議会運営委員会視察報告
調査日
令和6年10月21日(月曜日)
調査先
(1)立川市議会(東京都立川市)
(2)川崎市議会(神奈川県川崎市)
調査の概要
(1)立川市議会
(議会運営について)
【調査目的】
■本県の課題
- 議会改革を推進するとともに、県民と直接接する機会を作るなど、開かれた議会づくりを推進する必要がある。
■視察先の概要と特色
- 立川市議会では、各定例会ごとに議会改革特別委員会を開催し、そこでの議論を踏まえて議会基本条例の制定や第三者評価委員会による評価、反問権の導入・実施などを行っている。
- また、開かれた議会に係る取組として、市民との意見交換会を議員が進行する形で開催しているほか、本会議における傍聴届の廃止や委員会のインターネット中継を行っている。
【調査内容】
■聞き取り事項
- 議会改革特別委員会を平成23年度から設置し、意見交換会を年1回実施するようにしたほか、議会基本条例を制定し、またこの条例に従った活動ができているのかを検証するため、大学教授等で構成される第三者評価委員会にかけて評価を行っている。このほかにも、反問権を試行で開始したほか、議会基本条例の検証等に関する実施要領を制定している。
- また、議会運営委員会においても、平成26年度からのタブレット端末の導入や傍聴届の廃止、常任・特別委員会のインターネット中継を開始すること等を協議・決定している。
- 反問権の取扱いについては、実施要領により市長をはじめとする答弁者が議員からの質問において、その背景や根拠を確認する場合に行うことができると定められている。令和2年から試行されていたが、令和5年度に初めてPFASに関する土壌調査についての質問の際に行われた。
- 今後の議会改革については、政策立案機能を充実させるため、委員会による所管事務調査について力を入れて取り組んでいくとのことであった。
- 意見交換会の開催については、平成24年度の開始依頼、参加形態や参加する市民について、PTA連合会を参加者にするなど様々な試みを行いつつ実施してきており、令和5年度からは常任委員会ごとに開催し、要望書を取りまとめて市長へ提出する方式へと変更した。令和6年度の実施については、所管事務調査の一環として実施することを予定しており、より一層議会からの政策提案機能の充実を図っていくとのことであった。
- このほか、意見書・決議案の調整についてや電子表決システムの導入、議会運営全般に関して詳細な説明を受けた。
■質疑応答
Q:教員の働き方改革が叫ばれる中で、学校等を巻き込みながら高校生議会を実施するには大変な御苦労があったと予想するが、現場の反応はどうか。
A:当該取組は、県・教育委員会・議会の共催で実施しており、働き方改革の視点を踏まえながらも、特に学校の先生方にはこの事業に極めて積極的に関わっていただいており、そういった協力の下で運営されている。
(2)川崎市議会
(議会運営について)
【調査目的】
■本県の課題
- 今年度から新たな番組として「各会派代表者討論会」を収録・放映することが決まっている。こうした中で、地元放送局と連携して「座談会」の放映を既に行っている川崎市議会の取組を視察し、本県の参考とする。
- また、市役所新庁舎整備事業の推進に当たっての議会としての取組を視察し、本県の参考とする。
■視察先の概要と特色
- 川崎市議会では、テレビ放送を通じて議会活動を広く市民に向けて紹介し、議会活動への関心を高めることを目的として「川崎市議会座談会予算の審議を前に」を放映している。各会派の代表者が出演し、新年度予算についての意見交換を行っている様子を収録し、毎年第1回定例会の代表質問前夜に1時間番組としてテレビ神奈川での放映を行っている。
- 令和2年度から本庁舎建替え工事を開始し、昨年度しゅん工した25階建ての免振構造となっている。新庁舎の中には、授乳室や親子傍聴席、電子表決システムといった機能を備えた本会議場の整備を行なった。
【調査内容】
■聞き取り事項
- 座談会については、各会派の代表者5人が新年度当初予算について、全体的な評価や会派として注目している事業について議論を行っている様子を放映することにより、市民へ広く各会派としての考えを周知している。
- 新庁舎の整備に当たり、特別委員会は設置せず、各会派代表による団長会議によって議会としての意見を集約して執行部へ伝えることで、議会側の意見を反映させる手法をとった。
- このほか、一般質問の質問者数の調整など、議会運営全般に関して詳細な説明を受けた。
■質疑応答
Q:座談会について、当初予算以外のテーマについても扱ったことはあるのか。
A:基本的には当初予算についての意見交換を行っている。
Q:番組の放送により市民には具体的にどのような影響が及んでいると考えているのか。また、撮影の前には事務局とどのような調整を行っているのか。
A:各会派において、翌年度当初予算の中で重視している点が市民に伝わりやすい番組になっていると考えている。放送後に行われる代表質問の内容に沿ったものとなるよう、事務局とも事前に調整を行っている。
Q:予算措置としてはどの程度か。
A:当初予算としては約380万円程度の金額を積んでいる。
Q:再放送は行っていないのか。
A:テレビ放送としては1回のみだが、YouTubeにもアップしており、随時視聴することは可能である。

川崎市議会にて