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掲載日:2025年4月2日
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株式会社フジ(https://www.fuji-mold.co.jp/)は、創業55年、鋳造用金型、各種治具の設計・製作を行っている会社です。お客様のニーズにすばやく、柔軟に応える「金型業界一の便利屋」を目指して、生産設備・拠点・品質管理など、万全の体制を整えています。世界中を走るクルマやオートバイの心臓部であるエンジンにフジの金型が使われており、これまで4,000型以上の実績を積み重ねてきました。
また、近年の脱炭素化、EV化などの環境変化に対応するべく、3年前に最新の金属3Dプリンターを導入し、新たにAM(アディティブマニュファクチャリング※)事業を立ち上げ、造形受託サービスを始めました。フジが保有するDED方式の金属3Dプリンターは、大手メーカーや大学、研究所など日本では十数台しか導入されておらず、金型補修の自動化や異種金属結合を可能にする高性能な機械です。
今回は、2024年12月3日に本社・工場を訪問し、お話を伺いました。
※アディティブマニュファクチャリング:素材となる金属を積層することでさまざまな形状を作り出す加工方法
株式会社フジ 本社・工場 本社工場内部
■金型事業について
アルミ・鋳鉄部品の鋳造用金型の設計及び製作を行っています。自動車エンジン部品、駆動部品、足回り部品、フレーム部品など、累計4,000型以上の金型設計製作の実績があります。熟練の金型工の技とデジタル技術を融合した高度な設計技術をはじめ、海外拠点(インドネシア工場)を活用した柔軟な生産体制、三次元測定器を活用した品質検査まで、トータルに対応できます。
フジの設計や加工はコンピュータを駆使して行われます。設計は、お客様の仕様に合わせて、3D-CAD(キャド)を使用し図面化を行います。CAEによるシミュレーションにより、溶けた金属の湯流れや凝固解析を行い、裏付けのある鋳造方法を提案します。また、長年の加工ノウハウが蓄積されたCAM(キャム)により、金属を自動加工するためのプログラムを作成し、最適な加工方法を検討します。汎用工作機械からNC工作機械(コンピュータで制御して切削加工を行う機械)まで揃え、多種多様な製作・加工が可能です。
以下に、製品の一部を紹介します。
◆エンジン部品
・シリンダーヘッド
フジが最も得意としているのがシリンダーヘッド(自動車・船舶・建機・農機等)です。累計250種以上を手掛けます(2020年3月現在)。エンジンの骨格となる主要部品であり、エンジン性能に最も大きな影響を与える部品です。内部には、冷却水やエンジンオイルの通路などの空洞があり、非常に複雑な形状をしています。
・クランクケース
自動車(2輪)のエンジンの基本となるクランクシャフトが格納されたケース部品です。振動や騒音を抑えるため、剛性バランスに考慮し設計されています。
◆駆動部品
・トルクコンバーターケース
自動車のクラッチと変速機の役割を担っているオートマチックトランスミッション(AT)を構成する装置のドーナツ状ケース部品です。流体クラッチの一種であり、トルコン・回転力変換器ともいいます。
◆足回り部品
・ステアリングハウジング
自動車のステアリング装置を包んでいる部品です。
■AM(アディティブマニュファクチャリング)事業
2022年6月、フジは、金属3Dプリンター(LASERTEC 65 DED hybrid)を導入し、同プリンターによる金型・部品の補修及び特殊部品製作を始めました。このプリンターはレーザー金属積層造形と同時5軸加工のハイブリッドマシンで、”金型寿命向上””溶接工程自動化”等を可能にする、これまでの概念を変える機械です。
今回導入したプリンターは、レーザー(熱源)をワーク(加工しようとする対象物)に照射し、金属粉末を吹き付け、溶融・凝固を繰り返しながら一層ごと積層して、立体の造形物を製作することができます。金属粉末には工具鋼、ステンレス、インコネル、銅合金などがあり、部品を作る上で、型の製作も必要ないため、試作部品や特殊部品の製造にも向いています。
金属3Dプリンター
レーザーを照射し積層造形が可能 同時5軸加工機を併用 ツインパウダーフィーダによる異種金属材料の結合
◆金属3Dプリンター導入の理由
近年の脱炭素やカーボンニュートラルの傾向をみて、ガソリン車の需要が少しずつ減るとともに部品の金型需要も減るかもしれないと感じたことがきっかけです。そこで、これまで培ってきた金型の技術力を生かすことを一番に考え、ガソリン車が衰退しても残る部分(足回り、ハンドル、ランプなど)の金型製作を始めるとともに、金属3Dプリンターを導入して、自動車以外の船舶、建機、エネルギー、航空宇宙などの新たな分野の特殊部品を製作することにしました。
◆導入の効果について
(1)金型メンテナンスの自動化、高速化
金型補修の際に用いられる従来のTIG溶接と比較すると、例えば職人が手作業で8時間以上かけて溶接する過酷な作業を金属3Dプリンターに置き換えると、除去加工、レーザー溶接、切削仕上げ全てを自動で行い、1時間半ほどで終了します。コストも削減される上、3Dプリンターで造形する方が品質が安定し、補修後の金型寿命が3倍に伸びるという基礎研究もあります。
金型補修を模擬したサンプル品。巾30ミリメートル×深さ10ミリメートルの凹形状部への造形時間が1箇所約3分で終わるほどのスピーディな造形が可能です。
(2)特殊部品の製造
ニアネット造形(完成品に近い状態に仕上げること)による部品の軽量化や材料のコストダウンなど様々な要望にも応えることができます。高温・極低温の極限環境の使用に耐えうる材料を必要な範囲に付加するなど自由な設計が可能で、航空宇宙やエネルギー産業から要望を受け、試作品も製作しています。
(3)異種金属結合
異種金属結合はマルチマテリアルやバイメタルともよばれ、銅と鉄など2つの異種金属を結合させる技術のことで、金属3Dプリンターは、熱膨張率や硬さの異なる組合せなど材料特性に応じた結合が可能です。内側が銅(茶色)で外側が鉄(グレー)のバイメタルのサンプルを見せてもらいましたが、このような製品は、これまでは基本的に作れなかったものだそうです。鋳造は温めたり冷やしたりを繰り返すため、内側が熱伝導率の高い銅だと急速に冷却ができて、鋳造品の品質向上や金型の熱疲労を軽減できます。これからはバイメタルの金型の需要が増加すると考えています。
バイメタル部品(内側:銅、外側:鉄)
(4)新たな受注増
金属3Dプリンターの性能を利用した新規の注文が増え、新たな分野等のお客様との交流も生まれています。性能が高いほどそれを具現化するための知識やスキルを求められるため、今はお客様の要望に応えて様々なものを作る中でノウハウを磨いていきたいと考えています。
(5)熟練工の「技」とデジタル技術の融合
フジでは熟練技能者のノウハウを後継するため、標準化や数値化を推進しています。例えば、部品を磨いて仕上げる作業は人の手でやりますが、仕上がった製品を非接触測定機でスキャンしてデータ化すれば、次に同じ金型を製作する時には大幅に時間短縮することができたり、物によっては3Dプリンターで作ることができます。一方で、部品を組み合わせる作業や、それを最終的に調整する作業は人でないとできないため、熟練工の「技」とデジタル技術を組み合わせて金型を製作しています。
熟練技能者の「技」 金属3Dプリンター
■測定・検査事業
3次元測定機(SVA1215A/VA800G)、非接触測定機(ATOS Triple Scan16M)を用いて部品の測定や試作鋳造製品の品質検査を行います。
■経営において力を入れていること
◆人材育成
「会社はやはり人だ」と北川社長は言います。フジの国内工場には19歳から77歳までの約50名の社員がいますが、平均年齢は30代後半と比較的若い人が多いのが特徴です。社長自身25歳の時に社長を継いだ経験から積極的に若い人にリーダーを任せています。毎年、新卒者を採用し、長年培ってきた方法で教育するとともに、「先輩達のおかげで、今、自分たちの戦える舞台がある」と熟練技能者への敬意も忘れません。現在も創業当初から会社を支えてきた人が活躍しています。
◆夢、希望、目標
「会社は大人になって夢をかなえるところ」とも言います。会社で自分たちがこういうことをやりたいと夢を持った時に、最新鋭の機械を買って、みんなで目標に向かってやることが、仕事のやりがい、モチベーションになります。その夢を生み出すのが社長の仕事だと、お父様の初代社長から教わったそうです。また、これは経営理念でもありますが、社員には、まず自分のために仕事を頑張るように言っています。自分のために一生懸命やっているうちに評価され、お給料も上がり自信がつく。それが家族や周りの人たちを幸せにし、また頑張ろうと思う。その循環が会社にも貢献すると言います。
◆100年続く企業を目指して
これまでガソリンエンジンの金型製作を中心に事業を行ってきましたが、10年先、20年先を見据えた時、この先どのようにハンドルを切って、違う方向に進んでいけばいいのか考え、一つの答えとして金属3Dプリンターを活用した新事業の立上げがありました。フジは今、夢と希望を持ち、100年企業を目指してまい進しています。
ご対応いただきました北川代表取締役、加藤営業技術部長、吉田AM技術部長、ありがとうございました。
金属3Dプリンターの前に立つ吉田AM技術部長(左)と製造部の稲葉副部長(右)
株式会社フジ
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