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掲載日:2024年9月20日
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訪問日
令和6年7月17日(水曜日)
訪問地域
秩父地域(横瀬町、小鹿野町、秩父市)
訪問先
社会福祉法人清心会は、秩父地域の障害福祉を担う中核的な社会福祉法人です。
「地域とつながり、地域につなげる」をキーワードに、地域に根差したグループホームや日中活動の場(通所事業所等)を整備し、入所者の地域移行を積極的に推進したことで、最大65人だった入所施設の定員を30人まで減らしています。
R6年4月には、アールブリュット*創作活動の拠点及び医療的ケアを必要とした方の通所事業所として、アーティストテラス634を開設しました。
さやかワークセンター事業所併設の「のぞみ工房ぽっぽ」では、パンやラスク、秩父在来大豆「借金なし」を使用した味噌を製造・販売。「ぽっぽ」は地元密着型のブランドとしての地位を確立しています。
知事は、アート制作やラスク製造など施設の見学と代表者等との意見交換を行いました。
*「生(き)の芸術」を意味するフランス語で、芸術に関する専門教育を受けていない作家による作品を指す意味で使われており、日本では特に障害者による芸術作品を指すことが多い。
アーティストテラス634の見学
このアーティストテラス634は、昨今、注目されている障害者の文化芸術のアトリエ的な事業所にしたいという思いで、武蔵野銀行の旧横瀬支店の建物を改修し、今年の4月にオープンしました。大きな可能性を秘めたアーティストがそろっています。
また、県内でも課題となっている医療的ケアを必要とする子供たちの居場所という側面も持ち合わせています。
さやかワークセンター事業所には、「のぞみ工房ぽっぽ」というパンやラスクを作っている店舗があり、事業所として年間4,000万円から5,000万円ぐらいの売上げがあります。平均工賃も3万円を超えており、就労系の事業所として先駆的な取組を行っていると思います。
年間4,000万円から5,000万円の売上げがあると伺い、びっくりしました。しかも平均工賃が3万円を超えているということで、やる気を引き出すような運営をしていただいていることは、本当にありがたく思っています。
また、地域コミュニティの中に障害者の方が普通に入っていくことはとても大切なことだと思います。
色々なグループホームがあると思いますが、「この利用者さんにはどこのグループホームが合うのか」ということについて、どのように判断されているのですか。
地道に毎年1個ずつグループホームを作ろうという思いで、中長期計画を作り地域移行を進めてきました。入所施設の利用者さんは「誰と誰の相性が良い」ということが大体分かります。しかし、在宅の利用者さんたちの相性についてはあまり分かりません。グルーブホームの数を増やしていく中で調整してきました。
また、重度障害や行動障害のあるような利用者さんたちの場合は、その方たちをイメージしてグルーブホームを設計し、職員と一緒に入所施設から移ってもらうようなこともありました。
試行錯誤の結果、大成功しているということですね。
また、アートにはびっくりしました。こうしたすばらしい作品を紹介させていただく場を、我々としてもこれから設けたいと思っています。
アート作者の皆さんが活躍されていますが、長所を見つけるコツはありますか。
私たち執行部がなるべく関与しないことがすごく大事です。私たちの価値観が間違っていることが結構ありまして、現場の絵好きの職員たちの方が可能性を開花させてくれています。
いきなり壁に絵を書き始めたら、普通であれば「何をやっているんだ」と叱りたくなってしまいます。だけど職員は「すごいです、見てください」と報告しに来ました。こうしたことを認める職員の懐の深さや技量が大事だと思います。
改めてアートはすばらしいと実感いたしました。本日はすばらしい機会を与えていただきありがとうございました。
「おかえり集学校」は、廃校になった学校をITと地域の力で再生し、様々な「おかえり=RebirthやRecycle」体験を提供。地元のシンボルであった学校を起点に、地域をもう一度元気にするプロジェクトです。
長若集学校は「みんなで心躍る若葉の芽吹き」をコンセプトに県内初、全国では13校目の「おかえり集学校」として開校。新しい事がいつもここから始まるような場所、機会づくりを目指しています。
スマートフォンやパソコンの使い方など、IT機器の分からないことについて無料で相談に応じる、地域の「IT何でも相談所」を設置。中古パソコンなどのIT機器も販売しています。
「朝の会(地場産品の販売を行うマルシェ)」などのイベントや子供向けプログラミング教室(有料)を実施しているほか、キッズフェスタなどの地域イベントの会場として場所の提供を行っています。
小鹿野町、(株)LIFULL、(一社)おかえり集学校が連携し、子育て世代向けのテレワーカー育成セミナーを開催。子育て世帯の方がライティングやSNSのスポット支援業務などを受託するオフィスを設置する予定です。
知事は、施設の見学と代表者及び利用者等との意見交換を行いました。
長若集学校の施設見学
私たちは全国22か所で廃校を利活用させていただいて、高齢者から子供まで、地域のデジタルデバイド対策を中心に行っています。
特に小鹿野町では子育て世代の方のワーキング、リスキリングというところに重きを置いて、地域全体のデジタルデバイド対策の手伝いをさせていただいております。
弊社では、全国5か所で空き家や空きスペースを利用し、キッズスペース付きのオフィスでお仕事をしていただく事業を展開しております。
今回、長若集学校では、小鹿野町、(一社)おかえり集学校と3者で連携協定を締結して、テレワーカー養成講座によるキャリアアップ支援、テレワーク業務のあっせん、テレワーク拠点として講座の卒業生に働いていただく場所の提供、そしてコミュニティが生まれ地域が活性化するという一連の流れに取り組んでおります。自走まで3か年の計画となっています。
全国22か所で廃校を利活用されているとのことですが、廃校がたくさんある中で選ぶ基準みたいなものはあるのですか。
私たちが大事にしているのは、その地域の方たちの校舎を残したいという思いや、地域の方たちと私たちが一体になれるかということです。その地域や地域の人たちと縁もゆかりもない状況で入っていくので、「校舎を活用したい」「地域を盛り上げていきたい」という思いをすごく重視しており、実は立地はあまり気にしていません。
村岡さんは、小鹿野町に移住し、長若集学校を拠点にパフォーマーをされているとのことですが、パフォーマーとして小鹿野町に住んで活動しようと思った理由は何ですか。
私は、毎年、海外でパフォーマンスを行っていますが、そこで日本人であることをすごく評価されています。また、スーパー歌舞伎や歌舞伎座にも出演させていただき、やはり伝統芸能の力、魅力はすごいなと改めて感じました。
小鹿野町には歌舞伎があります。駅はなく、人口は減っているけれど、だからこそ守られている伝統文化があると感じています。いずれは海外のパフォーマーたちと文化国際交流をする芸術のプラットフォームにしたいと考えています。
廃校を利活用しているところはたくさんありますが、長若集学校の取組は非常に面白く、可能性があると思いながら拝見しました。
本日は誠にありがとうございました。
(株)新井精密は創業以来、自動車や産業機器などの金属精密部品加工一筋、切削加工のリーディングカンパニー。女性が少ない製造業において、多くの女性社員が活躍しています。
現代表取締役は2013年に35歳で就任。電気自動車や医療分野など成長市場に進出する成長戦略を策定し、若手登用や業務改革を推進しています。
IoTを駆使した独自の「生産管理システム」を導入して、生産設備と加工品の「見える化」を推進し、業務の属人化を排除しています。
「技術、製品、サービスは、すべては人で決まる」と考え、人材育成や働きやすい環境整備に注力。新卒採用者定着率は100%(過去8年)です。
2023年度 「はばたく中小企業・小規模事業者300社」や第41回日刊工業新聞「優秀経営者顕彰」など数多くの賞を受賞しています。
知事は、製造ラインなど工場の見学と代表者及び従業員との意見交換を行いました。
(株)新井精密の工場見学
製品にQRコードを付けて、製造の状況、不良の数、誰が検査してどれだけの時間がかかったかなど、製品と従業員の処理状況の両方を把握する生産管理システム、工場版のPOSシステムというのでしょうか。それを適正な在庫管理につなげるとともに、従業員の能力、力量を把握して人材の配置にも活用するのは良いアイディアだと思いました。
あれは副産物みたいなもので、もともとはこの検査を誰がいつ初めていつ終わったかというところを工程の進捗管理として見ていたのです。その中で、様々なデータが集まってきました。この人はこの検査を行ったことがあるとか。どのぐらいのスピードで行ったとか。それが標準になって、この検査をできるようになるにはこういう経験が必要だとか。担当者が仕事を休んだときに他の人もできないと仕事が回らないとか。そういうことがスタートだと思います。
IoTで機械の稼動を見たり、進捗管理でインとアウトを見たりとか。そういったところでも、やはり人が携わる部分がどうしてもあるので、色々客観的に見ているというのが正しいのかなと思っています。
初めて見たシステムなので正直びっくりしました。
また、今は機械の中でバリ取りを行うのが普通なのですか。他の工場ではバリ取りは人の手で行っていることが多いように思います。
製造工程を経て洗浄して検査につなげるのですが、そこでバリが存在すると、やはり検査が行いづらかったり、合否の判定が難しかったり、作業効率が落ちてしまいます。一次工程、機械の中でバリ取り処理ができれば、その後の効率はかなり高くなります。
また、バリ取り工程を人が行うと人件費も掛かりますので、極力機械でできないかと努力しています。
工場版POSというのでしょうか。これはすごく特殊なシステムだと感じました。ぜひ、製品もシステムも新井精密ならではのオンリーワンのすばらしさを引き続き発信していただきたいと思います。本日は誠にありがとうございました。
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