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掲載日:2025年4月9日
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知事
それでは、まず私の方から御報告させていただきます。いよいよ開幕まで47日となりました「第75回全国植樹祭」であります。第75回全国植樹祭は、令和7年5月25日に開催いたします。なお、埼玉県では昭和34年に寄居町の金尾山で開催された第10回大会以来、66年ぶりの2回目の開催となります。大会テーマは「人・森・川 つなげ未来へ 彩の国」であり、山村や都市など、埼玉県に暮らす人が植樹によって、「森」を育み、森林から流れ出る「川」によって、人々の生活が潤される営みを「未来」のこどもたちにつなげていこうという思いを表現したものであります。式典会場は秩父市と小鹿野町にまたがり、秩父地域の豊かな自然に恵まれた「秩父ミューズパーク」であります。なお、現在、式典会場については開催に向けて開催準備を進めているところではありますが、式典において、天皇皇后両陛下に御着座いただくお野立所(おのだてしょ)については、先日完成をしたところであります。大会当日は約3,500人の方々を御招待申し上げます。当日は、天皇皇后両陛下により苗木を植えていただく「お手植え」と、種をまいていただく「お手播き」や県内外からの招待者による記念植樹が行われます。また、記念式典では、大会テーマを表現するアトラクションを披露させていただきます。
次に大会での式典演出について御紹介を申し上げます。第75回全国植樹祭式典では、アトラクションを通じて先ほどお伝えした大会テーマ「人・森・川 つなげ未来へ 彩の国」をストーリー性豊かに演出いたします。埼玉県の豊かな自然や文化、森林・林業の紹介に加え、日本で最初の林学博士、本多静六博士の思いに触れながら、映像やダンス、伝統芸能、音楽などを交え、色鮮やかに表現してまいります。そして、大会を通じて、木材製品を積極的に使っていただくなど、森林資源の活用、木材の利用拡大を図る「活樹(かつじゅ)」の重要性を、埼玉県から全国に発信してまいります。そして、この式典の出演者ですけれども、アトラクションのナビゲーターとして、2人とも埼玉県の出身ですが、林家 たい平(はやしや たいへい)さん、そして、朝日 奈央(あさひ なお)さんに御出演いただきます。また、バリトン歌手の原田 勇雅(はらだ ゆうや)さん、シンガーソングライターの吉澤 嘉代子(よしざわ かよこ)さん、フリーアナウンサーの堀尾 正明(ほりお まさあき)さんにも御出演いただきます。その他、森林・みどりを次の世代へつないでいくという開催理念の下に、県内のこどもたちなど多数の方にも御出演いただくことになっています。
さて、当日ですけれども、招待者以外の方は秩父ミューズパークの式典会場には入場できませんが、より多くの県民の皆様が大会に参加できるよう、どなたにも自由に御入場いただけるサテライト会場を県内3か所に設置して、式典をライブ中継いたします。また、サテライト会場では、会場ごとに、ステージイベントや木工ワークショップ、木材製品の展示・販売などを行う予定であります。サテライト会場ですが、「エミテラス所沢」、「深谷テラスパーク」、そして「モラージュ菖蒲」と県内3か所に設置いたします。是非多くの方に御来場いただけるようお待ち申し上げます。また当日は、式典をYouTubeの大会公式チャンネルでライブ配信する予定であります。URLなどについては5月上旬、全国植樹祭の特設ホームページで公開する予定でありますので、是非御覧いただきたいと思います。全国植樹祭は、天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、全国から大きな注目を頂く大会であります。大会を必ず成功させるべく、開催準備及び当日の運営に遺漏なきよう、職員一同、全力で準備に努めてまいります。
東京
知事発表について伺いますけれども、いよいよ植樹祭まで2か月を切ったというところだと思いますが、県としてこれまで行ってきた取組の振り返りと、それからこれから行うこと、やっていくことについて、御紹介いただけますでしょうか。
知事
まず、今回の全国植樹祭に向けて、式典や植樹行事など、基本的な内容を定めた基本計画から、より詳細な内容を定める実施計画の策定を進めてまいりました。そして、本年1月に開催された公益社団法人国土緑化推進機構の全国植樹祭特別委員会で承認されることとなりました。そして、機運醸成の取組も同時に進めており、開催までの節目の時期に合わせ、カウントダウンイベントを行い、例えば令和6年6月には越谷市イオンレイクタウンで「1年前記念イベント」を開催し、木製地球儀巡回展示の出発式や大会テーマソングの発表を行いました。そして、11月には、県庁オープンデーに併せて「200日前記念イベント」を開催し、全国植樹祭開催までの残り日数をお示しするカウントダウンボードのお披露目式を行いました。また、本年1月には秩父市において、秩父商工会議所などと協力して「100日記念前イベント」を開催し、PRブースの出展などを行いました。そして、先週末(4月)5日には、川越のりそなコエドテラスにおいて、埼玉りそな銀行などと協力し、「50日前イベント」を開催し、全国植樹祭の概要を説明するパネル展示などを行いました。その他にも、特設ホームページやSNSでイベント情報を発信するとともに、県内で実施される各種イベントでブース展示やPRグッズの配布などを行う「どこでも植樹祭」を行ってまいりました。今後は、第75回全国植樹祭に向けて、埼玉県実施本部が大会の運営の中心として、万全の準備を行うとともに、この47日間を活用して、機運の醸成へとつなげてまいりたいと考えておりますが、引き続き、テレビやラジオ、新聞などを利用した広報や各種イベントなどにおいて、ブース展示やPRグッズなどを配布する「どこでも植樹祭」の開催などを通じ、全国植樹祭の開催理念を訴えてまいりたいと考えています。
テレ玉
改めてテーマについてお聞きします。テーマの中には、「つなげ未来へ」というところで、先ほど知事も、こどもたちにつないでいく意義というところをおっしゃっておりましたが、今回のイベントを通してどのような形でこどもたちにつないでいきたいか、またこどもたちにどんなことを感じてもらいたいかというところの御所感をお願いします。
知事
我々この大会、もちろん、こどものためだけではありませんけれども、未来に豊かな埼玉県の自然をつなげていくということで、大きなテーマの1つが、未来へつなぐということで、先ほど「人・森・川 つなげ未来へ」というテーマとなっています。その中でも、苗木のスクールステイといって、小学校あるいは保育園などに、(天皇皇后両陛下に)お手植えいただく、あるいは我々が手植えをする木をこどもたちに育ててもらって、それを植樹する、こういった取組を行っていますので現実にこどもたちに、この植樹祭に触れていただくということをやっています。そして3つ目には、こどもたちには是非ですね、特に都会のこどもたちは、なかなか森林に接する機会がないので、思いをはせていただくとともに、「活樹」、つまり木を活かすということで、様々な形で、県産材をはじめとする木を活かしてもらうような、そんな是非、考え・思いをこどもたちに抱いてもらうようなイベントにしたいと思っています。
NHK
今回テーマが活樹というのも1つの大きなテーマだと思うのですけれども、植樹祭だけではなくて、今後も継続して企業などに県産材を活用してもらうとか、おもちゃなど県産材使ってもらうとかそうした継続的な取組が必要なのかなと考えているのですけれども、知事として県内の企業などに活樹をより広めるための呼び掛けとか思いを考えれば教えてください。
知事
まず今回、もちろん我々、植樹もそれから「育樹」、これも非常に大切なことというふうに考えています。しかしながら、日本全体(後に訂正:埼玉県)における木の蓄積量については、昭和25年当時と比較しても約4倍になって大いに増えています。そして、これらの木については、80パーセント以上が伐採期になっていて、増えているけれども使われない、こういった状況になっているので、私たちはこの木を良いサイクル、つまり切って、使って、そして植えて、育てる。こういう、そのサイクルを良い方向に回していかなければならないという思いで、今回特に「活樹」ということを申し上げさせていただくと同時に、特に埼玉県の場合は、他の森林が多い県と若干異なるのは、都市部も抱えていて木を使っていただける、こういう環境にもありますので、これを市場と森林が近い埼玉県であればこそ、PRさせていただくことが、私たちは必要だと考えました。そこで、これまで埼玉県では、その一方で木材については流通に課題があるというふうにこれまで言われていますので、山をお持ちの方、木を切る方、その中で卸す方、そして使う方、これを1つの大きなパッケージとしてですね、流通体を作るということをこれまでも数年間進めてきましたので、これを引き続き行わせていただくとともに、これは市町村も含めて、木材を公共建築物に使っていくということ、さらには、既に行っていますけれども、エンドユーザーの方がお使いになるときには、補助金を出させていただいていますので、積極的に県産材を使っていただきたいと言うとともに企業にも、そのような中に入っていただく、流通の仕組みの中に入っていただくとともに、県産材を使うよう、我々としてもこれからも働き掛けてまいりたいと思っています。
東京
いわゆるカスハラ防止条例について伺います。新年度を迎えた今月になって、東京・群馬・北海道の3都道県で、カスタマーハラスメントの防止条例が施行されました。知事は、昨年10月の県議会で条例制定も視野に入れ検討会議を設置すると答弁されていますが、その後の進展についてお尋ねします。1点目、条例制定に向けた検討状況は今どうなっていますでしょうか。2点目、三重県桑名市では悪質な加害者の氏名を公表できるという条例が施行されています。罰則や制裁措置は必要と考えておいででしょうか。続いて3点目、県職員さんの仕事でも県民の方とか事業者の方と様々なお付き合い、接する場面があるかと思うのですけれども、県職員さんが被害を受けるカスハラの実態について、何か把握されていることがあったら教えてください。
知事
私も、昨年の段階で条例制定も視野に入れるということを申し上げてございます。このカスタマーハラスメント、いわゆるその顧客等からの著しい迷惑行為、これは働く人の安全を脅かす重大な人権侵害であるとともに、事業活動にも影響を及ぼすものであり、この防止は社会全体で取り組むべき課題と認識をしており、したがってカスタマーハラスメントをなくすことが重要と考えています。そして、県としては、業界団体や有識者の意見などを聞くため、「埼玉県カスタマーハラスメント防止対策に関する専門委員会」を立ち上げるとともに、庁内の関係部局で構成する「埼玉県カスタマーハラスメント防止対策連絡会議」を立ち上げ、この2つの会議体で、条例制定を視野に入れて検討を今進めているところでございます。その際、埼玉県では、小規模事業者が多いという特性に即したカスタマーハラスメント防止対策を推進する必要があると考えております。現在国会で提出されている労働施策総合推進法案、これについての動向を見たいと思いますけれども、これまで報道されているようなところを見る限りでは、比較的大きな団体や企業、組織、ここにおけるカスタマーハラスメントというものが想定されていて、小規模事業者や個人事業者のカスタマーハラスメントについては、我々としてはやはり条例で補っていかなければならない、そういった観点を是非入れたいと思っていますが、先ほど申し上げたとおり、現在は法案が審議されている最中なので、これをしっかりと見ながら、あるいは様々な御意見を聴きながら検討を進めたいと考えています。そして2番目の罰則や制裁措置でありますけれども、この条例を制定する場合には、条例で規定した内容の実効性を確保するための手段として罰則や制裁措置も、もちろん論理的には考えられるところであります。ただ、先ほど申し上げた専門委員会には、弁護士や労働団体、あるいは消費者団体等からの委員に御参加いただいており、これらの条例制定を視野に入れつつ、どうやって規定した条例の条項の実効性を確保するのかについても、専門家の御意見を伺いながら検討したいと思っています。ただ、先ほど申し上げたとおり、埼玉県の特性を踏まえた中小あるいは個人商店、こういったところのカスハラを防止するという意味で、そこだけに特化した罰則はなかなか難しい可能性はありますけれども、まずは、国の動向と、専門家の御意見をしっかりと聴きながら検討してまいりたいと思っています。そして最後の3点目になりますけれども、県庁における職員へのカスタマーハラスメント対応としては、令和2年6月の労働施策総合推進法、いわゆるパワハラ防止法の改正に合わせて通知を出して、所属長の責務として、職務としてカスハラから迅速に職員の救済を図ることといたしました。各所属には2名のハラスメント防止推進員を置き、ハラスメントがあった際に、職員からの苦情相談に対応させています。今年の2月になりますけれども、全ての所属に対して、防止推進員を対象に、ハラスメント相談対応等に関する調査を行いましたところ、防止推進員が職員からカスタマーハラスメントに関して相談を受け、対応を行った事例があるということについては確認いたしました。
東京
最後の点の調査で、カスハラの事例があったっていうことですけども、件数であるとか、どういった内容であるとかその辺り詳細伺えますでしょうか。
知事
対応件数としては4件になります。中身については具体については申し上げられませんが、一般論とか抽象的な言葉で言えば、住民だとか事業者から繰り返し暴言を吐かれるとか、攻撃的な言動をされた、こういったところを相談の中で確認しているところであります。
東京
条例の制定の時期ですけども、国の動向を見ながらということですが、実際制定するとなるとそのスケジュール感としてはどのぐらいのスパンで考えていらっしゃるのでしょうか。
知事
先ほど申し上げました国の法律ができてからということになりますので、我々としてはそれを待つ必要があると、まずは申し上げたいと思っています。他方で、今の専門委員会等での検討が仮に順調に進むとして、また国の動向を見て条例が必要であるという結論になるという前提で申し上げれば、今年度中にですね、この条例の骨子については、固めていきたいと思っています。
時事
八潮の陥没事故の件でちょっとお伺いしたいのですけれども、国土交通省が設置する地下占用物連絡会議について教えていただきたいです。八潮市での陥没事故を受けて、各県単位で設置し、上下水道やガス管の点検結果、点検計画の報告、路面下空洞調査の内容共有や道路陥没対策に役立つ情報を共有する会議とのことですけれども、こちらについて埼玉県での設置状況や設置の進捗について教えていただければと思います。
知事
地下占用物連絡会議のことですね。地下占用物連絡会議については、県が設置するのではなくて、事務局が大宮国道事務所となります。大宮国道事務所が事務局を務める地下占用物連絡会議については、道路管理者、それから占用者、この間で定期的に双方の点検調査結果について共有すると同時に、道路陥没を防ぐための取組などを連携して実施していくことを目的としているというふうに理解しております。県としても、この有効性は期待しているところであります。こういったところについては、我々としても実はこれまでもですね、県としてインフラ事業者との間で、毎年1回のメンテナンス会議(後に訂正:占用調整会議)で、例えば、地下埋設物についての議論をさせていただいたり、あるいは、現時点では、国に要望を総理に私がお会いしたときにいたしましたけれども、地下占用物のデータベース化、これを行っていただきたいというふうにお願いさせていただいておりますので、これについてはこういった会議も含めて、進んでいくものというふうに考えておりますし、県では、これらを落とし込んだGISを作っていきたいというふうに考えているところでありますので、今後、私どもが要望したことも含めてですね、しっかりと実現をしていただきたいというふうに考えているところであります。
埼玉
米の高騰に関連した質問になります。農林水産省が7日に、全国で販売された米5キロ当たり平均価格が前年同期と比べて2倍以上の4,206円だったという発表がありました。県内でもですね、小学校で麦飯に変えたり、色々な影響が出ているようですが、知事のこの米に関してだとか、御所感であったり、今後何か県として動くべきかお考えがあればお聞かせいただけますでしょうか。
知事
事業者や給食、さらにはこども食堂など、もちろん一般の消費者もそうですけれども、この米は、やはり私たち日本人の主食であり、大変大きな影響が出ており、これがまた継続するようであれば、家計にも影響を強く及ぼすものだというふうに考えており、懸念をしているところであります。他方で、これまで生産調整、減反等の政策がある中で、結果として、どういう要素なのか、国はいわゆる市場に出てこない米があるとおっしゃっていますけど、その辺私は正直分かりませんけれども、いずれにしても、そういった経緯の結果、現在足りなくなっているといったことがありますので、私たちとしては、安定供給をしっかりと進めていただくとともに、個人的な意見にもなりますけども海外に住んでいて、やはり日本の農産物で最も競争力があるものは米だと思っています。ところが、生産性の低い米だけれども質が高くておいしい米、こういった米がこれまで日本では嗜好されてきましたけども、海外のお米等とも渡り合って、また供給をしっかりしていくためには、生産性の高い米というものも、私は必要ではないかと思っているので、そういった選択肢が今後与えられると、より農家にとっても、そして消費者にとっても良いのではないかというふうに感じています。
読売
八潮の県道陥没事故について、伺いたいと思います。当初は5月中旬というスケジュール感で垂直方向と上流側からの掘削工事を進めていたと思いますけれども、スケジュールについては、数日早く完成するかもしれないというお話もありました。工事の進捗状況と今後の工事完了の見通し、あるいはキャビン救出の時期の見通しについて、最新の状況を教えてください。
知事
まず1月28日に発生しました八潮市中央1丁目県道交差点中央付近の陥没事故については、改めて被害に遭われた方々に対しお見舞いを申し上げたいと思っています。県では、既に御存じのとおり、消防等による救助方法の検討の結果を待つことなしに、下水道管内に所在するキャビン地点までのアクセスに向け、御指摘にもありました下水道管のバイパス工事だったり、掘削工事であったり、こういった工法を進めているところで、昼夜問わずに行っているところであります。現在、バイパスとなる仮排水路については、ルートとなる箇所の矢板の打設を完了いたしました。そして、掘削、土留め、カルバートの設置などの工事を進めているところでございます。また、もう1つのキャビンに向けての垂直方向並びに上流側からの掘削についても、今のところ順調に進んでいるところであり、要するにいずれの工事もおおむね順調に進捗をしているというところでありますので、今のところ予定よりも可能な限り早くキャビンの救出に着手できるよう、最善を尽くしているというところであります。
時事
話題変わってしまうのですけども、アメリカのトランプ大統領が打ち出した相互関税についてお伺いしたいです。9日から日本などの貿易国に、相互関税を掛けるとのことで、世界的な株安の連鎖など、金融市場に動揺が広がっています。東京都など中小企業に対する相談窓口を設けるとかの対応を取っている自治体もあるようなのですけれども、埼玉県内への影響であったりとか、トランプ大統領の相互関税に対する知事御自身の御所感であったりとか、あと今後何か対応を県で取る見込みなどあれば、ちょっと教えていただければと思います。
知事
まず、所感のところから始めますと、まず4月2日のことだったと思いますが、トランプ大統領が相互関税として日本には24パーセントの関税を課し、9日に発動するということを明らかにしたのだと思います。また、全ての国、地域から輸入される自動車に25パーセントの追加関税を課すことも明らかにして、4月3日に発動したと理解しています。この関税については、ロシアなどの一部の国を除く全世界に対して行われたものですけれども、相互関税というよりも一方的な関税措置でありますが、本来、こういった経済的手段を用いて外交的、戦略的な目的を達成することはエコノミックステイトクラフトとよく言いますけれども、全世界を対象にすると、いわゆる依存度が高いところで、経済を手段とするようなものにはなりませんので、どちらかというとエコノミックステイトクラフトというよりも、自由貿易やグローバルサプライチェーンといった国際公共財の破壊というふうに呼べるのではないかと思います。その一方で、日本政府は経済安全保障を強調してきていますので、それならば、米国の政策の変更あるいは戦略的な経済的自立の確保というものを国策として講じるべきだというふうに思っています。このように、国の主張に基づけば、国が責任持って施策を講じるべきとは考えますが、埼玉県としては、やはり自分たちの県、埼玉県の影響というものがどうしても大きくなってくることが懸念されていますので、次の2番目の影響の話ですけれども、この影響を最小限に抑える必要があると考えています。そこでまずは県としては、現状やあるいはこの先の見通しを把握するために、県内の金融機関や中小企業等に対して緊急アンケート、あるいは職員によるヒアリングを開始したところであります。これまで聞いているところでは、多くの企業からは影響が出るのはこれからであり、現段階では具体的な対応は様子見ということが多く聞かれています。その一方で、今後については、不安がある、あるいは懸念がある、こういったお声も頂戴しているところから、最後、対策ですけれども、4月3日に県産業振興公社、それから各商工会議所、商工会連合会、県中小企業団体中央会、県信用保証協会などに特別相談窓口を設置いたしました。また、今後、売上高の減少などが見込まれる中小企業に対しては、県制度融資の経営あんしん資金によって、その資金繰りに万全を期すとともに、県内金融機関等に対しても中小企業からの相談に丁寧に対応するよう、昨日ですが、私の名前で要請を行わせていただきました。これらの支援情報につきましては、昨日、県のホームページに「米国における関税措置(トランプ関税)への対応」と題した特設ページを開設するとともに、SNSなどを活用した周知を行っています。その一方で、一部では、アメリカと他国が潰し合いを経済的に仮にするようなことになると、アメリカ国内経済への一定の影響が避けられずに、一定程度、日本に投資家の目が向くのではないかなどといった、そういった声もあったり、あるいはその逆に、今の状況だと円高の方が望ましい、こういった声もありますので、まずは冷静に状況を見て、その次の段階として、更なる措置が必要であれば、我々としても戦略的な措置を考えていきたいと思っています。いずれにいたしましても、この機会に将来に向けて実施するべき策は、戦略的に実施したいし、また今回の措置で埼玉県に多い中小企業にしわ寄せが来ることは好ましくないので、そこで、これまで進めてきた価格転嫁の円滑化についても、引き続き本県が国や他の自治体をリードできるよう適切に対応したいと思います。そしてこれらについては、産官学金労を含めた団体と連携する「強い経済の構築に向けた埼玉県戦略会議」でも議論して、県の施策としてのみならずワンチームで全体として対処してまいりたいと考えています。
日経
今のトランプ関税に関してもう少し詳しくお伺いできればなというふうに思うのですけれども、県内は中小企業とか自動車関連の企業が多いかと思うのですけれども、具体的にどういったことが懸念されるか、心配されるかということと、どういったところを注視していきたいかというのをもう少し詳しく教えていただければと思います。
知事
現時点では、先ほど申し上げたとおり、直ちに何かというよりも、これからの懸念というものが多かったので、我々としてもしっかりとそこは丁寧に見ていきたいと思うのですが、ただ、県内の企業というよりも一般論で申し上げると、自動車に対する関税がひときわ高いというところで言えば、自動車にあるいは移動用機械に依存する度合いが高い埼玉県への影響というものを、この業界単位でまず見る必要があると思っています。
そして2つ目には、将来の懸念として株安を含めた経済全体のシュリンク、縮小ですね、こういったものの影響を私たちは見ていかなければならない。
それから3つ目には、特定の企業が仮に大きな影響がある場合に、埼玉県は中小企業が多いので、下請けに対するしわ寄せとして、いわゆる親企業よりも大きな影響が下請けに及ぶ可能性があったり、あるいは特定の企業がですね、他国に進出するとか、そういったことで業界の再編であったり役割が変わるといったことも考えられますので、これらについては、一般論ですけれども見ていきたい。ただ、全体としては先ほど申し上げたとおり、まずは様子見という企業が多いので、まずは状況をしっかりと冷静に見るということを行っていきたいと思っています。
毎日
地下7(地下鉄7号線)のことなのですけど、先日、その前の前の前の知事会見(3月28日)等で、「鉄道事業者への事業実施要請はさいたま市だ」とおっしゃられたと思うのですが、今日は県も連名で(要請を)やると聞いたのですが、そうなった理由をお願いします。
知事
事業実施要請については地方自治体が行うものであります。今回の事業実施については、さいたま市内での延長でもあり、さいたま市が行うことがまずは筋であります。他方、今日の清水市長との会議で、地下鉄7号線については令和7年度内に事業要請を行いたいということの決意が表明されるとともに、県と市で事業要請を行うということにして欲しいと、こういった話がありました。県と市で行うとなれば、これはまだこれからお金もかかることなので、当然、議会等に諮りますから、どこまで明言できるかは別としてもですね、事業要請者の1つになれば、一定の、私たちとしても責任が出てきます。ただそれを、この今回の決意に合わせて、私どもとしても一緒に事業要請を、市の要請に応じてやらせていただくということを今回合意したものであります。
毎日
鉄道事業者は埼玉高速鉄道と考えてよろしいのですよね。
知事
事業は埼玉高速鉄道が行います(後に訂正:行うことを想定しています)。
毎日
前回も、埼玉高速鉄道が埼玉県民に320億超円もの借金を肩代わり(させて)、県民は(負担)したという話をしたと思うのですが、今回県が事業要請の主体となることはとても重い意味があると思うのですが、株主である県が背負うリスクを県民にどう説明し理解を得られるのか、そこのお考えをお願いいたします。
知事
私たちといたしましては、まずこれは理解を得るためには事業性を確保しなければなりません。今後、赤字に仮になって、更に大きな負担を県民に強いるということが見通しとして出るような場合には当然、我々の責任として実施することはできません。そこで、これまでも慎重にB/C(費用便益比)を含めた事業性について検討を行い、さらには、鉄建機構(=鉄道建設・運輸施設整備支援機構)をはじめとする専門の方々にもお話をいただいてきた結果、B/Cも1を上回る、また今後、中間駅あるいは岩槻を含めたまちづくりについても、さいたま市がしっかりとした取組に対する熱意を持つということが確認できた、こういったところから私どもとしては、利便性あるいは災害が起きたときの県民や市民の安心・安全の確保、こういったことを総合して判断させていただいたものであります。他方で波はあります。前回確かお話ししたと思いますけれども、埼玉高速鉄道においても、当初の営業の利益は、浦和美園に大きなショッピングセンターができたときから大きく変わりました。要するに上の方向に上振れしました。そういった意味でも、まちづくり等、それから営業成績や負担というものは実は並行しているというふうに考えられますので、私たちとしては、単に線路を作るのではなくて、まちづくりやあるいは県民・市民の皆さんの利便性の向上、これらを同時並行的に進めていきたいと考えています。
毎日
例えば蓮田からですね、宇都宮線から高崎線の方につなげるという考えは、知事はどう感想をお持ちでしょうか。
知事
これも以前お話ししたと思うのですが、地下鉄7号線はまず岩槻までの延伸を検討いたしますけれども、岩槻に行くときにも、SR(埼玉高速鉄道)とそれから京浜東北線と東武線という形で環状になっていきます。これはやはり、両方向に影響が及ぶというのは、私は良いことだと思っているし、また災害や安全上ではリダンダンシー(冗長性)が確保できるということにもなりますので、そういった様々な効果が得られるというふうに、確か以前に、相当昔ですが申し上げた記憶があります。
鷲頭記者は当初のころから私の話を聞いていただいているので覚えていらっしゃると思いますけれども、同様に、高崎線等につながるということになれば、リダンダンシーの確保や利便性の向上につながるということは当然だと思います。
埼玉
今日の地下7の、知事のお話の中でですね、「清水市長の強いイニシアチブ」というお話があったかと思うのです。植樹祭まで47日であると同時にさいたま市長選まで47日ということですが、知事はかねて、特定の候補者の応援の要請がある場合など、県に対する支援や貢献度合に応じて対応を検討したいとお話されていますが、現時点でそういったお話などもありますでしょうか。
知事
これまでも原則として現職の方にお願いされる場合には、これまで県として共に取り組んできた経緯もあるので、県に対する貢献や、そういったことも勘案しながら検討しますと申し上げてきたところでございます。今後、さいたま市長選がどのような形に最終的になるのか私もまだ承知していませんけれども、清水市長から要請があるのであれば、現職の市長として、そして新しい候補者として、私としても支えることができるのではないかというふうに思っており、今日の「強いイニシアチブ」というのも恐らく、そういったことを市長も想定されながら、何としても進めたいというふうにおっしゃったのではないかと思っています。(終)
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