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掲載日:2025年1月22日
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知事
それでは本日は私から1点御報告させていただきたいと思います。まず、「埼玉県のDX(デジタル・トランスフォーメーション) これまでの取組と成果」について御報告いたします。本県では、超少子高齢社会に対応し、人口減少下であっても、生産性を向上させ、持続的な発展を続ける上で必要となるDXへの参加のハードルを下げるために、3つのステップに分けて段階的に進めてまいりました。つまり、最初からAIとかロボティクスとか言ってもなかなか取っ付きにくい、そこで「登れる階段を作る」という発想であります。第1段階は「デジタイゼーション」と称して、このアナログからデジタルに、つまりペーパーレスなどに代表される(取組など)、こういったことを1段階目に位置付けました。そして、現在はこれを過ぎて、第2段階の「デジタライゼーション」の段階にあります。この中で力を入れているのがTX、タスク・トランスフォーメーションであります。ちなみに、この言葉は私の造語でありますので辞書には出てきません。このタスク・トランスフォーメーションですが、デジタルを活用して業務を効率化し、そこで生み出した時間を職員のアップスキリングや県民サービスの向上、あるいは残業時間の減少などに活用していくものであります。つまり、単にデジタルを使うだけで満足するのではなくて、デジタルを使って仕事のやり方や仕組みを変え、職員のやりがいであったり、あるいは働きやすさを高め、県民にとってより便利で役に立つサービスを提供するということで、デジタル化の恩恵を仕事のやり方の変化へとつなげるというのがタスク・トランスフォーメーション、TXであります。
次にこれまでの、TXの取組内容を説明させていただきたいと思います。全ての職員がTXを「自分ごと」として取り組めるよう、業務に役立つ3つのデジタルツール、これを全職員が使える環境を整備いたしました。埼玉県のDXは、全ての職員が「自分ごと」として取り組むことが当県の特徴と考えており、このデジタルツールも同じであります。このように、1万3千人もの規模でこれらのツールを導入している自治体は全国でも極めて珍しいのではないかと思っています。ノーコードツールは、プログラミングの知識がなくても業務を効率化するアプリを作成できるもので、本年度7月に全職員にライセンスを導入いたしました。そして、現在、全庁で約500のアプリの開発に職員自らが取り組んでおります。そして、文字起こしAIは、人が話すとほぼ同時にAIが文字に変換するツールで、これがあればメモ取りは不要となり、生成AIと組み合わせれば、人手を掛けずに議事録などをすぐに作成することができるものであります。そして、生成AIでありますけれども、文書の作成や要約などのほか、アンケートの自由記述の分析など幅広く活用できるツールであります。安心・安全に利用ができるよう、情報漏えいのリスクのない埼玉県専用の生成AIを今年度から導入しております。これらのツールを使ってTXを推進するには、各現場のデジタルを活用して業務改革をリードする人材が重要となります。そのため、各課所に数名のリーダーを配置することを目指し、本年度は約300人の人材育成研修を実施いたしました。つまり、外部の専門家が数名来るような組織ではなく、そこには数百名のリーダーを配置していくという発想であります。このほかにも、デジタルに関する情報交換を気軽に行えるオンライン上のコミュニティ「デジカフェ」を運営しています。職員は誰でも参加することができ、例えば「デジタルの〇〇ツールで、どのようにしたら××ができますか」といった相談をここで行って意見を交換する、このデジカフェですが、私も時折、書き込みをさせていただいております。
これまでのTXの具体的な取組事例を幾つか紹介したいと思います。「報道発表管理TX」では、今日行っているような記者会見をはじめ、県が報道発表する案件をノーコードツールで情報管理を一元化するものであります。年間約1,650件の報道発表案件の内容、進捗、実績等につきましては、これまではメールにファイルを添付してやり取りをしていました。ところが、ノーコードツールを導入し、これらの情報を管理できるようにした結果、概算すると、このツールのおかげで全庁で年間約4,500時間の作業時間を圧縮できる見込みとなっています。こうしたTXの取組で生み出した時間については、この報道発表管理TXを使っている課所では、例えば、報道発表の実績の分析や効果的な発表手法の検討に活用していくこととしています。次に(パネルを示しながら)こちら、「ラジオ広報TX」ですが、放送内容の音声を、AIを使って即、文字起こしするものであります。例えば、健康増進について専門家が語るラジオ番組を、文字起こしAIと生成AIを使って、放送内容を直ちにテキスト化・要約し、県のホームページに載せることをしたものであります。これまではラジオをお聴きの方にしか情報が届かず、あるいはラジオですから、ときに、一瞬で過ぎてしまって情報が確認できない、そういったこともありましたが、今後は聞き逃した人を含め、より多くの方々が自分のペースで、自分の都合に合わせて、いつでも、何どきでも健康情報を得られるようになります。
DXの第2段階では行政手続の利便性向上にも取り組んでいます。県の行政手続の際、証明書の添付を求められることがあるのは皆さん御存じだと思います。例えば、入札参加資格を申請するなどのときには、まずは県税事務所に行って、そこで納税証明書を発行してもらいます。そして、この取得した納税証明書を今度は添付して、そして申請する。そして、申請が終わったらまた県庁にまで来る。これが通常のパターンでした。そこで、納税情報を共有するシステムを構築し、県庁内の申請手続等の担当課で、例えば、申請されたものについては、必要な都度、納税状況をバックオフィス、つまり直接確認することによって、納税証明書の添付は要りませんということにいたしました。現在、13の手続で添付不要となっていますが、不要にできる手続を拡大するため、現時点では国の法令が支障となっていて、これを改正しない限り手続を省略できないものがあります。そこで、国に対し、法令の改正を要望しているところであります。国の機関が発行する証明書の添付が必要なケースもあります。例えば、宅建業の免許申請では、法務局が発行する登記事項証明書が必要となりますけれども、この証明書添付を不要にする国と地方の情報連携モデル事業に本年度から参加しています。今までは県の手続だけではなく、法務局にも証明書を取りに行かなければならなかった。しかし、今後は法務局には行く必要がなくなります。現在、77の手続で添付を不要にする取組を進めており、今後も更に拡大させていきたいと思っています。さらに、行政手続の中には講習の受講を義務付けるものもあります。ペットショップなどで配置が必要となる動物取扱責任者については、研修が必要ですけれども、研修を受講するために、平日営業を休んで研修会場に行くなどが必要でありました。そこで、この研修をオンデマンドの動画配信とウェブテストの組合せに変えて、いつでもどこでも視聴できるようにしています。こうした県が実施する講習や研修のオンライン化、今後、積極的に更に進めていくつもりであります。
そして、DXの第2段階では、オンラインで提供する新たなサービスの充実にも取り組んでいます。埼玉県のGIS、地理情報システムは昨年1月に開始したサービスで、県が保有する様々な分野のマップを集約し、そしてオンラインで手軽に閲覧、あるいは利用できるようにしたものであります。当初は10のマップから開始いたしましたが、今年度末までに49マップまで拡充する予定であります。来月にはポータルサイトをリニューアルし、探しているマップをより見つけやすくなるよう、カテゴリー別の表示といたします。マップの重ね合わせ活用例も掲載します。例えば、ハザードマップと道路マップを重ね合わせることによって、災害時の避難ルートの検討に活用ができるようになります。これに加え、今年度は、県内の道路・河川の3Dマップとして、点群データをオンラインで提供できるようにいたしました。そういたしましたところ、建設事業者が活用することによって省力化や建設事業者の労働生産性の向上に大きく寄与したという評価を頂いているところであります。今後も県民サービスの向上に向けて、県庁のDXをしっかりと進めてまいりたいと思いますので、是非県民の皆様にも県庁のDX、御活用いただけるようお願いしたいと思います。
NHK
知事発表について質問させていただきます。業務改革のリーダーというのがとても必要不可欠だと感じているのですが、今、TX推進リーダーというのは、300人いらっしゃるという話がありましたけれども、もう少し具体的に、どういった年代ですとか、(どういった)方を選びながらですね、推進していかれているのかというところの戦略的なところがもしありましたら、是非教えてください。
知事
具体的な戦略については、後ほど部局からお答えさせていただきたいと思いますけれども、まず一般論で申し上げると、私たちは、埼玉県のやり方としては、やはり全員が同じ船に乗っていくということが大切だというふうに考えています。もちろん、そのためには、強いリーダーシップ、これが必要ではありますけれども、この船に乗るためにはですね、ただ、非常に人数が多いので、正直、一番その先頭にいる人もいれば、案内があって初めて船に乗れる人もいれば、まだ港でちょっとどうしようかなと思っている人もいる。こういった中では、やはりそれぞれの部局の中でいろいろな人がいる中で、それぞれ指針や方向、あるいは信頼を得るための努力というものを行っていただく人たちが必要だと思っていますので、したがって、こういうリーダーをそれぞれの課所に配置するということを想定いたしました。基本的にはボランタリー・ベースだったと理解していますけれども、具体的にそういった選考の基準や現実の問題としてどうなっているかがあれば(担当部局から)教えてください。
企画財政部
今、知事が申し上げましたように、若手から中堅で、その現場で実際に前線に立ってやっていただくということ、それから各部局と連携しながら情報連携をして、我々(担当部局)と意思疎通しながらやっていくということが大事ですので、そうした意味で若手から中堅職員をですね、職場からボランタリー・ベースで出していただいて、情報連携を取っているというところでございます。
埼玉
今年度の県民満足度調査の際にですね、県のDX推進についての項目も一緒に調査が行われて、県民の約85パーセントが県のDXについてなかなか知らないという実態が分かった。一方で、行政手続や公共サービスの利便性向上にDX推進による効果を期待する回答も74パーセントと最も高かったという結果が出ました。どうしても県の行政手続は市町村と違ってなかなか目的が限定化されている部分もあるかと思うのですが、先ほどTX推進リーダーなどの政策をですね、市町村に横展開してくようなビジョン、知事の中でお考えとしてはいかがでしょうか。
知事
まず、埼玉県のDXの取組につきましては、これまでも市町村に対してお願いすると同時に、市町村と連携する手続なども示すことによって、具体的に共にできる分野については進めてきたつもりでございます。また、これは埼玉県内だけではありませんけれども、埼玉県のDXが徹底しているということで、国やほかの自治体からも注目されて、今、北海道から九州まで、ほぼ毎月のように視察にお越しいただいて、埼玉県の事例というものを見ていただいてお帰りいただいています。そういったものが広まるということは極めて重要だと思っていますので、我々も惜しみなくノウハウについては御提供させていただきたいというふうに思っています。他方でですね、このデジタル化、DXについては、やはり一定のハードルと言うかですね、精神的・技術的なハードルがあることも事実だと思いますので、ここはトップが、しっかりとリーダーシップを発揮するとともに、実際に恩恵がどれだけあるかということを示す必要があると思っています。そこで、地域機関を含めて、それぞれの地域でどれだけこういったことが進むと良いかということについて、今、少しずつ、1例ずつ、具体的にその事例を示しているつもりであります。今後は、いずれにいたしましても、他の地方自治体だけではなく、民間企業も含めて、埼玉県はワンストップでデジタルの窓口を作っていますので、何をすれば良いか分からない人も含めて、埼玉県ではデジタル化をしっかりと進めていきたいと思っています。他方で、それがなかなか知られていないことについては、確かに市町村と違って県庁の窓口というのは一般の市民・県民の方々からは相対的には遠いところにありますが、さはさりながら、横展開をする力は市町村よりもありますので、これを横展開させていただくことによって、引いては、県でDXが進んでいるということを知っていただければ良いのではないかというふうに思いますので、あえて我々から「やってるやってる」というアピールをする話ではないかなと思っています。
時事
行政手続の証明書の添付不要の取組の部分についてちょっとお伺いしたいのですけれども、現在、13手続で行っているとのことですけれども、これはいつから行っているものなのでしょうか。また、拡充していくとのことですけれども、主にどういった手続を中心に進めていくのかという部分についてちょっと教えていただければと思います。
知事
ちなみに、まず、これは証明書の添付手続とかですね、例えば建築の確認とかの建設関係(後に修正:入札参加資格申請等の手続)で言うと、これまで実は1万7千件(後に修正:現在約7千件)の手続が省略されていますけれども、これを国にまた求めることによって、(後に追記:建設業許可関連の手続で)今2万件ぐらいまで増やせる(後に修正:約7千件に加えて、約2万件くらい増やすことができる)と良いなと思っています。
企画財政部
納税証明書の方につきましては、令和5年10月から始めておりまして、納税証明書の添付というところですね、例えば優良な産廃処理事業者ですとか、省エネ設備等の施工業者の認定制度については、令和5年度から始めておりまして、数百件あるような状況ですが、そういったものが対象になってきて徐々に拡大しているということでございます。
日刊工
TXについてお伺いします。来年度以降、県庁内でTXを更に推進していくに当たっての具体的な策であったり、方針があったら教えていただきたいです。予算の取る取れないにかかわらず、知事の御見解をお聞かせください。
知事
埼玉県では、先ほど申し上げたとおり、(DXの)第2段階として、県民のサービス向上を行うと同時にタスク・トランスフォーメーション(TX)を行ってまいりました。現時点では、先ほど約500という話をしましたけれども、今、取り組んでいるところが、まだ、やり終わったところと、取り組んでいるところの両方がありますので、このノーコードツールを活用して様々な形で、まず皆さんが自分の業務をよく知っていると、この業務、ここの部分を例えばオートマチックにしたらこれだけ楽になるとか、それはそれぞれの業務を担当している人しか分からないのですね。これをまずは、全員が、もしくは全課所で、何ができるかというものを検討していただいて、そして、これを完成したソフトにしてもらう。そして、次にこれを、ライセンスを全員に与えていますので、共有して同じような仕事をしている人にこれを使ってもらう。そういったことが、2つ目のステップになると思っています。そして、3つ目には、このツールをですね、優秀なものについては横展開もしたいし、また、是非しっかり取り組んでいただくために、それぞれの事例を集めて検証していくということを考えていきたいと思っています。そして、次に、これを(時間が)生まれたものを、それぞれの課所単位で見える化して、例えばこれとこれとこのTXが進んだので、この課所では例えば月間で200時間削減できましたと、これを1か所で集めます。ところがこれがですね、役所って無くなってしまうのですね、仕事を削減して行政改革しても。私もかつて役所に勤めていたことがありましたけれども、例えば、私がいたのは外務省で、イラクの戦争のときにですね、湾岸戦争のときに、人員が拡充されて、例えば20名だったものが30名になるのです。で、戦争が終わって、皆暇になるはずが、30名になったのに、昔に戻って皆結局同じように残業時間が長くなる。つまり、どこかで皆なくなってしまうのです。やはりこれはいけないので、200時間なら200時間出たものを集めて、それを今度は割り振るという作業をします。この割り振る先ですけれども、それは、例えば今我々が求められているのは、大きな時代の転換点の中で、私たちはアップスキリングをして自分たちの能力を例えば開発する、あるいは、プロジェクトマネジメントと言って、自分のそれぞれの縦割りではなくて、複数の部局にまたがる仕事が新しく出てきます、これは時代の変化の中で出てくる、ここに使う。あるいは、残業し過ぎの部署については、これを使って帰ってもらう。さらには、勉強してもらう。そういった様々な時間にこれを費やす。こういったステップで進めていくことを考えておりますけれども、ただ、中期的にはこうですけれども、まずは、このTXの成果、集計していきますと申し上げましたので、まずは初年度の実績などを踏まえて、1歩ずつ必要に応じた目標の設定を具体的にはしていきたいと考えています。
NHK
幹事社質問は県庁舎の再整備について伺います。以前、知事は、年度内に一定の方向性を示すとお話されていました。昨日には5回目となる(埼玉県)県庁舎再整備専門家会議が開かれましたが、議論の進捗状況を改めて教えてください。また、一定の方向性について、現状の知事のお考えがありましたら教えていただければと思います。
知事
まず、昨日1月20日、御指摘のとおり、第5回埼玉県県庁舎再整備専門家会議を開催いたしました。会議では、これまでの検討のまとめを行うとともに、位置について、活用が考えられる県有であって未利用地であるところなどの4地点と、現在地を再整備候補地として、交通アクセスや都市整備の状況、災害リスクなどを比較項目としてお示しし、御検討いただきました。専門家の方々からは、住民の利用に便利であるように交通の事情等について適当な考慮を払う必要があることや、浸水想定のリスク、あるいはそれに対する対策などについて慎重に検討すべきとの御意見を頂きました。県庁舎の位置につきましては、県民、事業者、団体等、多くの方々に影響を与えることから、幅広く御意見を頂戴することが重要と考えています。このため、これまで県民アンケートを実施し、直接、県民の皆様のお声を頂戴したほか、県庁舎再整備懇話会を開催し、関係団体等の御意見もお伺いしてまいりました。また、各市町村に対して、もし県庁を誘致する、そういった希望がある場合には、是非、教えて欲しいという話をいたしましたが、実は具体的提案はありませんでした。そして、今後、1月30日には県庁舎再整備検討委員会を開催する予定であります。今回の専門家会議の御意見なども踏まえ検討を進め、以前からお約束しているとおり、今年度中のできるだけ早く、県庁舎の位置について一定の方向性を示してまいりたいと思っています。
NHK
もしこれまでの議論を知事自身聞かれてですね、今後のやっぱり方向性を打ち出していく、示していかれるときに重視したいことというのを改めて教えていただけたらと。
知事
今まで私の方からも申し上げていたのは、前もって、少なくとも私としてここが良いとかそういう思いを持って諮問しているのではなくて、やはりフラットな形で御意見をお伺いしているつもりであります。それはやはり、県庁が仮に再整備されるとなれば、やはりその後数十年使うことが想定されますので、そうするとまた影響も強いので、様々な方々からの御意見をお伺いしたいという、そういう趣旨であります。これが私にとって最も重視する事項であります。これまで幾つか、いろいろな御意見を頂いて、県民の皆様のアンケートからも、例えば、県が新しく土地から購入するのではなくて持っている土地を利用した方が良いとか、こういったことについては割と多くの方々から頂いたために、今回、県有地をお示ししたということがありますので、少しずつ絞られてきていることは事実ではあると思いますけれども、専門家の御意見も含め、県民の皆様の御意見ももちろん重視していきたいというふうに考えています。これが一番重視することです。
時事
昨日の専門家会議で、使用可能な県有地4か所が事務局側から示されていましたけれども、市町村から誘致の要望もなかったとのことですが、新しく用地を取得するというのは考えてはないという方向なのでしょうか。ちょっとお伺いできればと思います。
知事
もちろん、専門家の皆さんや検討委員会の皆さんの御意見もお伺いしなければなりませんけれども、これまでの私どもが県民の皆様から採ったアンケートでは、既存の県有地を活用した方が良いという方々が多かったと理解しておりますので、その観点から、県有地及び現在、県の主たる事務所が建っている場所をお示ししたつもりであります。
時事
今年度中に県庁舎の位置について、一定の方針、一定の方向性を示すということですけど、我々とかメディアにはどのような形でお示ししていただく形なのでしょうか。
知事
もちろん、(専門家会議や検討委員会を経て)方向性を決めたら、すぐにメディアの皆様にもお示しできる状態にしたいというふうに思っています。特段、隠していくつもりはありません。
埼玉
日本時間本日付で、アメリカのトランプ大統領が就任した件についてお聞きします。各国の報道等で関税の引上げなどを課す考えというのを示していますが、県内経済に与える影響についてはどのようにお考えかというところを教えてください。
知事
私も県内の経済団体から、「トランプ政権の関税政策がリスクである」とか、あるいは経済に対して影響があるとか、こういった声を承っています。報道によると、まずは関税の話ですが、トランプ大統領、就任初日の新たな関税導入は見送るとしたものの、就任演説では、外国からの関税を徴収する専門機関である「外国歳入庁」の新設の考えを改めて表明するとともに、「他の国を豊かにするためにアメリカ国民に課税するのではなく、アメリカ国民を豊かにするために外国に関税と税金を課す」というふうに述べており、今後の動向については注視する必要があると考えています。自国の利益を最大化するというのは、どの国の指導者にとっても当然であります。日本が関税の引上げの対象となる場合には、本県産業にも甚大な影響が懸念されるところ、国においては、日本の利益の最大化を目指し、米国との外交交渉に適切に対応することを望みたいと思っています。それから、トランプ大統領は就任後に記者団に対して、メキシコとカナダへの関税を2月1日付けで導入することを示唆したという報道もありました。仮に関税が導入されれば、メキシコなどの関税引上げ対象国に拠点を持っている県内の企業もございます。それがアメリカに輸出しているというこれまでの経緯もありますので、こういった自動車産業などへの影響も懸念されるところだと思います。その一方で、米中及び欧州、ヨーロッパによる関税をめぐる対立が激化するとか、そういった指摘もよくありますが、あるいは台湾海峡をめぐる安全保障上のリスクなどから、マーケットは日本に対して期待感を高めているということも指摘されています。また中国も、アメリカの代わりのコモディティの輸出先として、日本に熱い目線を向けていると、こういったところもあります。しかしながら、逆に、米中が対立することによって、世界全体の経済のパイが縮小していくとか、あるいは日本の輸出に期待が高まったとしても、労働力不足などによって需要に生産が応えられない、こういった懸念も正直あります。そういった意味では、これらのプラスの要素とマイナスの要素、これがどう出てくるのかを見る必要がある。それから最後に、エネルギーでありますけれども、エネルギーについては、トランプ大統領については、「掘って掘って使う」と、つまり、化石エネルギー、化石燃料について復活ということになりますけれども、アメリカが得意とするシェールガス等の分野については、生産地とそれから消費地が近いところにあることが特徴であって、これがたくさん出たからといって、一気にエネルギー(価格)が下がるということには多分ならないのだろうと思っています。と言うのは、アメリカの生ガス、つまりそのシェールガス等の供給は、1トン当たり2.9ドルですけれども、日本が輸入してるLNGは大体20ドル前後になります。これは実は加工するか、(加工)しないかなので、アメリカでいかに安いものが出てきても、(日本に)持ってくると、10倍近くになってしまうというのが、今の日本の構図なので、もっとも、掛けられるコストの部分については、抜本的な改革がないので、そこは一定程度、経済の大きさにもよりますけれど、つまりさっき言った米中等で(の対立による世界経済への影響も懸念される中で)、大きさにもよりますけれども、一気に安くなるということは考えにくいし、逆にマーケットが小さくなれば安くなるという可能性はありますけれども、バレルで原油換算で65ドルを切ると、アメリカの企業は逆に潰れてくるので、特にシェール(ガス)については、資本力がないので、そういった意味では、トランプ政権としても、いたずらに化石燃料を世界の市場に供給するということにはならないだろうというふうに考えています。こういった日本に影響が与えられる市場、エネルギー、原材料、このいずれについても、私はプラスの要素とマイナスの要素があるので、今は県内の企業の皆さんと共に、しっかりとこれに対応するとともに、埼玉県は2年前から補正予算等を使って、エネルギー価格や原材料価格の影響を受けにくい体質というものをなるべく作るようにしてきました。これがある程度効果が出ると良いなというふうに考えています。
朝日
先ほど再整備の関連で1個質問したかったのですが、県庁舎の、一定の方向性を示すというのは、従来言われているとおりだと思うのですけれども、その言葉の意味として、建設地を決めるという理解でよろしいのかというのをちょっとお尋ねさせてください。
知事
まず県庁の再整備については、これまで県庁舎の位置について、一定の方向性を示すというふうに述べてきたところであります。したがって、建設、あるいは再整備かもしれませんけれども、そういった場所について大まかな考え方というものを示すということになると思います。
朝日
場所が具体的に出てくるかはまだ。
知事
何丁目何番地という、そういうことを今考えているというよりも、方向性を示すと申し上げているのは、つまり考え方を示すということだと思います。ただすみません、専門家会議や、これから皆さんに検討いただく場所なので、あえて、事前に私の方で予断を持って決めているわけではないので、したがって、そこの議論も踏まえて一定の考え方は示したい、というそういう趣旨であります。
読売
先ほどのトランプ大統領の就任に関連した御質問なのですけれども、いろいろな発言が注目されるトランプ大統領が就任したということに伴って、日本のとりわけ、外務省にとっては難しい局面が出てくるというふうに推察します。そこで、知事の古巣の外務省に向けて何かエールであったりとかメッセージがあればお願いします。
知事
私が何か申し上げるような話ではありませんけれども、ただ、やはりそれぞれ政権が変わると、アメリカの場合には大統領の権限というのは首相よりも大きいので、結果として影響が大きい、これが1つ。そして2つ目に、やはりアメリカと日本との関係というのは極めて重要だということ。この2つは、やはり今も変わらないのだろうというふうに思っています。正直、今の在米の大使館や、それから日本の外務省の中でも、北米局やですね、あるいはそこから影響を受ける中国、中東、こういったところについては、大変な状況であると思いますけれども、ただ、これまで積み重ねてきたインテリジェンスと言うかですね、ベース、これは変わらないと思うのですね、そこは是非信じて、しっかりと議論を進めていただく、分析をして欲しいと思いますし、それを信じるべきだというふうに、私は個人的に思っていますので、後輩を含めてエールを送っておきたいと思います。
時事
私もちょっとトランプ大統領の話を聞きたいのですけれども、日本の首相との今後の関係性の構築について、1期目にトランプさんが来日した際は、安倍さんと川越のゴルフ場にいらっしゃったりとか、うちの会社の下の鉄板焼屋さんに来てくださったりもしていたのですけれども、今後の日本とアメリカの関係性どうしていったら良いのか、また、今の石破さんとの、相性についてどう見ていらっしゃるのか、もし御意見とかあればお伺いできればと思います。
知事
日本とアメリカは、価値観を共有し、利害が共有できる部分が多い。これが友好国の定義だと思っています。御存じのとおり、外交に友好国と言っても友人関係などありませんから、要するに友人というのは、自分に損であっても相手にとって良いことをしてあげるのが友人かもしれません。でも、そんなリーダーはどこにもいませんので、自分の国の利益を最大化できるから相手を利用する、というのが友好国の定義だと私はリアリストの立場から思っているので、そうだとすれば、共通の利益というものが多いということがある限りにおいては、やはりアメリカを大切にしていくということは、とても重要だと思っています。同様に申し上げると、トランプさんと、それから石破さんとの関係ですけれども、これ好き嫌いあろうがですね、利益になれば必ず私は進むものがあると思いますので、トランプ(さん)にとって関心のある利益というものをどれだけ示せるか、ということが最もキーだと思っていますので、別に鉄板焼きだろうがですね、すき焼きだろうが、正直、どうでも良いとは申し上げませんけれども、少なくとも面白おかしく取り上げられているものよりは、しっかりと利益を示せること、そして、利益であるということを、周りも含めて、トランプ(さん)にいかに伝わるかということを工夫することが大切だというふうに思っています。
テレ玉
先週の金曜日にですね、ノーベル平和賞を受賞した日本被団協の代表団で、埼玉県の被爆者団体しらさぎ会の田中さんらがですね、大野知事を訪問されてお話されたと思います。改めてこの平和賞の受賞の意味合いと、こういった活動をされている方が県内のお住まいの方がいらっしゃるというところについて知事の思いといったところ教えていただけますでしょうか。
知事
まず日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)の代表委員でもある田中 煕巳(たなか てるみ)名誉会長をはじめとして、被害者協議会の皆様には、まずは長年の御労苦に対して心からの敬意を表するとともに今回のノーベル賞の受賞に対してお祝いを申し上げたいと思っています。ノーベル平和賞は会談の際にも申し上げたのですが、ダイナマイトを発明したノーベルが賞を作ったときにも、思い入れのある様々な賞の中でも平和賞というのは非常に重要な賞だというふうに思っており、しかも、世界に対する発信力が大きな分野の賞だと思っています。日本被団協の活動を広め、知ってもらう、また被爆国である、我が国の経験を伝えていくということにつきましても、今回の受賞は非常に意義があると考えています。他方で、今回のノーベル平和賞の受賞は、ただおめでとうで終わるものではなくて、日本の過去の悲惨な歴史、それから未来において、戦争や、あるいは原爆を、核を使わせない、そういった未来に対する受賞でもあるというふうに私は考えているところ、つまり、この取組を今で終わらせるのではなくて、次の世代に引き継いでいくことが必要だと思いますので、今回の受賞を機に、更なる活動の広がりに期待したいというふうに考えているところであります。また、埼玉県にこういった被爆者の方々がおられるというのは、もちろん、日本全体の問題としてですね、また被爆者の方々やその御家族が、広島、長崎だけではなくて、日本全体におられるということを強く私たちも認識して、日本全体の問題であるという横の広がりと、先ほど申し上げた未来、縦の広がり、この両方を兼ね備えているものだということは重く受け止めなければならないと、改めてお会いして感じました。(終)
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