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掲載日:2024年12月9日
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埼玉県と立教大学では、令和5年度から学生が知事に政策提言を行う取組を行っています。これは若者の感性を県政に生かすとともに、学生の生きた学習の場として活用されることを目的としています。
学生は県政出前講座の受講や調査活動などを行い、政策研究を進めてきました。意見交換会では、学生が知事に政策を提言し、意見交換を行いました。
11月8日(金曜日)に、立教大学新座キャンパスにて、意見交換会を開催し、観光学部 西川 亮 准教授のゼミの学生が知事と意見交換しました。
水辺空間や観光地を現地調査し、「池や湖に活用の余地がある」と分析。
調節池やダム湖の魅力を向上させ、地域内周遊につなげる仕組みづくりとして、調節池等を活用した湖上に宿泊する「水海ステイ」を提案した。
【知事からのコメント・意見交換】
(知事)湖にテントを浮かべて宿泊するという企画は非常に面白いと思う。しかし、彩湖やさくら湖など、災害時にテントが転覆するリスクがあるのではないか。
(学生)増水が見込まれる場合にはテントをあらかじめ岸に避難させることで、転覆などを防ぐことができると考えている。
(知事)グランピングが非常に人気で、冬でも予約が取れない状況であると聞く。既存のマーケットが飽和状態にある中で、民間事業者は参入するだろうか。
(学生)水海ステイの新規性は、地域全体を宿泊施設として捉える「アルベルゴ・ディフーゾ」(※イタリア語で分散型宿泊施設)の考え方を取り入れている点にある。地域全体をグランピング施設として捉え、埼玉県の豊かな地域資源を活かした質の高い体験を提供することで、新たなマーケットとしての可能性があると考えている。
観光以外の需要を新たに創出するため、チームビルディングに着目。企業では研修の一環としても取り入れられているが、学生向けには行われていないことから新たな需要があると仮定し、フィールドワークやアンケート調査を実施。
大学生に対し、県内鉄道4路線周辺の「水辺資源を活用したチームビルディング」を実施することを提案した。
【知事からのコメント・意見交換】
(知事)大学生をターゲットとし、パッケージ化して周遊を促すという企画は非常に面白いと思った。しかし、実際に大学生に売り込んだ場合、参加するのであろうか。
(学生)今回、なぜ急にチームビルディングなのかと思われたかもしれないが、実際に私たちがゼミの活動をしていく中で、仲良くなる時期と対立する時期があった。
そこで、同じような体験をしている大学生が多いのではないかと考えた。教室内では解決できない課題を外に出て新しい場所で解決することは、私たち自身もやってみたいと感じた。
また、合宿で他の場所に出かけたときに仲良くなったという実体験もあり、他の大学生にも需要があるのではないかと考えている。
(知事)皆さんも、埼玉県でやってみたいと思うか。
(学生)今回の提案はチームビルディングを目的としている。東京や埼玉には多くの大学があり、電車で1時間程度で行きやすい場所に多くの水辺がある。こうした場所でチームビルディングを行うことには意義があると考えている。
令和5年1月に日本農業遺産に認定された「比企丘陵の天水を利用した谷津沼農業システム」について検討。
現地調査やヒアリングを行い、課題を「協議会の連携強化」「魅力の創出」「次世代従事者の確保」と分析。
谷津沼システムを残していくため、谷津沼の農作物やグルメを農家やレストランが販売する「ぬまルシェ」や、谷津沼の魅力を学ぶ「ぬまナビ」を開催する「谷津沼博覧会」を提案した。
令和5年7月に関東地方で初の世界農業遺産に認定された「武蔵野の落ち葉堆肥農法」について検討。
ヒアリング調査から得た「代々引き継がれてきた農法を、自分の代で終わらせたくない」という言葉に注目。
農業従事者と次世代を担う高校生・大学生の間に「落ち葉堆肥農法を持続させる必要があるという共通認識を作る」ため、農法に関心を持ってもらう単発の体験プラン、農法の魅力と地域を理解してもらう通年の体験プランを提案した。
【知事からのコメント・意見交換】
(知事)農業遺産は皆さんにとって非常に魅力的であったか。農業遺産は素晴らしいものであるが、産業や連携につなげるインセンティブとして、皆さんがどれだけ魅力を感じているかお聞かせいただきたい。
(学生)まず地形に驚いた。谷津沼が高密度に分布していることや、天水のみを利用していることに驚いた。天水のみを利用することで生態系が維持されている点が魅力的であった。また、沼下の方々が昔から引き継いできた知識を使って管理している点にも大変魅力を感じた。
(学生)実際に落ち葉堆肥農法の現場に行ってみて、三富の地域がもともと作物が育たない土地であった所から、落ち葉堆肥農法を使うことで土壌が改良されている点に魅力を感じた。また、血縁以外の新規参入が難しいという問題に対して、本プランは若い人たちをこの農法に関わらせる手段になると考えている。さらに、新たに関わりたい人がいる場合、農家さんが畑を開放する可能性があるという新しい仕組みづくりの一歩になるのではないかと考えている。
(知事)谷津沼は、若い人たちが多い地域であり、槻川を中心にお祭りなどを通じて紹介していくことが重要である。また、三富は、落ち葉堆肥農法だけでなく、イベントなどを通じて、農業従事希望者に広げていくと面白いかもしれない。血縁以外が参入するためのハードルを下げる取組を一緒に考えましょう。
今日は2つのテーマで4つのグループから様々なご提案をいただいた。非常に柔軟な発想であり、私自身の頭の硬さを改めて思い知らされた。
特に感じたのは、我々はどうしてもできない理由を先に考えてしまう傾向があるということである。行政の単位や規制などを考えると、やらない理由を見つけがちである。
しかし、今日の皆さんの発想は非常に面白く、どうやったら実現できるかという観点で話を聞かせていただいた。これから県庁の人間を少し悩ませようと思っているので、是非いろいろとお手伝いいただきたい。
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