トップページ > 健康・福祉 > 障害者(児)福祉 > 障害者の自立・社会参加 > 塙 保己一(はなわ ほきいち) 賞 > 第17回(令和5年度)塙保己一賞 受賞者
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掲載日:2023年12月8日
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※年齢は令和5年4月1日現在
岩田 美津子(いわた みつこ) 氏(70歳)
視覚障害(全盲)。NPO法人 てんやく絵本 ふれあい文庫代表。点字つき絵本の出版と普及を考える会代表。
息子から絵本を読んでほしいとせがまれた事がきっかけで、目の見えない方も、目の見える方も、一緒に楽しむことができる「てんやく絵本※」を考案。
※透明なシートを用いて、市販の絵本の文字部分に点字の説明を付け、絵は輪郭が分かるようにした絵本。
1984年に現在のふれあい文庫の前身である「岩田文庫」を自宅に設立して以来、約40年間、目の見えない方がいる全国の御家庭や盲学校、図書館にてんやく絵本の無償貸出を続けている。現在、年間200冊以上のてんやく絵本を製作し、蔵書数は約13,000タイトルに及ぶ。
また、郵政省への働きかけにより、1987年には、てんやく絵本の郵送料無償化を実現するとともに、自らの指導や著書を通じて、てんやく絵本の製作技術を全国各地に伝え、これまでに数百名のボランティアを育てている。
さらに、出版関係者との連携に力を入れ、1996年には、透明な樹脂インクで絵と点字の凹凸を表現した、目の見えない方も楽しめる「点字つき絵本」を国内で初めて出版。これまでに30タイトル以上の点字つき絵本が出版されている。
2002年には出版社や印刷会社などで構成する「点字つき絵本の出版と普及を考える会」を発足し、現在も、点字付きの出版物を増やしていくための活動を続けている。
1998年にIBYY朝日国際児童図書普及賞、2006年に 第10回鳥居伊都賞、2016年に第13回本間一夫文化賞他多数受賞した。
守田 稔(もりた みのる) 氏(47歳)
視覚障害(全盲)、肢体不自由。精神科医。
内科医である父に憧れ、医師の道を志すが、関西医科大学在学中、神経系の難病「ギラン・バレー症候群」を発症し、一時は生死の境をさまよった。2年後に復学するものの、病気の後遺症により、歩行困難、そして全盲となった。
しかし、絶望の中にあっても医師になる夢を諦めることはなく、両親や友人など周囲の協力を得ながら、聴覚を頼りに懸命の努力を重ね、2003年、全盲で初めて医師国家試験に合格した。
「見えない心を診たい」との思いから精神科医となる。全盲のため、患者の表情や服装は分からないが、「外見の情報に左右されずに患者の内面に集中できることが、視覚障害であることの強み」と前向きに捉え、ストレスの多い現代社会を生きる人々のメンタルヘルスケアに、意欲的に取り組んでいる。
また、視覚に障害のある医療関係者がお互いに情報交換を行い、親睦を深める場が必要と考え、自ら代表を務める「視覚障害をもつ医療従事者の会(ゆいまーる)」を発足した。会員数は現在100名を超え、視覚に障害がありながらも、医療現場で働く方々の支えとなっている。
2011年に第9回チャレンジ賞、2013年にパイオニア賞を受賞した。
高橋 りく(たかはし りく) 氏
現代美術アーティスト。東京造形大学彫刻科卒。
一般社団法人世界ダイバーシティアート学会代表理事。マリスアートプロジェクト代表。
全盲となることに絶望し自ら命を絶った父の影響から、2009年、砂で描く絵画技法「マリス技法※」を発明した。マリス技法で描かれた絵画「マリス」は、目の見えない方と目の見える方が一緒に鑑賞できる。世界初の視覚に障害のある方も自発的に鑑賞できる絵画として、海外で高く評価されている。
※色の濃淡を大きさの異なる砂粒を用いて表現し、色相ごとに異なる香りを付ける絵画技法。
障害の有無を超えた絵画鑑賞を通じた交流により、人々がお互いを想いやる心を育むことを、マリスの活動目標に掲げている。この目標に向けて、2012年から、誰もが自由に参加し、国旗の共同制作を行う「マリス国旗プロジェクト」が始まり、これまでに43回開催された。このプロジェクトでは、自国以外の国旗を制作し、砂一粒一粒をその国の人に見立てて描くことで、他の国の人々の幸せについて考えるきっかけを提供している。
現在も、絵画鑑賞を通じた障害者の社会参加を進めている。世界中に人を想いやる心の輪を拡げていくため、国内外の美術館や視覚障害者関連施設など、様々な場所でマリスの展示を行っている。
2019年に世界発明コンクール部門優勝(フランス)、世界現代美術コンクール総合優勝・主賓招待(イタリア)他多数受賞した。
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