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掲載日:2023年11月21日
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訪問日
令和4年11月16日(水曜日)
訪問地域
比企地域(嵐山町、小川町、東秩父村、東松山市、吉見町)
訪問先
ワールド工業株式会社は、高速シートシャッターや建築向け金属加工製品などを独自に開発し製品化している開発型の企業です。
「作業環境の改善」をテーマとした自社開発製品に注力し、企画・開発・製造・販売・施工・メンテナンスまで一貫して対応しています。
高速シートシャッター「ロールウエイ」は、下から巻き上げる国内唯一の巻上げ方式で、国内最大級の25メートル以上の開口幅に対応できます。開閉速度も業界トップクラスながら、強風時の開閉に強く、メンテナンス性にも優れた設計になっています。
建築向け金属加工製品では、人手不足や高齢化の進む建築現場に向けた軽量化と施工性を追求した製品開発を行っています。シリーズとして給排水管用支持金具「クリップシステム」や鋼板製ユニット式ハト小屋「ハットボックス」などがあります。
知事は、高速シートシャッター等の製造工程を視察し、代表取締役社長(現・取締役会長)及び役員の方々と意見交換を行いました。
高速シートシャッターについて説明を受ける
時流に合わせて稼働年数が長い様々な製品を製造されていますが、これだけ事業を拡大されている中で、販路の拡大や性能の平準化についてはどうお考えですか。
まずはPR活動として、展示会を年に4回ほどビックサイト等で行っています。また、これからの発展につなげていく試みとして、関西は手薄だったので、大阪エリアに営業所を開設しました。
機械を売るという発想ではなくて、お客様の環境を変えるために会社としてどんな貢献ができるかを捉えながら、メンテナンスと営業活動に力を入れています。
「脱職人」を進めているとのことですが、そうすると熟練工の育成や採用が難しいのではないかと思いますが、採用の方はいかがですか。
研究開発部門の人材を集めるのは少々難しいです。ベトナムに優秀な人材がいるのでその人を社長にして新会社を設立し、将来的には向こうで開発の70%くらいをできるようにしていきたいと模索しているところです。
一方で、その他の部門の人材については、嵐山では結構集まります。それから、人柄が非常に良いです。
働く人の条件を良くして、働きやすくて高賃金、かつ成長性の高い企業を目指して、全員の知恵を絞って達成していきたいと考えています。
作業環境の改善にも力を入れる御社だからこそ、自由な発想から独自製品が次々と開発されているのですね。御社が開発中のアンダーパス通行止め装置については、埼玉発のものとしてぜひ広まっていくといいですね。
コワーキングロビーNESTo(ネスト)は、大正14 年(1925 年)に建造され、かつてタバコや絹織物の保存庫として使用されていた築約100年の県内最大規模の石蔵です。
令和2 年(2020 年)に小川町、NPO法人あかりえ、株式会社竹中工務店、三協織物株式会社(建物所有者)の4 者が「石蔵保存活用協議会」を設立し、埼玉県ふるさと創造資金、地方創生臨時交付金(国)を活用して整備しました。
コワーキングスペースには、リモートワークに利用できるよう、電源、Wi-Fi、プリンター複合機などが設置されています。
薪ストーブはクラウドファンディングで資金を集め設置されました。
カフェが併設され、平日の夜と週末にはワークショップや音楽ライブを開催するイベントスペースとして活用できます。
知事は、施設を視察し、関係する方々と意見交換を行いました。
NESTo内を視察する
NESToは町の森林資源や人の循環を目指す場所であるとのことですが、その中で石蔵の果たしている役割を教えてください。
小川町は山林に囲まれているため、資源が豊富ですが、中には建材などに使えず用途が限られる細い木材があります。そうした木材をNESTo内に設置している薪ストーブで利用しています。NESToでは、そうした地域の資源が循環するようなことを少しずつ実践しています。
また、有機農家の方や里山保育をやっている方など既に地域の中で取り組んでいる方々と自分たちがつながって、大きな意味で循環をしていくことを目指したいと考えています。
移住された方や会員向けに、小川町で既に取り組み始めた人たちがやっていることを具体的な形で見せるため、例えば、ハイキングのツアーや有機農家を訪問するなどの企画をしています。
リビングトークとは何でしょうか。
リビングトークというのは、ここの利用者の多くは、いろいろな経験や仕事をしている方であるため、それぞれをつなぐために始めたものです。
1回につき、2人程度の会員から1人30分ほど御自身の話をしていただいた後に、名刺交換や懇親の時間を設けています。これにより、利用者同士やスタッフとの距離もぐっと縮まって、友人や仲間のような関係性ができています。
NESToの会員のうち町内在住者が32%ということですが、町内では会員以外の方が利用することもあるのですか。
平日の利用者は限られますが、週末はイベント利用させてもらっていますので、週末のイベントを含めるとかなり多くの方が利用しています。
今後の石蔵保存活用協議会の展開について、どのようなイメージをお持ちでしょうか。
ここをこういう形で利用するに当たっては、建物の倒壊が一番怖かったです。このような形で整備されて、私にとっては安心ですし、やってもらって良かったなと感じています。
小川町に人を呼び込みたいと考えています。NESToや街中に呼び込んで町全体を活性化するのが一番の目標です。
小川町は始発で東京まで通えますし、いい環境で魅力がありますよね。
東秩父村では、全国的にも珍しく3社の花火業者が営業しています。 3社とも社長自らが、火薬の配合から火薬の玉の製作、花火の玉込め、仕上げの玉貼りといった一連の作業を全てこなしています。 制作された花火は、秩父夜祭や熊谷花火大会をはじめ、大小様々なイベントにおいて打ち上げられています。 令和3年12月に開催された村商工会主催の花火大会では、3社で計860発の花火を打ち上げ、コロナ禍の終息を願いました。 知事は、3社の代表の方々との意見交換や花火工房の視察を行いました。 |
東秩父村の花火業者3社と意見交換をする 花火工房で制作作業の説明を受ける |
(1)意見交換
素朴な質問ですが、なぜ東秩父村に花火業者が3社あるのでしょうか。
東秩父村では、たまたま後継者がいたということもありますが、近くに住宅が迫ってくることがなく移転する必要がなかったというのが一番大きいと思います。
秩父地域では硝石(しょうせき)が取れたため、それで火薬を製造していて、花火屋さんが集まって、今に至っているのだと思います。
花火は、歴史を紐解くと元々は海外のもののようですが、日本では独自の文化になっているような気がします。
日本の花火、それから東秩父あるいは埼玉の花火に何か特徴はあるのでしょうか。
日本の花火で一番特徴的なのは丸い玉だということです。ヨーロッパですと茶筒の形のものが昔から主流だったようですが、日本では改良され、丸く、大きく開くというのが特徴です。
花火屋それぞれで各地域の特徴を出すというよりは、会社そのもので特徴を出しているという感じです。
ただ、東秩父では細川紙を漉いているということもあるので、その紙を使うことで何か相乗効果が生まれないか、何か変わったものができないかと思っています。
細川紙と東秩父の花火のコラボレーションが実現して、相乗効果が生まれることを期待しています。
(2)工房見学【神田花火】
花火玉に糊を塗った紙をたくさん貼ることで外殻の強度を強くして、大きく花火が開くようにします。打ち上げて爆発する時に外側が硬い方が、勢いよく外に飛んでいきます。
では、花火がバーンと開いて見えるのはこの作業のおかげなのですか。
そうです。大きい玉だと40、50枚ほど何度も何度も繰り返し紙を貼り足していきます。
一番苦労するのは、どの工程ですか。
「星掛け」※です。花火の色を変化させる場合に、みんな同じように火薬がまぶされてないと、色の変化が揃わないのです。いかに均等に作るかが難しいところです。
※星掛け:星掛け機(回転する機械)を使い、水分を加えながら配合した火薬を少しずつまぶして火薬の玉を球形に太らせていく作業
東秩父の花火大会は、やはり、地元だと力が入りますか。
3社でそれぞれライバル心があるので、自分のものが一番綺麗だと言っていただけるように考えて上げています。東秩父の花火大会は、いろんな花火がぎゅっと詰まって見られて楽しいという人もいます。
それは良いPRポイントですね。是非、多くの人に知っていただきたいと思います。
障害のある人たちが作品の創作活動を行っているアトリエ及び様々な作品を展示するギャラリーです。
社会福祉法人 昴(すばる)が運営し、県内2か所の「障害者芸術文化活動支援センター※」(厚労省所管)の一つ「ART(s)さいほく」(特色型)の本部です。
アトリエを利用する障害のあるアーティストたちは、文化庁主催の文化芸術フェスティバルや埼玉県内をはじめ各地の展覧会に、作品を広く出展しています。
彼らの作品は海外での評価も高く、フランスやスイスなどヨーロッパの展覧会でも展示されています。また、作品の一部は著名なコレクターから購入され、障害のあるアーティストが創作した他の作品とともにフランス国立近代美術館に寄贈されるなどしています。
県内には、国内外で活躍している障害のあるアーティストが数多くおり、当所はその創作活動の場として活用されています。また、作品を基に作成したクリアファイルや缶バッジなどのグッズ販売も行っています。
知事は、創作活動や施設内を視察し、代表及び職員の方々と意見交換を行いました。
※障害のある方の芸術文化活動を支援するために、障害のある方・ご家族・事業所等に対する相談支援、支援人材の育成、権利保護の推進、支援者のネットワーク構築などをする拠点。県内で中心的な役割を担う基幹型と、基幹型と連携して特色ある取組を行う特色型がある。
施設の概要について説明を受ける
この施設は、どのような効果を狙って運営されているのですか。
我々の法人が目指すところが地域共生社会ですので、この施設は、人が自然と行き交って触れ合う、知り合う、自然に人が入ってこられる場、美術館として日常の中にあるということが重要だと思い、運営しています。
共生社会を作る上で地域の人たちとの関係をどのように考えていますか。
当初は何をやっている所だろうと見られていることも多かったのですが、いざ中に入ってみると、こんな面白いものがあったのかと気付いてもらえたりします。
利用者の皆さんは言葉でのコミュニケーションが難しいので、私たちが一緒に作品を説明したりして、地域の人たちとの関係が広がってきていると思っています。
利用者の方は、どのような表現の仕方をされるのですか。
利用者の皆さんの個性だけではなく、スタッフとの関係性もアートに影響します。スタッフは何かアドバイスしたりはしませんが、傍らに立って作品を出来上がるまで見つめながら寄り添うことで作品が出来ていきます。
この作品ですが、彼女のおじいさんが小さいころに根気強く教えてくれた平仮名が今こうやって作品になっています。
そのおじいさんに今日、知事が来て作品を見てもらえることを喜んでもらえるというのは、すごく喜ばしいことだと思います。
様々な形で障害者の方々とどう結び付けていくかはとても大切だと思っています。県立近代美術館でも障害者の方々の作品をしっかり展示させていただきたいと考えています。
埼玉工場敷地内に開設された、コカ・コーラシステム国内最大級の自動物流センターです。
当施設の稼働により、これまで各拠点で保有していた在庫を集約し、拠点ネットワークの最適化を推進しています。
高密度保管システムによる製品保管、最適な効率で複数の製品を1 つのパレットに積載できるロボット、製品を一括してトラックに荷役できる設備等を導入しました。
各拠点の作業が減少し、在庫管理スタッフの省人化を実現しました。また、顧客からのオーダーに基づき、ルートカーごとに製品が仕分けされた状態で入荷されるため、ピッキング作業を行わずに積み込むことが可能となり、セールスパーソンの業務負荷の軽減にもつながっています。
知事は、高密度・高効率の倉庫運営システムを視察し、経営改革本部長(現・経営戦略本部長)やセンター長、埼玉工場長をはじめ社員の方々と意見交換を行いました。
※DC:ディストリビューションセンター(在庫型物流センター)
埼玉メガDC内の高密度保管システムについて説明を受ける
流通の規模が大きくなるほどコストがかかるため、流通センターに集約するのではなく、逆に分けていくとか移動在庫にしてしまうとかいろいろな動きがあるかと思います。
このように二極分化している中で、なぜ巨大なDCセンターを作る選択をされたのか教えてください。
こういった大型拠点の配置は戦略的に行っており、いわゆる都市部、明らかに需要が多いところに限って設置しています。埼玉、東京をこの埼玉メガDCで、大阪、兵庫を明石メガDCでカバーしています。
一方で、それ以外の所については、分散して在庫を置くといった形で、ハイブリットで考えています。
海外においても密集しているところは比較的大型拠点にすることが多いですが、日本ほど密集しているところは数少ないため、世界のコカ・コーラのシステムの中でも参考にしたいということで、諸外国からかなり見学者が来ています。
ここには何人くらいの方がお勤めなのでしょうか。また、地元の方はどのくらいの割合ですか。
埼玉メガDCは約160名です。このうち9割ほどは埼玉県民で、遠くから転居する必要もなくエリア内から来ていただいています。
工場は180名ほどです。大体8割は自宅から通勤しています。
障害者の雇用にも力を入れています。桶川に特例子会社を設置し、障害のある方に来ていただいて、それぞれ障害の特性に応じた仕事をしていただけるよう工夫しています。
ありがとうございます。障害者の方も特性に応じた仕事を選んでいただければ、本当に能力を発揮する方がたくさんおられますので、是非引き続きよろしくお願いいたします。
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