トップページ > 県政情報・統計 > 県概要 > 組織案内 > 企画財政部 > 企画財政部の地域機関 > 秩父地域振興センター > 秩父地域の観光情報トピックス > KOCO “ココ” ちちぶNo.7 關根勢津子さん
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掲載日:2023年2月13日
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【皆野町にある關根さんのご実家でお話を伺いました。】
秩父音頭発祥の地・皆野町で昭和50年7月に発足し、以来、秩父音頭、獅子舞や神楽などの伝統の奏楽100余曲を守りながら、後継者を育てる活動をしている「皆野民俗芸能奏楽研修会」(以下、「研修会」)(※1)。
本業の傍ら、父親が創設した研修会の活動を受け継ぎ、講師として多忙な日々を送る關根さんから、日頃の活動や秩父地域の“ぜひココ”な観光スポットについてお話を伺いました。
※1 皆野民俗芸能奏楽研修会ホームページ ※ 同会facebookページ
〇 關根さんの日頃の活動について教えてください。
「皆野椋神社の獅子舞はとても古く、桃山時代の獅子頭も残っているんですよ。獅子舞や神楽など、皆野椋(むく)神社(※2)の芸能に限っても貴重な奏楽がたくさんありますが、戦後間もなく後継者が不足し、従事者がガクンと減ってしまったんです。」と關根さん。
※2 皆野椋神社(皆野椋神社ホームページ)
そうした中で、關根さんの父親の故・關根幸一さんは、戦後、高齢化する芸能従事者から直接採譜し、もともとの口伝えの「口譜(くちふ)」を楽譜にして記録を残すなど、皆野の郷土芸能を正しく伝承していくための礎を築いた。
現在、關根さんは、大人向けの講習や、研修会少年部の指導のほか、毎週土曜日に皆野小学校の「郷土芸能クラブ」で4年生から6年生までの児童23人に、月2、3回の「総合学習」の時間では5年生全員約60人に、獅子舞や神楽、秩父音頭の笛や太鼓などの演奏を指導している。
「皆野小学校の「郷土芸能クラブ」は、父が行き始めたのが45年ほど前。父の没後、私も30年近く、延べ人数で500名以上教えてきました。」
【皆野小学校の体育館で郷土芸能クラブの5、6年生を指導する關根さん。】
「まさか私が受け継ぐとは思っていなかった。でも、父が亡くなった時、ただその技術や音楽だけを残せば良いのではないと気づいたんです。そこに付随する精神的なものや、何百年も命のリレーで繋いでくれた先人たちの想いを伝えたい。そして、自然、文化、慣習など、まさに皆野の暮らしの中から生まれて育まれて来た芸能を守ること、そして、故郷を愛する気持ちを含め、伝統を守る心を伝えたいと思っています。」という關根さん。
特に最近は「子供達自身が伝統芸能を守るという意識が高い。興味を持っている子も多い。」と感じているという。
【令和元年7月ドイツで行われた世界体操祭(国際青少年の集い)で演奏する研修会「少年部」メンバー。】
中学生・高校生以上の「少年部」は、地域で行われる祭礼やイベント等で伝統芸能の継承者として活躍している。
【皆野町ふれあいまつり芸能発表の部での研修会、秩父音頭大演奏】
現在、活動中の会員は大人約40名、少年部15名の研修会。平成30年10月には、日々の教育活動が高く評価され、埼玉県の「埼玉・教育ふれあい賞」を受賞した。
「最終的には皆野町を出てしまう子供達も多いんです。でも、そういう子供達にも、皆野にはこんなにいいところがあるな、こんな宝物があるなということを自分のアイデンティティとして感じてもらったり、誇りを持ってもらえたら。そして故郷を離れても、たとえ自分ではやらなくても、伝統芸能を応援する気持ちを持ってもらえたら嬉しいです。」
「美の山に抱かれたこの町の伝統芸能を守るのが私のライフワーク」と語る關根さんのお話から、伝統芸能を受け継ぐ覚悟を感じた。
〇 關根さんのおススメの“ぜひココ”な観光スポットを教えてください。
「まずは、毎年5月3日、美の山の「八十八夜祭」がおススメです。皆野椋神社の奥社(おくしゃ)で、美の山に鎮座する蓑山(みのやま)神社の祭りです。蓑山神社で祭典をしている時にちょうどお日様が差して、拝殿の屋根が輝き、まさに神々しいんですよ。祭典前、森の中の神楽も素敵です。」 【皆野椋神社奥社蓑山神社八十八夜祭のリーフレット】
「祭典の後、12時頃に蓑山神社を出発して山頂広場までツツジの遊歩道を進む御神幸行列(ごじんこうぎょうれつ)も見所です。山頂広場では、私たち研修会が神楽やお囃子をしています。」と關根さん。
【5月3日 蓑山神社・八十八夜祭の御神幸行列。ツツジと新緑の中を進む。】
【美の山の山頂広場では、研修会により神楽やお囃子が奉納される。】
蓑山神社はハイキングコースの途中にあり、新緑の中、ツツジや、ちょうどタイミングが合えば八重桜も見られるという。5月の美の山で森林浴と伝統芸能を楽しみたい。
「そして、皆野椋神社の秋祭りもおススメです。毎年10月8日の秋祭りでは、獅子舞や神楽が一日中行われ、最終演目の獅子舞「天狗拍子(てんぐびょうし)」の頃には日も暮れて、「かがり火の中で12匹の獅子たちが舞うのをぜひ一度ご覧ください!」
皆野椋神社の獅子舞は埼玉県指定無形民俗文化財。最終演目の「天狗拍子」、別名「16人ざさら」は、12匹の獅子と4人の仲立ちが舞う勇壮な舞とされ、一時期途絶えていたものを關根さん達が復活させ、今のように踊れるようにした。
【かがり火のもと、12匹の獅子が舞う「天狗拍子」】
【關根さんが作った皆野椋神社の秋祭り「かがり火の獅子舞」のポスター】
「それから、秋祭り限定の「天狗の御朱印」があります。椋神社の祭神が「猿田彦命(サルタヒコノミコト)」であることから、「天狗のお守り」もあるんです。皆野椋神社で秋祭り限定の「天狗の御朱印」をもらって、夕方には「かがり火の獅子舞」をぜひ見ていただきたいですね。」と關根さん。
【皆野椋神社10月8日秋祭り限定の「天狗の御朱印」(右側)】
【皆野椋神社の「白天狗守り」※社務所で授与(9時~17時(月曜休))】
「最後に「ビラパワ」(※3)をご紹介したいと思います。私がここを好きなのは、そもそも自家製薪窯で焼いたピザも美味しいんですけど、蚕屋を改造したお店の2階の窓が広くて、そこから美の山が見えて、新緑の季節など本当にきれい。私の癒しスポットです。」
【ビラパワの自家製薪窯で焼いた絶品ピザと2階からの眺め】
※3 ピザ&ガーデン ビラパワ(ホームページ)
「私、美の山が好きなのかな。」という關根さん。
「關根さん、本当に美の山が好きなんですね。」と思っていたことを先に言われてしまいました。
秩父の豊かな自然、伝統芸能&グルメ。この組み合わせで、多くの方々に、そして日本の伝統文化に関心のある外国人の方々にも、ぜひ秩父にお越しいただきたいと思いました。
[取材日:2019年12月7日、記事公開日:2020年1月6日] ※ 掲載している情報は取材日現在のものです。
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