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掲載日:2023年1月25日
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知事
本日は私から、埼玉県の中小企業の販路拡大支援について御説明させていただきたいと思います。新型コロナウイルス感染症の影響により、本県の経済は大きな影響を受けております。そこで県では、産官学金労で連携し、令和2年5月に「強い経済の構築に向けた埼玉県戦略会議」を設置し、強い埼玉県経済を作るために早急に取り組むべき事項について検討を進めてまいりました。この戦略会議での検討の結果、ウィズコロナ、ポストコロナに向けた経済対策として、企業のデジタル・トランスフォーメーション、いわゆるDXに関する取組、脱炭素社会に向けたグリーン分野への取組、企業の販路開拓・拡大に関する取組等を積極的に支援することといたしております。これまで県は、公益財団法人埼玉県産業振興公社等と連携し、商談会の開催や、県内中小企業と大企業との個別マッチングを実施し、販路開拓や販路拡大の支援を行っております。東京都や神奈川県、千葉県などとの共同開催で、広域的な商談の場を提供するほか、商工会議所や商工会等が実施する地域別の商談会の開催の支援を行っており、令和3年度は計7回のこれらの商談会を開催し、56件の取引成立につなげております。また、公益財団法人埼玉県産業振興公社のコーディネーターが企業を回って情報を収集し、その情報などに基づいて、県内中小企業と大企業との個別マッチングを実施した結果、令和3年度は27件の取引成立につなげました。今年度は昨年度に引き続き、県内中小企業の技術や製品を展示する大規模展示商談会「彩の国ビジネスアリーナ」を開催するほか、受注側と発注側をサイト上でマッチングをする「ビジネス・マッチングサイト」を新たに開設いたします。本日はこの「彩の国ビジネスアリーナ」と「ビジネス・マッチングサイト」について、御説明をさせていただきたいと思います。
まず、はじめに「彩の国ビジネスアリーナの開催」についてであります。彩の国ビジネスアリーナは公的支援機関、金融機関が連携し開催する県内最大の展示商談会であり、平成14年10月に第1回を開催し、今回で20回目の開催となります。リアルの場として、さいたまスーパーアリーナを会場に、当初、参加企業157社、来場者数5,000人であったものが、令和元年度には参加企業680社、1万7,603人の方が来場をしていただき、大規模展示商談会に発展してまいりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るったことにより、感染拡大防止のため、一昨年は、初めてオンラインでの開催とし、昨年も引き続きオンライン開催となりました。オンラインの強みは、「いつでも、誰でも、世界中のどこからでも」気軽にアクセスできることであります。過去2年のオンラインでの彩の国ビジネスアリーナでは、この強みが大いに発揮され、海外を含む埼玉県外からのアクセスが5割を超え、遠隔地の企業・団体との商談が実現できました。しかしながら、その一方で、来場者が製品や技術を直接見たり、触れたりすることができない。あるいはブースを訪れた来訪者と、出展者がその場ですぐに商談をすることができないなどの不便な点があり、これらの点は、アンケートでも指摘をされました。
そこで今年開催する、彩の国ビジネスアリーナ2023(にいまるにいさん)では3年ぶりにリアル展示会を復活させるとともに、オンライン展示会も継続する、つまり両方やる、いわゆるハイブリッド方式で開催することといたしました。リアルの場での展示会では実物の展示や実演などを通じて、来場者に直接製品や技術を伝えることができ、出展者から来場者への声掛け、あるいは対話をきっかけに、会場内で即商談につながるメリットがあります。一方で、会場になかなか足を運べない、遠隔地の発注企業などについては、オンラインで、画像や動画を活用して情報発信し、出展者の製品や技術、サービスを紹介することが可能となります。今回の彩の国ビジネスアリーナはリアルとオンライン、それぞれのメリットを最大限に生かし、効果的なビジネス・マッチングの実現を目指します。リアル展示会は、さいたまスーパーアリーナにおいて、2月8日、9日の2日間、そして、オンラインの方につきましては、2月1日から15日までの15日間であり、県内外の481の企業、団体が出展・参加して開催される予定となっております。
今年の彩の国ビジネスアリーナでは、新しい産業分野のビジネス・マッチングを積極的に行います。県が従来力を入れてきたデジタル・トランスフォーメーション、DXに加え、カーボンニュートラル、脱炭素やサーキュラー・エコノミーなどのグリーン・トランスフォーメーション、いわゆるGXに関する産業は、以前から地球温暖化対策の点で注目されてまいりましたが、エネルギー価格の高騰への対応といった点でも、今後注目を集めていくであろう分野であります。そこで今回、DX、GXを新たな出展区分として設け、成長分野に特化したマッチング強化を図ってまいります。DXでは、クラウドサービス等の企業のDX・デジタル化に関するソリューションや導入支援ノウハウを持つ企業・団体約50社に御出展を頂き、多彩な製品やサービスを御紹介いただきます。また、GXでは、蓄電池や太陽光発電など、カーボンニュートラル・脱炭素関連、環境配慮型包装資材等のサーキュラー・エコノミー関連といったGXの推進に取り組む企業・団体、約20社に御出展を頂き、その優れた技術や製品を紹介いただきます。その他、特設展示としてスポーツ産業コーナーを設け、約40社に御出展を頂き、スポーツ・ビジネスの成長産業化を支援してまいります。本県はプロスポーツチーム、スポーツ施設が多いなど、豊富なスポーツ資産を有しています。その強みを生かし、スポーツ産業の成長を図るため、県内中小企業やスポーツチームが出会い、交流する場として「スポーツ・ビジネス・ネットワーク埼玉」を今年度設立いたしました。すそ野が広いスポーツビジネスは、IT、あるいはヘルスケアなどの成長分野との親和性が高く、今後ますます市場の拡大が見込まれます。この「スポーツ産業コーナー」におきましては、ネットワーク参加企業等の製品、技術、サービスを紹介するほか、体験コーナーを設け、デジタル・サイクリングマシンの体験試乗など、様々な機器やサービスを体験できるのが特徴であります。現在、特設サイトにおきまして、リアル展示の事前入場登録を受け付けています。入場料は無料でありますので、企業の皆様には是非、彩の国ビジネスアリーナ2023に御参加いただけますよう、「ビジネスアリーナ」で検索をしてください。
次にビジネスで役立つオンライン・セミナーについて紹介いたします。今年の彩の国ビジネスアリーナでは、多様な分野・内容のセミナーを配信し、企業にとって有益な情報を提供します。株式会社ホンダ・レーシングの浅木(あさき)常務には、「F1レース・パワーユニットの開発」について御講演を頂きます。F1のレースは決められた規格の中で、最高の結果を出す技術力の極致であります。その制約の下、最大の結果を得る技術開発の進め方等についてお話を頂きます。なお、このセミナーの視聴には申込みが必要ですので、御注意をいただきたいと思います。また、アスタミューゼ株式会社の永井(ながい)社長には、「イノベーションはどのように予測し起こすのか」を題材に、データを活用して未来を正しく予想し適切な新規事業を構想するなど、自社にふさわしい事業展開を考えるヒントについて御講演を頂きます。さらに、日本電気株式会社マネージング・ディレクターの井手(いで)氏にはDX、愛知淑徳大学の真田(さなだ)教授には、今年の経済情勢について御講演を頂くほか、EVシフト、事業承継、スポーツ・ビジネスなど、様々なセミナーを配信します。セミナーは全て無料でありますので是非、御視聴をいただきたいと思います。配信日時や申込み等の詳細については、特設サイト「ビジネスアリーナ」にアクセスをしていただき、オンライン・セミナーのページで御確認いただきたいと思います。今年の彩の国ビジネスアリーナはリアルとオンラインのハイブリッド開催です。来場者の方には、それぞれのニーズや、興味、関心、あるいは時間的若しくは物理的制約等に応じ、リアルあるいはオンラインで是非、御訪問いただき、出展者の優れた製品、技術、サービスを確認していただきたいと思います。また、実物の展示や実演、オンラインでのセミナー視聴などを通じ、新しい産業分野についても、知見を広めていただければと思っております。そして新たなビジネスパートナーを見つけて、自社の成長発展につなげていただきたいと思います。
最後に、ビジネス・マッチングサイト「サイタマ・サプライヤー・サーチエンジン」略称S-Search(エスサーチ)についてであります。冒頭、御説明した「強い経済の構築に向けた埼玉県戦略会議」での検討の結果、オンラインでのWebを活用したビジネス・マッチングも必要と考え、今年度予算化し、これまで受注側と発注側がオンラインを通じて常時商談できるビジネス・マッチングサイトの開発を進めてまいりました。そして、このたび「彩の国ビジネスアリーナ」の開催に合わせ、2月1日より運用をスタートする運びとなりました。このS-Searchは受注会員が自社の加工技術や設備等の自社情報を、そして発注会員が仕様や数量等の発注情報を登録し、その情報に基づいてオンライン上で商談を進めるサイトであります。そして、産業振興公社側のコーディネーターが、この登録された情報を確認し、適切なフォローも行ってまいります。ビジネスアリーナのオンライン展示は期間限定となりますが、このS-Searchは、年間を通じて運用いたしますので、いつでもどこでもアクセスできるマッチングツールとして是非、御活用いただきたいと思います。サイト利用には、県内の中小企業には受注会員として、仕事の発注先を探している県内外の企業・団体には発注会員としてサイトに事前登録をしていただく必要があります。利用料、紹介手数料は無料であります。現在、受注会員を先行募集しています。関心をお持ちの企業の方は、「埼玉県産業振興公社」で検索いただき、是非、会員登録をしていただきたいと思います。ここまで、県が取り組んでいる中小企業の販路拡大支援についてお話をさせていただきました。企業の皆様には、「彩の国ビジネスアリーナ」と「ビジネス・マッチングサイト『S-Search』」を最大限御活用いただき、新たなビジネスチャンスをつかんでいただきたいと思います。
日経
ビジネスアリーナについて発表がありましたけれども、先ほど知事からもありましたように、コロナ禍では、2年間、オンラインのみでやってきたわけですけども、その後のオンラインでもですね、成果と課題はいろいろあると思うんですけども、それが何だったかということと、先ほどはハイブリッド開催ということがありましたけども、今後どう生かしていくのかっていうのは、伺いたいと思います。
知事
オンラインでの開催につきましては、オンラインを目指したというよりも、新型コロナ感染症禍で、リアルでの商談ができない。しかし、そういった中でも、何らかの形でビジネス・マッチングを行いたい、こういったニーズがあったということがまず背景にございます。そのような中で、彩の国ビジネスアリーナについては開催を模索してまいりましたけども、感染症対策との兼ね合いを考えた結果、オンラインとなったということであります。オンラインについては、そういった意味ではニーズにまずしっかりと応えることが、感染症禍でもできたと。これがまず一番大きな成果であろうと思っています。そして2番目には、マッチングをですね、オンラインでやった結果、これまで御来場いただいたような方ではない方、これアンケートに基づきますと、県外とか、あるいは海外、こういった方々が、これまでよりも数多く全体の半分以上を占めるに至ったということでありまして、そこは我々としても、期待以上の成果だったと思っています。これを今後にどうつなげるかということでありますけれども、先ほど申し上げましたが、オンラインはそういったいいことがある一方で、残念ながらオンラインだけではできないことも、まだありますし、あるいは実際に関心のある方が、これ現場で自分の目で見たいとか、あるいは直接きめ細かな話を聞きながら見たりとか、そういった様々なニーズがございますので、このオンラインのいいところはしっかりと伸ばす。つまり、遠くのお客様や、あるいは直接来るまでもなく、オンラインでいい、こういった人も参加いただけるというこのメリットは生かすということでありますので、我々としては今年度は、リアルとオンラインのいいとこどりって言うと変ですけれども、それをハイブリッドで考えたつもりであります。
日経
そうすると、今後もやっぱりこういう対面とオンラインの長所をうまく使いつつ、両方とも使いながらやっていくっていうのが今後の方法としてはあるということでしょうか。
知事
現時点ではそのように考えていますが、昨年も行ったとおり、アンケート等で利用者の皆様の御意見を聞いておりますので、やはりこういったニーズに従って、今後は考えていく必要があろうと思いますので、今回は少なくとも、そのいいとこどりを両方でやりたいというふうに考えています。今後についても、その方向性というものは、念頭に置きつつも、やはり、まずはニーズをしっかりと把握し、来年以降につなげる必要があると思っています。
日経
「S-Search」を導入するということなんですけども、これ今まで県ではこういうマッチングサイトがなかったのかということと、なぜこのタイミングで導入するのかということを改めて伺います。
知事
まずオンラインでのマッチングについては、コロナ禍でもやらせていただきましたけれども、こういった恒久的なものはなかったと理解しています。
東京
ビジネス・マッチングサイト「S-Search」なんですけれど、これを利用する企業っていうのは、主に県内の中小企業を想定されてらっしゃるんでしょうか。
知事
オンラインでの、特にそのビジネス・マッチングにつきましては、必ずしも県内の中小企業だけを限定しているわけではありません。受注企業、つまり請け負う方ですね、こちらについては県内の企業、特に中小企業を念頭に置いています。発注企業については、企業って必ずしも受注と発注がきれいに分かれるわけではなく、受注する企業はいろいろ発注して、いろんなものを買うわけですけれども、発注する企業については多様な企業をより幅広く考えているところであり、県内だけに限るつもりもないというところでございます。
東京
今回の今日の知事発表のものが中小企業の販路拡大支援ということで、この強い埼玉県経済を作るためにということがあると思うんですが、県内の経済を強くするために、その中小企業の支援に力を入れるその狙い、特になぜその中小企業に重点を置くのかをお聞かせください。
知事
埼玉県の特性として中小企業が、数から言いますと圧倒的に多いという特性がまずあります。やはりそういった中小企業を支援することが埼玉県経済を活性化することにつながるということがまず第1点としてあります。また、2点目といたしましては、このところ3年にわたるコロナ禍、さらには昨年からのですね、ロシアによるウクライナ侵略を契機としてのエネルギー・原材料価格の高騰、そしてそれを価格転嫁できないのは、より中小企業の方が多い。そして、それらの影響を受けるところもやはり、脆弱(ぜいじゃく)な財政基盤の中小企業というものを、やはり念頭に置かざるを得ないということで、我々といたしましては、このような、もちろん中小企業だけではありませんし、経済は実は国境ですら限られないので、国内企業だけでもないのかもしれませんけれども、特にこの埼玉県の特性と、さらには、最も影響を受けているであろう中小企業を対象にしたというのが我々の考えでありますけれども、ただ、このビジネス・マッチングサイトや、あるいはビジネスアリーナ、中小企業だけに限ったものではありませんので、中小企業を見ながらもそこに限定してはおりません。
日経
今の経済対策についても関連するんですけども、知事、年末から年始にかけてですね、いろんなところで「今年は、ポストコロナ元年にする」とおっしゃっています。その中で経済対策として、どうするかということを伺いたいと思います。今ですね、コロナによる、いわゆる「ゼロゼロ融資」もですね、今後、返済が本格化するということで、今おっしゃっていた中小企業はかなり経営環境が一層厳しくなることが予想されます。そこでですね、県として具体的にどのように支援していくのかと、短期的と中長期的と両方あると思うんですけども、そのあたり、改めて知事からまた伺えますでしょうか。
知事
長期化するウクライナ情勢等のエネルギー価格や原材料価格、高騰が続いています。また為替相場も、円安から一気に年末には反転するなどですね、乱高下が続いており、また、世界的な景気後退リスクについても、指摘をされているところであり、様々な経営環境の変化、特に今年は悪いということをおっしゃる経済学者の方が多いものですから、それを前提とした対応というものが必要だというふうに考えています。ゼロゼロ融資を受けた、また6割以上の企業の方については、既に返済を開始しておりますけれども、しかし、残りの企業の返済がこれから開始されることになり、県としても、その状況を短期的にはまずは注視する、こういった必要があると思っています。さらには価格転嫁とかですね、あるいは年頭からまだ1か月弱ですけれども、経済の脆弱性というものが明確になってきた、中国側の政治的な措置によって、例えば春節等における観光支出、こういったものが絞られたとかですね、あるいは石油が、日本の輸入、1973年以来初めて中東依存度98パーセント、これ圧倒的に大きな数字であり、中東で何かあれば、これで大変な影響になると、こういった脆弱性が目立ってきました。それらについて対応する必要があると思っています。そこで、県では、産官学金労で構成される「強い経済の構築に向けた埼玉県戦略会議」において、ウィズコロナ、ポストコロナをはじめとする経済対策について議論を行うとともに、直近を含め、目先のことも含めた様々な対策を打ってまいりました。まずは、企業の、やはりその血液は資金繰りでありますので、この資金は途絶させてはならないということで、資金繰り支援というものが必要だと思っています。令和4年度に金融機関による伴走支援を受け、経営改善を図りながら借換えや追加融資を利用できる「伴走支援型経営改善資金」というものを創設しましたが、これを10月からは融資の限度額を6,000万円から1億(円)に引き上げる改正を行って、ゼロゼロ融資の借換えに加え、新たな資金需要にも対応できるようにいたしました。また、令和4年12月補正予算では、ゼロゼロ融資の無利子期間終了を見据えた借換え需要の増加に対応するため、先ほどの伴走支援型経営改善資金の融資枠を200億から400億に拡大いたしました。また借りるときの条件については、新型コロナ、あるいはエネルギー原材料価格の影響で、資金繰りに支障を来している中小企業等をより幅広く支援するために、国の制度拡充と併せて、従前の売上高が15パーセント以上減少するという要件を、利益率も含め5パーセント以上の減少とするなど、融資条件の緩和を1月10日から行ったところであります。これらの資金繰りについてはしっかりと支えていく必要があると思っています。また、価格転嫁につきましては、既に御存じのとおり、昨年9月、全国初となる産官金労による「価格転嫁の円滑化に関する協定」を締結し、適切な価格転嫁ができる気運醸成にオール埼玉で取り組んでまいりました。県といたしましても、企業への働きかけなどを通じてより実効的にしていきたいと思っています。それから先ほど脆弱と申し上げた中小企業のエネルギーについては、省エネ・再エネ設備の導入経費、特に脆弱と申し上げましたので、太陽光等を乗っける、これは、ないよりあった方がいいはずなんですけれども、脆弱なものの体力を付けるためには、やはり特にこの東京電力管内、元々脆弱なエネルギー供給構造になっていますので、設備投資だけではなくて、運用まで全てカバーするために、蓄電池を一緒に行うと、補助率を上げるなどのこういった対策をしてまいりました。これを引き続き継続してまいります。また、デジタル・トランスフォーメーション等を強力に推進し、仕事の変革と生産性向上につなげていきたいと思っており、「埼玉県DX推進ネットワーク」を軸として、様々な企業のDX等に関する相談に応え、あるいは中小企業とIT企業のマッチングやデジタル人材の育成等を支援しています。「ポストコロナ元年」においては、これらの今まで逡巡(しゅんじゅん)してきた、あるいは自粛されてきた、こういった活動をもう一度引き戻すだけではなくて、過去に戻るのではなく、もう一歩前に進めていけるような、そんなポストコロナに向けた一歩を大きく踏み出す年にさせていただき、それが10年後、20年後の埼玉県の発展へとつながることが期待されています。
日経
先日、政府もですね、コロナに関して5類への移行を発表しましたけど、この5類への移行によってですね、例えばその経済対策への影響というのはですね、どういったものが想定されるのかということと、あと実際、具体的にこれを受けて、どういう方針を打ち出すのかというあたりを伺えればと思います。
知事
5類への移行の議論につきましては今、国において行われているところであり、どのような制限や、あるいはどのような5類への移行の対策、段階的なその緩和措置等が行われてるかというのを議論しているところであります。我々といたしましては、まず一般論で申し上げると、2類から5類になるときに、社会経済活動がより正常化をしていくということが望まれるところでありますが、逆に、これ仮にですけども、混乱が起きると逆効果になってまいりますので、そこは一般論としては、5類に拡大をすることによって、経済社会活動についても制限なく行っていけるような、また、仮にそこで、感染が再拡大したとしても、そういった感染再拡大しても、経済活動を止めることが必要がないような、こういう社会にしていかなければならない、これがまず一般論ですけれども、ただ先ほど申し上げたとおり、今、政府の方で、新型コロナウイルス感染症を5類にするってのは何だというところから議論をしているところでありますので、具体については、それらが見えてからお答えをさせていただきたいと思います。
埼玉
先ほどの経済対策、幹事社質問とちょっとかぶる部分があるんですけれども、年末から年始にかけてですね、調査機関、リサーチ会社がですね、発表した資料によると、中小企業、資金繰り需要ということで、ゼロゼロ融資の返済についてのそういう手当もそうなんですけども、本当に苦しいのはやっぱり原材料高、エネルギー高、いわゆるそこの仕入れが苦しくて、やっぱりちょっと苦境になって、あとリサーチ会社の発表によると、この倒産件数がですね、もう増加傾向に転じているっていうのは明らかに指摘をしているんですけど、改めましてですね、その価格転嫁とかってのは、もう本当に最たる取組かと思うんですけど、この原材料高についてですね、県としてどのように対応するか、改めてお聞かせいただけますでしょうか。
知事
まず、原材料高、それからそのエネルギー高につきましては、我々といたしましては、まず1つについては、国が行っている激変緩和対策に応じ、今年度の補正予算でも、何回か手当をさせていただいてきたところでございます。御存じのとおり、電気、都市ガス等のですね、エネルギーについては、国が令和4年度の補正で3.1兆(円)の額を計上しています。これに加えて、我々といたしましては、事業者、特にコロナでの影響を受けて、なおかつエネルギーに依存する部分が多い、例えば、バス、タクシー、こういった事業者に対する手当を行うとかですね、あるいはその農業関連の支援で言えば、飼料、肥料、こういったものについての農林水産省が行ってきた、例えば、肥料価格の800億円弱の対応等に合わせて、県としても対応していきたい、これがまず1つの柱で、いわゆるお金での補助ですね、これが1つだと思います。それから2つ目に関しましては、エネルギー、原材料については、大きな影響を受ける事業者がですね、これをその価格転嫁ができる、そしてそれを消費者が受け入れて、最終的には収入も上がっていく。こういった良いスパイラルがあれば、それは吸収されていく、良い値上がりですね、ということになりますので、そこをやはり支援をしていくということで、国が進めている適正な価格転嫁のための「パートナーシップ構築宣言」、これを宣言だけではなくて、実効的なものにするという埼玉県の取組として、先ほど申し上げました、産官金労、4者で締結させていただいた協定に基づき進めていると同時に、県といたしましても、それぞれの企業に対して働きかけを既に、個別に行うとかですね、あるいは様々な業界に対して協力をお願いする、こういったことをさせていただいております。またエネルギー価格は、様々な形で上がったり下がったりということを続けていて、石油、原油価格等は若干戻ってきて、戻ってきてというのは、従前に戻ってきていることは事実ではありますけれども、先ほど申し上げたように、例えばガス価格はいまだに、ちょっと来月から下がる、今月から下がるのかな、のようですけれども、やはり石油とペグしてますので、契約自体が、つまり石油価格が上がるとガス価格も、そのコストに関わらず上がっていくという、こういうその長期契約を少なくとも日本の電力会社、ガス会社全て結んでいますので、そういったものが遅れて出てくる、そういったその影響があるとか、あるいは先ほど申し上げた石油についてもですね、極めて脆弱なことに、これまでないほど特定の地域に依存をしているなど、特定の地域の状況が今後、中小企業を揺さぶる可能性があります。そこで先ほど申し上げたとおり、そういった変動があっても一定程度、特にその電力とかが下がったときに、自分たちで供給ができるような蓄電池を買わせるといったですね、そういった企業の体力を付けられるような補助を、エネルギーに付けていくということで、我々としては、国の施策や、あるいはエネルギー市場の状況に、より影響がされないような、そんな体力を付ける、これらの三本柱で取り組んでいきたいと考えています。
埼玉
ちょっと今の話と外れてしまうかもしれないんですけど、併せてですね、天然ガスの価格が下がってきてる一方でですね、電力会社がですね、値上げをここで申請しているんですけど、ここについての受け止めは何かございますでしょうか。
知事
ガス価格が、御存じのとおり、電力会社は複数のエネルギーを使用しています。そこは石油だけとか、ガスだけとか、そういった状況にはなりません。ガスについては少しこれまでにないぐらい、熱量換算で言うと、石油の原油価格で言うと、日本の場合にはドイツとか、ヨーロッパほどではないにしても、それでも石油価格に直すと160ドルぐらいまでいきました。ヨーロッパ200ドルを超えました。この非常に極端な形で来て、今それがぐっと下がってきてるので、そこがやっぱり揺り返しがあるのと、日本は長期契約でLNGを、天然ガス、そのままではなくて生ガスではなくて、LNGで持って来ているので、そういった意味では、比較的影響がそれでも少ない方に落ち着いてきたんだろうと思っています。他方で電力については、全てのエネルギー元が下がっているわけではないということが1つ。それから、御存じのとおり、過去10年にわたってですね、太陽光が、設備容量では12倍になってますけれども、実際に受電容量、要するにその実際に発電されたら3倍程度ですから、つまりそれだけの効率が上がってない。あるいはそれをカバーするべき、いわゆる石油炊き、ガス炊きの火力発電についても、原子力や太陽光がどこ行くか分からないので、結果として、電力会社が新規の投資をしていないので、古い非効率なもの、これが今動くということなので、そういったその様々な要素からすると、残念ながら黒字が電力会社から出ない、こういう状況になってることは、残念ですけども致し方ないんだろうというふうに思っており、だからこそ先ほど申し上げた政府の施策やエネルギーの市場がどうあろうと、埼玉県の企業には体力を付けていただく、これが大切だと思うので、私たちはそちらの方向を向いて施策を作っております。
埼玉
岸田首相の施政方針演説について、2点お伺いできればと思います。第211通常国会が昨日招集されまして、岸田文雄首相が、次元の異なる少子化対策の実現など、いろんな施政方針演説を行いました。まず1点目がこの受け止め、知事はどのように受け止めたでしょうか、というのが1点と、もう1点がですね、県では昨日から新年度予算の知事審査が始まりましたけれども、この施政方針演説を踏まえて、今後県としても、こういったことは取り組まなきゃならないような、そういう施策がございましたら、お聞かせいただけますでしょうか。
知事
昨日の岸田総理の施政方針演説につきましては、時代の大きな転換点の中で、これまでの常識を捨て去り、強い覚悟と時代を見通すビジョンを持って新しい時代を切り開く、こういったその強い意気込みが感じられるというふうに思いました。我が国におきましては、先ほど来、経済の話でも出ておりますけれども、ポストコロナを見据えた経済の再生、ロシアのウクライナ侵略など、安全保障上の問題、さらにはエネルギー価格、物価価格の高騰など、待ったなしの課題が山積しています。そこで、政府といたしましても、この国会に当たって、是非、地方や現場の声に丁寧に耳を傾け、我が国が抱える、先ほど申し上げたような、多くの国内外の課題に対して、着実に取り組んでいただくことを期待したいと思っています。その中でも、異次元の子育てうんぬんについてはこれから検討するということでございますので、我々としても注視していきたいと思っていますが、他方で、中でも言及がありました、新型コロナウイルス感染症の5類への引き下げにつきましては、やはり我々現場と最も近いところにいますので、現場の混乱を最小限にとどめ、県民に安心安全を享受してもらうためには、前広な周知期間が必要であり、そのためにも、財源的な裏付けのある段階的な措置を早期に表明を具体的に頂きたいというふうに考えております。総理のおっしゃったとおり、私も、今年は大きなステップ、埼玉県の言葉で言えばポストコロナ元年しなければならないと考えております。他方で中長期的にも、これに対応する課題が多くありまして、新しい時代の幕開けとして、10年後20年後を見据えた大きな変革の年にしなければならないと考えています。そこで、こうした思いを現実のものにするため、目下、令和5年度の予算について、2月定例会に向けて鋭意、その編成に取り組んでいるところでございます。その中には、総理が言及された、例えば5類への見直しに、これがどうなるか分かりませんけれども、これらもにらみながら、しかし今の対応というものを取りあえずは予算の中で、全く、ゼロにはできないと思っていますので、そういったことを行うとか、あるいはその構造的な賃上げをもたらすような価格転嫁やGX、DX、こういったものも入っております。さらには、こども・子育て支援につきましては、政府の対応を注視しながら、我々といたしましても、今後、政策を練り上げていきたいと考えているところであります。
埼玉
ちょっと関連してなんですけれども、知事は異次元というお言葉をどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。
知事
これまで見たことがない、という意味なんだろうと私は思いますけれども、ちょっとすいません、そこは是非、御本人に聞いていただきたいと思っておりまして、ただ、倍増というような言葉もございましたので、それは確かにこれまでにないことだと思うので、これからの子育て支援については待ったなしであることもこれもまた事実ですから、そこは我々としては、総理の言葉ですから重いと受け止めて期待したいと思っています。
埼玉
県立高校についてなんですけれども、本日の未明から生徒や教員を殺害する旨のファックスが届いて、合計136校を臨時休校とするということだったんですけれども、現状や今後の対応について教えてください。
知事
まず今138校が休校ということで、今日10時30分現在で県立学校177校あるんですけれども135校に、そして、市立高校の1校にも御指摘のようなファックスが届いています。教育長の方から、原則としてこういった学校については臨時休校するよう、伝えるとともに、保護者に対しても各学校からメール配信等により、注意喚起を行っているところであります。教育局としては、県警と連携をして、念のため対応するとともに、市町村立の学校につきましても、教育事務所を通じ、情報提供等、念のための注意喚起を行っていくつもりでございます。
埼玉
今後、明日以降の対応とかそういうところは考えていらっしゃいますか。
知事
現時点では私の方ではまだ聞いておりませんが、教育局ありますか。
(教育局)
明日以降の対応でございますが、通常の日課といたします。ただし、生徒の登下校時の安全確保に努めるよう学校に指示をいたします。
テレ玉
新型コロナの5類への移行の議論が進められてますけども、それに伴ってマスクの着用についてもですね、今見直しが図られようとしてますけれども、大野知事の御所見はいかがでしょうか。
知事
マスクの着用については、これは基本的な感染対策としてこれまでもお願いをさせていただいてまいりましたが、原則、外で着用する必要がないですとか、あるいはその熱中症の危険がある場合などをはじめ、周囲に人がいない場合などは、マスクを着用しなくてもよいということは以前から周知をさせていただいており、あるいは学校においても登下校の際にいらないと、こういった話をさせていただいてまいりました。今後の感染症対策としてのマスクについては、真に効果が明確で、そしてかつ科学的に根拠があるものに限り実施するべきだというふうに考えています。いずれにしてもこれから国で議論されるということでございますので、先ほどの真に科学的な対応という我々のスタンスはあるものの、まずは、国における議論を見守っていきたいと思っています。
NHK
新型コロナについてお伺いしたいと思います。昨日の感染者数も2,000人を下回っていて、11月ぶりの2,000人を下回るということで減少傾向なのかなと思うんですけれども、これについての受け止めと、もし何か要因等、分析されていたら教えてください。
知事
昨日の新規陽性者数1,322人と、そして前週の同じ曜日と比較しても828人の減少、御指摘のとおり、11月の中旬以来の2,000人を下回る、こういった新規陽性者数でありました。ただ、直近1週間平均で言うと、まだ4,000人超えてるんですね。現在も高い水準です。また第7波と異なって、上がってきてから落ちるまでの期間がちょっと長かったこともあって、結果として病床や、あるいは死者数、重症者、これが増えてきているというふうに考えておりますので、現時点においてですね、減少局面に入って安心できるという状況にはまだ至ってないんだろうと思っていますし、我々が重視している病床の使用率につきましても、今も高い状況が続いております。そして、更に懸念させるのが、2点ありまして、1つは、亜種の発生が起こっていて、これまでも経験から言えば、亜種が発生したり、あるいはその株が置き換わったりすると、その後、ぐっと感染が増える傾向があります。ここはまだ、XBB.1.5のみを言ってるわけではないんですけれども、例えば、それはまだ1例でありますので、埼玉県で発見されたのは。こういったものが今後どのような形になっていくかを注視したいと思っています。また季節性インフルエンザも、数年前と比較すれば、流行の度合いは少ないものの、それでも定点観測(定点調査を行っている医療機関の平均患者数(1人以上で流行期))で5(人)を超えています。5(人)を超えていますので、やはり流行がまだ継続していると考えておりますところ、我々としてはまだまだ安心できないと考えており、特に冬季でありますので、県民の皆様には、大変恐縮ではありますけれども、基本的感染対策、あるいはその空気の入替え、さらには、ワクチン接種等について引き続き、お願いをさせていただきたいと考えています。(終)
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