会では、議会の機能強化や議会運営の改善に関することを協議する場として、会議規則により議会改革検討会議を設置しており、全会派(無所属1人を含める。)が出席し、原則として毎定例会で1回開催している。
同会議で改革された事項としては、例えば、委員会におけるパソコン等の使用に関する規定の整備がある。昨今の電子機器、情報通信機器の発達及び普及に伴い、議員等からその使用について要望があったが規定がなかったことから議題とされた。数次にわたる協議の後、本会議では、登壇した者の質疑・答弁等を傾聴することが第一となることからパソコン等の持込みは不可とし、委員会では、資料の閲覧・検索機能に限定して使用可とする旨を同県議会運営要綱に新たに規定した。タブレット端末を活用した資料のデータ配信が今後の課題であり、現在、その他事項と併せて実施の可否を検討しているとのことであった。
このほか、議員提案による政策条例の制定プロセスや議会運営全般に関して詳細な説明を受けた。
概要説明の後、委員から活発な質疑が行われた。その中で「委員会で使用するパソコン等は事務局で用意しているのか。また、通信環境はイントラ化しているのか」との質問があり、「使用者個人の通信機器を使用している。また現在はイントラではなく通常の外部接続のみである。パソコン使用に関しては、議事堂内のWi-Fi環境の整備や資料のペーパーレス化等様々な要望があり、今後も検討していく」との回答があった。
福井県議会における議会改革等の取組は、本県議会においても大変参考となるものであった。
福井県議会にて
(地域ブランド戦略について)
福井県では地域資源たる「恐竜」のブランド化を通じ、地域の魅力を発信し、観光需要を喚起している。その地域ブランド戦略の中核を担う福井県立恐竜博物館を視察し、参考とするものである。
福井県は恐竜化石の発掘量が全国一であり、我が国で発見された新種の恐竜7体のうち5体が福井県で発掘されるなど、正に日本一の恐竜王国である。同県はこの「恐竜」を前面に打ち出したプロモーションを展開し、地域活性化を図っており、その中心的な役割を担っているのが、福井県立恐竜博物館である。
同博物館は、学術研究をはじめ生涯学習、地域振興及びイメージアップ等に同県の恐竜資源を活用する我が国屈指の恐竜研究拠点として、また、大人から子供まで幅広い人々のロマンをかき立てる博物館として、平成12年7月に開館した。総事業費は約140億円である。黒川紀章氏が設計した地上3階地下1階の恐竜の卵型の施設であり、年間入館者数が100万人に迫る人気博物館である。福井県観光営業部ブランド営業課が所管する、正に同県地域ブランドの要に位置付けられた施設である。カナダのロイヤル・ティレル古生物学博物館や中国の自貢恐竜博物館と並び、世界三大恐竜博物館と称されている。
主な恐竜ブランド戦略の取組だが、まずは博物館自体の魅力向上のために恐竜の実物全身骨格等の展示を充実させている。加えて、平成27年3月の北陸新幹線開業に伴い、JR福井駅に実物大の恐竜の動くモニュメントや恐竜の足跡化石を設置したり、駅舎に恐竜の壁画を描くなど、県の玄関口で「恐竜王国福井」を強力にPRしている。また、白亜紀の恐竜の世界を立体的に再現するアプリや、スタンプラリーができるアプリを、スマートフォンやタブレット端末用に作成し、まちなか散策と併せて恐竜を楽しめるようにしている。そのほかにも、映画やバラエティー番組等メディアとのコラボレーション企画を実施したり、全国の都市で恐竜展を開催するなどして、「恐竜=福井」のイメージ定着に努めているとのことであった。
こうした取組により同県は、ブランド総合研究所による地域ブランド調査における地域魅力度を大きく向上させ、平成27年度の調査では、45位から29位へと大きく順位を上げた。今後も恐竜と連動したイベント等を積極的に実施していくことで、地域産業を振興し、観光客や起業家を呼び込み、ひいては人口減にも歯止めをかけるなどの波及効果を期待しているとのことであった。
概要説明の後、委員から活発な質疑が行われ、「県議会から博物館に対して意見等はあるか」との質疑に対し、「入館者の増加に伴い、トイレ数や休憩スペース等設備的に限界がきているので、(仮称)第二博物館を設置してはどうかとの意見が出ており、現在構想を練っている」との回答があった。その後、施設内を見学した。
福井県の地域ブランド戦略は、本県議会においても大変参考となるものであった。
(ものづくりの精神の継承と科学技術意識の啓発について)
「科学と交流のまち」を標榜し、ものづくり精神の継承と科学技術意識の啓発等に取り組んでいる小松市のサイエンスヒルズこまつを視察し、本県の参考とするものである。
石川県では地方創生の一環として、人口減少の克服のため、結婚・出産・子育てへの支援と並んで、東京一極集中を是正し石川への人の流れをつくることに力を入れており、同県議会の特別委員会でも議論されている。その基本方針の一つに、産業人材の総合的な確保・育成が挙げられており、小松市がその方針を体現している。
古くからものづくりのまちとして発展してきた小松市は、その高い技術力を継承し、科学技術国をリードする人材の育成と産業の集積を目指し、サイエンスヒルズこまつを整備した。同施設は、小松製作所小松工場跡地の一部に小松市が設置した公共施設で、ものづくり精神の継承と科学技術意識の啓発がコンセプトの「ひととものづくり科学館」と、未来へ向けた地域の活性化と産業振興を目的とした「こまつビジネス創造プラザ」の2施設で構成される。今回はひととものづくり科学館を視察した。
ひととものづくり科学館は、総事業費約34億円をかけて小松市が整備した施設であり、名誉館長に漫画家の松本零士氏を迎え、平成25年度に開館した。外部の企業等との連携にも力を入れており、展示等に関し、多くの企業の協力を得ている。また、国立天文台と協定を結び、第一線で活躍する研究者を講師に招いて講演を行うなど、来場者が「ホンモノと接する」機会を日々提供している。
同館の主な施設としては、次の3つがある。①3Dスタジオは、日本最大級のドーム型3Dシアターで、明るく美しい映像が上映できる4Kプロジェクターを搭載している。立体映像による圧倒的な臨場感を体験することで知的探究心を育んでいる。②わくわくホールは、科学やものづくり関連のイベント会場としてはもちろん、ビジネスや学術などの情報発信・交流の場としても利用されている。③ワンダーランドは、ふだんの暮らしに理科・科学がどう結び付いているのか、触れて実感できる体験型ゾーンとなっている。ものづくりの基本となる科学の原理を縦糸とし、身の回りの製品の中のものづくり技術を横糸にして構成された展示は、出展企業6社の協力によるものである。
サイエンスヒルズこまつの開館により、小松駅東エリアは、次世代を担う子供たちがものづくりの礎となる理科・科学を学び、学生や研究者が集う、「科学と交流のまち」の一大交流拠点となっているとのことであった。
概要説明の後、ひととものづくり科学館の各施設を、詳細な説明を受けながら、また、質疑応答を行いながら視察した。
サイエンスヒルズこまつにおけるものづくり精神の継承と科学技術意識の啓発等の取組は、本県議会においても大変参考となるものであった。
(議会運営について)
議会活性化、予算委員会の審査方法、開かれた県議会の推進及び議員提案による政策条例等の取組を視察し、本県の参考とするものである。
石川県議会では、地方自治法第100条第12項に規定される「議案の審査又は議会の運営に関し協議又は調整を行うための場」として、議会改革及び機能強化について検討を行う「改革検討会議」、知事への政策提言や政策条例の立案等を所管する「政策調査会」及び広報広聴に係る企画立案や広報に係る編集発行等県民ニーズの把握等を所管する「広報広聴会議」を設置している。
改革検討会議での実績としては、予算特別委員会の常任委員会化が挙げられる。同県議会では、これまで2月及び9月定例会において予算特別委員会を設置し審査を行ってきたが、予算審議の更なる充実及び予算議案の分割付託の解消を図るため、平成23年に同会議において8回にわたり協議・検討を重ね、常任委員会としての予算委員会を設置することとなった。同委員会は議長を除く全議員が構成員となり、一問一答形式で行われ、毎定例会、本会議場で開催される。質疑者の割当てについては、1人につき年1回は発言できるよう調整している。常任委員会化した効果としては、議案の分割付託の問題を解消できたこと、予算に関する質疑時間の大幅増により充実した審議ができるようになったこと、全議員が最低年1回質疑を行えることで議会の活性化が図られたことなどがある。決算特別委員会との統合を今後の長期的な課題としているとのことであった。
政策調査会では、各会派から提案のあった条例案を審議するため、研修会や視察の実施、パブリックコメントの募集を行い、討議を重ね、全会一致で本会議に提案する。同会で十分に審議するため、委員会への付託や本会議での質疑は省略される。直近では石川県がん対策推進条例や石川県歯と口腔の健康づくり推進条例などが制定されている。
広報広聴会議では、県民参加型の活動として、小学生と保護者が議員と触れ合うことで議会や議員をより身近に感じてもらうため、「ふれあい親子県議会教室」を企画し、平成26年度から開催している。議員との交流、議場探検、意見交換等を行うプログラムで、毎年200組前後の応募があり、好評を博している。そのため、今年度は参加者数を増やすことを検討中とのことであった。
概要説明の後、委員から活発な質疑が行われた。その中で「常任委員会化された予算委員会について、予算議案がない場合はどうしているのか」との質問があり、「付託議案がない場合も委員会を開催しており、予算以外についても質問を認めている。ある意味、一問一答形式の一般質問の様相を呈している」との回答があった。
石川県議会における議会活性化、予算委員会の審査方法及び議員提案による政策条例等の取組は、本県議会においても大変参考となるものであった。
石川県議会にて
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